ここで、「内界」とは何を意味するかについて、断っておかねばならない。、「内界」というと時に誤解されて、人間がこれから何をするかを考えたり、自分の行為を反省したり、他人に怒りを感じたりするような、普通に意識される領域を指すものと考えられるが、ここで、「内界」と呼んでいるのは、それよりも深い層について言っている。
そこでは、人間の意識の特徴である合理性は力を失ってしまう。そして、何よりも時間と空間という尺度が、まったく役に立たなくなる領域なのである。そこでは、老人がすなわち子どもであったり、「むこうでは一日、ここでは一年」であったりする。
(河合隼雄「人間の深層にひそむもの」より抜粋)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます