日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「全国均一」から「個性ある地方」へ

2022-06-20 18:06:55 | マーケティング

テレビ東京は、TVerのような配信サイトとは別に、「ネットもテレ東」というサイトを持っている。
全ての番組が見られるわけではないのだが、それでも多くのテレビ番組が、ネットで自由にみられるようになっている。
そのテレビ東京の番組の中で、わずか数分もない「風景の足跡」という番組を、時々見ている。
というのも、「地域の再生」という視点で見ていると、とても興味深く様々な考えの素となる事があるからだ。
なおかつ、過去の放送も見る事ができるので、とても便利に拝見させていただいている。

この「風景の足跡」を見ていて感じる事だが、戦後日本が歩んできた「全国均一」という考え方から「個性ある地方へ」と、変わりつつあるのでは?ということがある。
例えば、先週末に公開された、宮城県刈田郡蔵王にある「ゆと森倶楽部」は、以前県の「保養所」として造られた建物だが、経営不振の為に地元民間企業に落札され、現在のような姿になった、という。
テレビ東京:風景の足跡 ゆと森倶楽部

「県の保養所」ということもあったのだと思うのだが、ここ何年か経営が厳しくなっている宿泊施設を買収し、新たなリゾート宿泊施設をチェーン展開している施設とは、随分趣も違う。
個人的に思いだしたのは、以前那須高原にあった「二期倶楽部」だ。
経営陣の間でトラブルがあり、「二期倶楽部」そのものは、星野リゾートに売却をされてしまったのだが、以前の「二期倶楽部」は、その土地を活かすような個性的なリゾートホテルだった。
CLASS ONE:【日本/栃木。那須高原】二期倶楽部

そして最近、このような「その土地・その場所に行かなくては体験できない」という個性あるリゾートホテルが少しづつ増えているのでは?という、気がしている。
このような地域に根差したリゾートホテルだけではなく、これから先地域の活性化ということを考えるのであれば、「全国均一」なモノ・コトではなく、その場所に行かなくては経験できないコト、その土地だからこそつくられるモノ・コトということが重要になってくるのでは?という気がしている。
そのわかりやすい一例が「ゆと森倶楽部」のような場所なのでは、ないだろうか?

確かに高度成長期の頃は、「どこへ行っても同じ」というコトが、一つの安心となっていた。
今の若い方は笑ってしまうかもしれないのだが、私よりも年上の方の中には「旅行に行ってもカレーライス」という方が、少なからずいらっしゃった。
理由は「どこへ行っても当たり・外れがないから、安心」という理由だ。
その土地の名物を食べる勇気よりも、均一な味を求めていた、という時代があったのだ。
だからこそ、どこへ行っても同一のサービスという、安心感の提供が必要でもあった、ということなのだ。
そのためには、一極集中という方法が効率的にも良かった、ということなのだと思う。

拙ブログでは、過去何度か書いてきているのだが、地域の活性化に一番必要なことは、その地域の人たちの「地域資産を自分たちの手で活用し、地域外とのコミュニケーションの一つとしたい」という、気持ちや思いなのではないだろうか?
そのような思いや熱意が、「金太郎あめ」のような「全国均一」という発想から、脱却する力となるような気がしている。
それが地域活性化につながるのでは?と、考えている