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映画『原爆の子』 ニューヨークで初上映

2011年03月28日 | まんが・テレビ・映画
「映画『原爆の子』が、ニューヨークで上映されるんじゃと」



広島市佐伯区出身の新藤兼人(しんどう かねと)監督(98)の映画「原爆の子」が、監督の99歳の誕生日の4月22日から米ニューヨークで上映される。
米国での一般上映は初めて。
原爆投下国での反応が注目される。

革命家ゲバラを熱演し、カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞したベニチオ・デル・トロさん(44)が、新藤作品を10本選び、「新藤兼人回顧展」を企画。
「原爆の子」はオープニング作品として、監督の代表作「裸の島」とともに最初の1週間、ブルックリンのBAMシネマテークで集中的に上映される。

回顧展は5月5日まで。
「原爆の子」「裸の島」のほかに「第五福竜丸」や故杉村春子らが出演する「母」、最新作「一枚のハガキ」などが上映される。

(「新藤監督作品を米で初の上映」中国新聞 2011年3月27日)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201103270012.html




「新藤監督って、広島の出身じゃったん?」

「佐伯郡石内村(現:広島市佐伯区五日市町)の出身で、2008年(平成20)には『石内尋常高等小学校 花は散れども』という映画も撮られっとってんよの。広島県名誉県民で、三原市名誉市民でもあるんじゃ」





「今日は、「1952年の日本」「ストーリー」「映画の中の広島」について調べてみようかの」





【1952年の日本】

「『原爆の子』が公開されたのは、いつかいね?」

「1952年(昭和27)の8月6日じゃ」

「サンフランシスコ平和条約は、1951年(昭和26)年じゃったよね?」

「9月に調印式があって、発効したのは翌年の4月28日なんよ。同時に、日米安全保障条約も結ばれとるんじゃがの」

「連合軍の日本占領が終わるころに作られた映画、いうことじゃね?」

「1950年(昭和25)9月に『長崎の鐘』という映画が封切られとるんじゃが、これが日本人による原爆映画第1号なんよ。新藤監督はこの映画に脚本で参加されとってんじゃ」



占領下の日本において、GHQによる検閲の為、原爆及び被爆状況等について真正面から取り上げる事が出来ず、永井隆(ながい たかし)博士の生涯を描いた作品という形で製作された。

(「長崎の鐘」ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%B4%8E%E3%81%AE%E9%90%98




「アメリカ批判につながるけん、原爆はタブーじゃったんじゃろうね」

「そのせいもあって大手の映画会社が取り上げてくれんかったけん、自主制作という形を取っとってんよの」

「原爆を取り上げるためには、それくらいせんといけんかったんじゃね」

「近代映画協会がスタッフを出して、劇団民芸が俳優を出す。通常の映画の制作費が3000万円の時代に、制作費の300万円を折半して作られたそうじゃ」

「苦労しとってんじゃね」





【ストーリー】

「お父さんは、この映画を見たことがあるん?」

「おととし、DVDを借りて見たんよ」

「どんなストーリーなんかね?」



1945(昭和20)年8月6日、広島に原爆が投下され、当時広島に住んでいた石川孝子(乙羽信子)は家族の中でたった一人生き残ったのである。
戦後瀬戸内海の小島で小学校の教師をしていたが、原爆被災の頃に勤務していた幼稚園の園児達の近況について、消息を確認したいと思い、小学校の夏休みを利用して、久しぶりに故郷広島を訪れる。
そして、園児達の今を知るべく、彼らを訪ね歩くのだが・・・。

(「原爆の子」ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E7%88%86%E3%81%AE%E5%AD%90_(%E6%98%A0%E7%94%BB)




「7年後の話じゃけん、幼稚園児たちも中学生くらいになっとるんじゃね」

「孝子が最初に会った三平は、靴磨きをして家計を助けとるんじゃが、父親が原爆症で亡くなる。2人目に会った敏子は孤児となって教会に引き取られとるんじゃが、原爆症で死期が近づいとる」

「ほうなんじゃ」

「3人目に会った平太に、「今日、お姉ちゃんの嫁入りなんだ」と誘われて平太の家に行くんよ。平太の家族は全員が原爆に遭(お)うて、父母は焼け死んだ。兄弟は生き残ったが、嫁入りする平太の姉・咲枝は、その時に右足を骨折した。孝子は長男の孝司から、咲枝の話を聞かされるんじゃ」



その人(咲枝と結婚する男性)が戦争から帰ってきて、まっ先にうちへやってきて、怯えたように見迎える咲枝を抱きしめ、ぼくがあなたの右脚になってあげると言ったんです。
ぼくは、世の中に神も仏もない、運命に絶望しておりましたが、神も仏もいたんです。
ぼくはかれの前に跪(ひざまず)いて拝みました。

(新藤兼人『新藤兼人 原爆を撮る』新日本出版社 2005年 P.33)




「お兄さんがなぜこの男性を拝んだか、皆さんはおわかりですかの?」

「このころは、原爆に遭(お)うた、広島におったという理由で、結婚を反対されるということがあったんよね」

「被爆者に対する差別があったんよの。孝子と一緒に幼稚園に勤めとった森川夏江は結婚しとったんじゃが、孝子にこう告白するんじゃ」



「子どもが生めないの、医者の宣告をうけているの、放射能を全身に浴びてしまったからこういうことになってしまったの」

(前掲書 P.27)




「この映画を見て感じるのは、ほとんどの登場人物が明るく振舞っとるということじゃの」

「本当は、とっても悲惨な話なんじゃけどね。今の日本も、そうじゃろうね」

「松山千春がラジオ番組で、こう言われたそうじゃ」



知恵があるやつは知恵を出そう。

力があるやつは力を出そう。

金があるやつは金を出そう。

自分は何も出せないよ、というやつは元気を出せ。




「千春、ええこと言うじゃん!」





【映画の中の広島】

「この映画は、ほとんど広島でロケをされとるけん、結果として、当時の広島が記録されとるんよの」

「たとえば?」

「建設中の広島平和記念資料館の、しかも内部が見れるんじゃ」

「ほうなんじゃ。広島平和記念資料館は、いつ開館したんかいね?」

「1955年(昭和30)に開館しとるんよ。ほかには、原爆ドームは自由に立ち入ることができたんじゃ。今は、崩れる危険があるけん、柵を設けて中に入っちゃいけんことになっとるんじゃがの」

「当時は、原爆ドームを保存しようという意見と、取り壊そうという意見があったんよね」

「広島市議会が原爆ドームの保存を決議したのが1966年(昭和41)じゃの。あと、石垣しかない広島城跡も見れるんじゃ」

「ああ、そうか。広島城は原爆の爆風で倒壊したんじゃったね」

「爆心地から北東方向に、約1キロメートルの距離じゃけんの。1958年(昭和33)に鉄筋コンクリート造で復元されたんじゃ。孝子の亡き父母の下で働いていた岩吉が、広島城跡のバラック小屋に暮らしとったんじゃ」

「ほうなんじゃ」

「孝子は岩吉を自分の住む島へ移り住むように誘うんじゃ。結局、両親(岩吉の息子夫婦)を原爆で亡くした、孫の太郎だけを島へ連れて行くことになるんじゃがの」

「上映した時の反響はどうじゃったん?」



上映は独立配給でやった。
個人経営の配給業者である。
最初の上映は、8月6日、広島の福屋デパートの屋上にある映画館でやった。
入口の扉が閉まらないぐらい人がはいった。
わたしと乙羽さんが挨拶したが、舞台の足もとまで人が押し寄せた。

(前掲書 P.41)




「苦労の甲斐があったんじゃね。えかった、えかった」

「蛇足なんじゃが、劇団民芸の代表が宇野重吉じゃったけん、咲枝の兄の孝司役で出演されとるんよ。ほかには、ほとんど目が見えなくなった岩吉の世話をするおとよ婆さん役で、北林谷栄(きたばやし たにえ)さんが出演されとるんじゃ」

「どっかで聞いたことがある名前じゃね…」

「こらぁ、カンタ!」

「あ、映画『となりのトトロ』に出てきたカンタのばあちゃんの人じゃん」

「この方は若いころから老け役を演じることが多くてのう、この映画が撮影されたころは41歳のはずなんじゃが、どう見てもおばあちゃんなんじゃ」



「原爆について知らないアメリカ人に、広島で何があったか知ってもらうだけでいい。そこからあらためて議論が起きてくれたら」

(「なぜ投下 広島人として問う」中国新聞 2011年4月16日)

(青文字部分、2011年4月17日追加)






↓広島平和記念資料館については、こちら↓

広島平和記念資料館WEB SITE
http://www.pcf.city.hiroshima.jp/




↓原爆ドームについては、こちら↓

原爆ドーム
http://www.city.hiroshima.lg.jp/toshiseibi/dome/index.html




↓広島城ホームページについては、こちら↓

広島城ホームページ メイン
http://www.rijo-castle.jp/rijo/main.html






「今日は、「1952年の日本」「ストーリー」「映画の中の広島」について勉強をさせてもらいました」

「今日もひとつ勉強になったでがんす」

「映画を見たアメリカ人の反応も、ぜひ聞いてみたいね」

「ほいじゃあ、またの」

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