Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

#237 視聴率 20%超が当たり前だった時代

2012年09月26日 | 1981 年 


この頃から巨人戦以外の数字は現在に至るまで殆んど変化は無く、高視聴率を根拠にしての「プロ野球は人気がある」は誤りで「巨人戦は人気がある」が正しかったようです。その巨人人気が激減した現在のプロ野球界の方がよっぽど健全であると言えますね。

今年の巨人戦テレビ中継の視聴率は絶好調で昨年は約100試合が放送されて30%を超えたのは2試合だけだったが今シーズンは序盤の段階でフジが1試合、NHKが2試合と既に昨年を上回る好調ぶりだ。現在、テレビ各局が獲得に血眼になっているのが高視聴率が確実なオールスター戦の放映権だ。

今年のオールスター戦は7月25,26,28日に甲子園・横浜・神宮で開催される。この3球場は「後楽園の日本テレビ」「西宮の関西テレビ」といった系列がハッキリしていない。各球場での中継実績は、甲子園はNHK・朝日放送・よみうりテレビ・毎日放送・サンテレビ、横浜はフジテレビ・TBS・テレビ朝日、神宮はフジテレビ・テレビ朝日と各局にあり放映権獲得の決め手にはならない。高視聴率が望めるだけにどのテレビ局も簡単に引き下がる気配はない。

コミッショナー事務局は「実はこうなる事を恐れていました。テレビ局同士で穏便に話し合って決めてほしい」と自ら解決に乗り出すつもりはないらしい。テレビ局にとって1試合5千万円と言われている金額は屁でもないようで、もしかしたら3試合ともダブル中継、トリプル中継なんて事になるかもしれない。



この記事通り甲子園での第1戦は朝日放送とよみうりテレビの2局で中継されました。3試合とも30%前後の視聴率と今では考えられない数字を記録しました。ちなみに2012年のオールスター戦の視聴率は

      ・第1戦 10.8 %   ・第2戦 10.8 %   ・第3戦 9.6 %



野球天国ニッポンではテレビで何時間野球を観る事が出来るのか?実験をしてみた・・・8月15日(土曜日)

① 午前8時~10時まで高校野球 (NHK教育)
② 午前10時~11時45分まで高校野球 (NHK総合)
③ 午前11時45分~午後1時50分まで高校野球 (NHK教育)
④ 午後1時50分~7時まで高校野球 (NHK総合)

高校野球の合間に

⑤ 午後2時30分~4時までロッテ-阪急戦 (TBS)
⑥ 午後6時15分~7時まで大洋-阪神戦 (テレビ神奈川)
⑦ 午後7時~8時54分までヤクルト-巨人戦 (フジテレビ)
⑧ 午後8時54分~9時55分まで大洋-阪神戦の続き (テレビ神奈川)

生中継はこれだけだが午後11時を過ぎると「熱闘甲子園」「プロ野球ニュース」や各局のスポーツニュースをハシゴして合計15時間20分の野球三昧だった。



8月15日と言えば日本人には特別な日であるはず・・他に見るべき番組も放送していたと思いますがね。野球ファンが我が世の春を満喫していた時代も今は昔の事。プロ野球界最大のイベントである日本シリーズの視聴率も30年後の今では悲惨な数字しか出せません。


  【2011年・日本シリーズ ソフトバンク vs 中日 の全国ネット視聴率】
  第1戦
 9.2%  第2戦 9.1%  第3戦 11.4%  第4戦 12.2%
  第5戦 9.7%  第6戦 14.1% 第7戦 18.9%
  ※赤字はデーゲーム


  【1981年・日本シリーズ 日ハム vs 巨人 の全国ネット視聴率】
  第1戦 26.0%  第2戦 32.2%  第3戦 16.6%  第4戦 11.7%
  第5戦 18.7%  第6戦 41.2%
  ※全試合デーゲーム


勝てない、話題もないでは、さすがに関西メディアから阪神にブーイング起きている。振り向けば、最下位の横浜DeNAとは3.5ゲーム差。14日からは直接対決の3連戦(長野、横浜)を迎える。神戸の独立局、サンテレビジョンで1969年の開局当初から続く、阪神戦中継番組「サンテレビボックス席」。試合開始から終了まで完全中継がうたい文句で、その平均視聴率は関西の虎党の支持度を計るバロメーターともいえる。開幕からの平均視聴率は7~8%あったが、3日の広島戦(マツダ)では4・6%、5日の同カードでは2・6%と今季の最低を更新したという。 (2012.8.14 夕刊フジ)
2000年を過ぎたあたりから巨人戦の視聴率が低下し始めた時も「関西の阪神戦は大丈夫」と言われていましたが10年遅れで追随する事に。関西の阪神ファンは在阪の準キー局よりもプレーボールからゲームセットまで中継するサンテレビを御贔屓にしてる為、サンテレビの視聴率が阪神人気の目安だったのは確かです。仙台地区の楽天戦視聴率の御祝儀バブルは早くもはじけて残るは北部九州と札幌地区ですが、そう遠くない将来には揃って同じ道を辿るようになるんでしょうね。今年はとうとう関東地区では8月のナイター中継がゼロに。昔なら考えられないですから、夏休み中に中継しないなんて。でも抗議の電話がテレビ局に殺到!なんて事態にはなっていないようで、プロ野球人気も落ちる所まで行き着いた感じですかね。
コメント (3)
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#236 珍プレーと言えば

2012年09月19日 | 1981 年 


球史に残る迷言の代表が「ベンチがアホ・・」なら、珍プレーの代名詞は中日・宇野選手の「ヘディング」です


8月27日後楽園球場での巨人-中日戦の7回裏二死二塁、6回まで巨人打線を0点に抑えてきた星野投手は代打の山本功を内野フライに「打ち取った」はずだった。これであと2イニングを抑えれば昨シーズン中から続いている巨人の連続得点試合記録を止める事が出来ると思いながらベンチに向かい歩きかけた時に、それは起きた。


聞き手…何が起きたの?

宇野選手…あれね、グラブに入ったと思ったんですよ。ちゃんと落ちてくるボールも見えてたし
       あと2~3㍍という時に横風が吹いて落下するボールの軌道が少しズレたんです。

聞き手…普通のエラーならグラブに当てて落球するもんだけど?

宇野選手…エヘへッ、それが自分でも不思議で。気がついたらオデコに当たってました。

聞き手…あれだけ跳ねたんだから相当痛かったんじゃないの?

宇野選手…星野さんが好投していたし巨人の記録もかかっていて絶対エラー出来ない場面でしたから
       あの瞬間は頭の中が真っ白で痛みを感じる余裕は無かったです。

聞き手…ボールはレフトのフェンス際まで転々・・・

宇野選手…1点は仕方ないけど同点の打者走者まで生還したら星野さんに何をされるか・・
       本当なら中継プレーをしに行かなければならないけど、呆然と立ち尽くしてました。

聞き手…そう言えば中継プレーは二塁手の正岡選手でしたね

宇野選手…本当に良かったです。正岡さんには足を向けて寝られないです。

聞き手…皆には冷やかされた?

宇野選手…言われっ放しです。僕は見てないのですけど、星野さんがグラブを地面に叩きつけて
       悔しがっていたから大変だぞと皆に脅かされて・・でも大丈夫でした。星野さんからは
       グラウンドのミスはグラウンドで取り返せと言われました。



星野投手のアドバイス通り、翌日の試合で本塁打を放ちミスを挽回した宇野選手から目が離せない。


実は宇野選手の珍プレーを遡ること4ヶ月、開幕直後の後楽園球場で広島・山本浩選手が同じ様に飛球を捕ろうとしてオデコにぶつけるエラーをしでかしていました。後ろの観衆の多くが笑っています。
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#235 ベンチがアホやから … ③

2012年09月12日 | 1981 年 


昭和11年、東のジャイアンツに対抗する形で同時に西にタイガースが誕生。しかし優勝回数は巨人の30回に対し阪神は6回と大きく差をつけられている。その差は単に戦力の違いという以上に球団の体質が関係していると思われる。今回の江本投手の舌禍事件も突き詰めれば阪神という球団体質が起因している。余波は若菜捕手の退団騒動や中西監督の管理能力が問われるなど収まる気配はない。

現在のプロ野球界の形態にも大きな影響を与えた2リーグ分裂にも阪神が深く関っている。昭和24年8月、毎日新聞社が日本野球連盟に加盟を非公式ながら申し入れた。これをきっかけに近鉄、西日本新聞社、大洋漁業…などが次々と加盟に名乗りをあげた。当時は8球団中賛成は阪神・南海・阪急・大映・東急、反対は巨人・中日・大陽と5対3で賛成派が多かった。ところが何故か阪神が反対派に転じて賛成・反対が同数となり、これを契機に日本野球連盟は分裂し2リーグ体制へと展開して行く事になる。

なぜ阪神は転向したのか?『ベースボール・ニュース(昭和24年11月15日号)』はこう伝えている。「毎日新聞社加入賛成派に阪神が同調すると宿命のライバル阪急は勿論、やがては難波に球場を持つ南海とも手を握り合わなければならない運命となる。もしも反対派に属せば関西における試合は甲子園で独占できると考えるのは計算高い大阪商人としては当然の策ではないか。…<中略>…人気のある巨人と同じリーグにあって巨人戦を甲子園で独占し得ることは、将来の大阪スタジアムでの天下分け目の南海対毎日戦が実現するまで関西での人気をさらう事が必至と読んだのだろう」と。

この読みはピタリと当たり阪神-巨人戦は現在でも球界きっての人気カードとなっている。ただし巨人と手を組んだ阪神から6人もの選手が新球団の毎日へ去ってしまったのは一枚岩とは言い難い阪神らしい。毎日入りしたのは監督兼投手・若林忠志(15勝14敗)、正捕手・土井垣武(3割2分8厘 16本塁打)、正外野手・別当薫(3割2分2厘 39本塁打)、本堂保次(3割0分2厘 4本塁打)、大館勲(2割1分3厘 0本塁打)、呉昌征(2割2分3厘 0本塁打)。主力が抜けて骨抜きになった阪神はチーム打率が1分3厘下がり新リーグ8チーム中で4位だったが既成の古参球団の中では最下位であった。

日本のプロ野球史上、試合を途中で放棄して没収試合と宣告されたケースが4例あるが、うち2つが阪神である。昭和29年7月25日、大阪球場での阪神-中日戦の10回裏、阪神・真田のカウント2-2からの次球は前には飛ばず捕手のミットへ。直接捕球したから三振だと主張する中日に対し、一度落としているからファールだと言う阪神。三振とコールした主審に松木監督と藤村助監督が体当たりして退場処分に。試合が再開されると退場したはずの藤村が打席に立とうとした事で再び紛糾し、長い抗議にシビレを切らした観衆がグラウンドへ流れ込むなどして大混乱に。審判団は主催球団阪神の秩序維持不能という事で没収試合を宣告した。

二度目は昭和42年9月23日、甲子園での大洋戦の1回表大洋は3点を先取した後、二死満塁で森中がショートバウンドを空振りした。これを阪神・和田捕手が森中にタッチせずに球をマウンド方向へ転がしベンチへ引き揚げた。森中は一塁へ走り三塁走者はホームイン。和田捕手は「主審はストライクアウトと言った」と主張したが主審は「スリーストライクとは言ったがアウトとは言っていない」と阪神の抗議を認めなかった。ルール上は振り逃げ&得点で正しい。しかし阪神・藤本監督は「審判よりも選手を信じる」として試合開始早々に試合放棄をしてしまった。

他の3つの放棄試合はいずれも試合の終盤であったのに対し、序盤それも1回表で試合放棄したのは異例と言える。入場料を返却すれば済むという話ではない。ナイター観戦の予定を立てて選手を見るのを楽しみに球場まで足を運んでくれたファンの事を考えれば簡単に試合放棄など出来るはずがない。それをしてしまう阪神という球団としての考え方の甘さを窺い知ることが出来る。これが監督人事ともなると、さらに淡々と決断して監督のクビを球団創設1年目のシーズン途中でもアッサリと切ってしまう。初代監督の森茂雄は…


                       ~以下、略~



監督交代劇に関しては 2011年11月の『毎度お馴染み・阪神お家騒動 ② 』 を参照して下さい
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#234 ベンチがアホやから … ②

2012年09月05日 | 1981 年 
江本の不満・・それが正しい・正しくないは別にして、毎年オフになるとトレード候補として取り沙汰され騒がしくなった。実際に昨年は在京パ球団と合意寸前までいったが最後に破談。その話が潰れると間髪おかず在阪パ球団と交渉するなど、「球団は俺を放出したがっている」と江本が考えるのも無理はない。だが江本本人が「野球選手にトレードは付き物。俺も南海へ移籍して良かったと思っているし、トレード云々に不満があるわけではない」と言っているようにフロントに対してではなく現場での使われ方に腹が立っているようだ。

今シーズンは池内投手と共にリリーフ役に回る事になっていたが、江本にその事が監督・コーチから伝えられたのは開幕直前の事だった。「先発とリリーフでは当然調整法も違ってくる。マラソンを走るつもりでいたら突然100㍍走に出ろと言われたようなもん。上手くいくわけがない」実際にリリーフを数度失敗した結果、早々にお役御免。シーズン途中で先発に戻ったのは周知の事実で、不満の矛先は藤江投手コーチに向けられたものと思われたが実は中西監督に対するものだった。この2人は2月のテンピキャンプで既に衝突していたのだ。

中西監督は「何もないよ」と大人の対応をとっているが江本は「ガックリくる発言を喰らった」と公言している。阪神に限らず全ての球団が首脳陣批判に対して最大の罰則を設けている事は誰だって知っている。勿論、江本もだ。そこに躊躇する事なくズカズカと踏み込んだ江本に対してある選手は「ウチの監督なら誰だって一度は江本さんみたいな心境になりますよ」と同情的だ。いずれにせよ江本は8月27日で阪神を去った。形の上では江本の意志が通っての退団のようだが、一部では江本を放出したかった球団にとって渡りに舟だったのではという声もある。任意引退→他球団からのトレード申し込み→現役復帰して移籍という筋書きが出来上がっているという情報もあり、現に他球団からは退団を惜しむ声が既に出ている。


◆巨人・藤田監督「選手の立場では言い過ぎだけど引退というのはどうかなぁ。力のある投手だから、どこかのチームが声を掛けるでしょう」

◆日ハム・大沢監督「阪神も思い切った事をするね。まだ充分使えるというのに・・」

◆近鉄・西本監督「まだまだ働ける投手だ。ヤンチャな選手だけど、この世界にはあんな男がいても良いと思うけどね」

◆村田兆治選手会会長「江本と阪神との話し合いに選手会が口を挟む事は出来ないが、江本が復帰したいと相談しに来たら力を貸したい」


これまで首脳陣と選手の対立があるたびに監督の首を切ったりスター選手を放出したりと、その場しのぎの中途半端なやり方で表向きを糊塗してきた球団運営の甘さが、またしても球史に残る珍事件を引き起こしてしまった。江本ショックが冷めやらぬ29日、今度は若菜捕手が「阪神という球団はつくづく疲れる。俺も退団したい気持ちは前々から持っていた」と発言し一連の騒動に火に油を注いだ。しかし球団はこの発言に対して若菜を事情聴取をする事なく放置したままだ。ひたすら嵐が過ぎ去るのを待つ作戦らしいが、お家騒動は当分収まりそうにない。
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