日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

スキンケアもジェンダーレス

2022-06-14 19:55:32 | マーケティング

時折、チェックをするファッション専門誌・WWDに、「時代の変化だな~」と感じる記事があった。
WWD:「雪肌精」が新垣結衣&羽生弓弦の新ビジュアル公開 年代・性別を問わないブランドに

「雪肌精」という商品名を見て、すぐにどのような商品なのか?思い浮かぶのは、女性がほとんどだろう。
コーセー化粧品が展開をしているスキンケアブランドで、対象顧客は20代後半~50代位の「美白」等に興味のある女性、ということになるだろうか?
これまでのCMのイメージも、「雪」のような「白さ」が際立つような内容が、多かった記憶がある。
例えば、冬の窓辺に雪が降る光景を新垣さんが見つめる、というような感じだ。

欧米に比べ、日本の女性は「美白」に対して興味・関心が高い。
「肌の色」ということもあるだろうし、「色の白いは七難隠す」という諺の通り、女性の色白は美しさの象徴でもあった。
1960年代から資生堂が打ち出した、「太陽に愛されよう」というキャッチフレーズのように、小麦色の健康的な肌色がもてはやされた時代もあったし、2000年代初めの頃だったか?「山姥ファッション」に身を包んだ10代向けの雑誌「egg」に代表されるギャル系の女の子たちは、日焼けサロンに通ってまで、日焼けをする事が一つの美の基準となった時代もあった。
資生堂の「太陽に愛されよう」と、ギャル系の日焼けと同じとは言い難が、「日に焼けた肌」がもてはやされた時代、と言ってよいかもしれない。

とはいってもこれらの流行は、あくまでも女性に限って言われてきた事だ。
それが、昨年あたりから「ジェンダーレス・コスメ」といわれる商品が、LOFT等に登場し始めている。
これらの商品の多くは、海外ブランドの商品が中心だったのだが、この春位からドラッグストアーのプライベートブランドも登場するようになってきていた。
共同:ジェンダーレス化粧品を発売 スギ薬局

日本の男性の美意識が高まったのか?はたまた「マスク荒れ」で悩む男性が少なからずいらっしゃるのか?その点は不明だが、スギ薬局のように全国展開をしているドラッグストアーが、PBブランドとしてジェンダーレス化粧品を発売する、背景にはドラッグストアーならではの「お客様の声」があったからではないだろうか?

そのような動きを受け、化粧品会社の大手・コーセーが乗り出した、ということは「男性のスキンケア意識の高まり」ということもあるだろうし、これまでのような「男性向け化粧品」という商品を選ばない世代が登場してきた、ということも考えられる。
それだけではなく、これまでの「男性向け化粧品」に使われていた「マッチョなイメージ」やそのイメージに伴うパッケージ、香料の使い方等が、今の若い世代に受け入れられにくくなってきているのでは?ということかもしれない。

また、今回「雪肌精」のイメージキャラクターとして起用されたのが羽生弓弦さんということを考えると、「中性的で女性に受け入れられやすい」ということも考えられる。
ジェンダーレス化粧品といっても、化粧品売り場の主役となる顧客はまだまだ女性である事には、変わりない。
使う人と購入する人が抵抗感なく、受け入れられるキャラクターとして羽生弓弦さんが選ばれたのでは?とも、考えられるのだ。

数年前から熱中症対策として「日傘男子」が話題になってきていたが、それよりも進んだ「美白男子」が当たり前になってきているのかもしれない。