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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 844 吼えよタイガース ②

2024年05月15日 | 1977 年 



吉田監督の催眠術で打開策なるか
多くの評論家は「巨人にこんなに差をつけられるチームじゃない。選手の力量は巨人と五分五分。問題は選手個々の心構えの違いだ」と口を揃える。強い時は手がつけられない。一番から八番まで一発を打てる打者がズラリと並び、投手陣も開幕から9試合連続で完投したように強力だ。それでいて弱い時は赤子の手をひねるようにコロリと負ける。そんなチーム状況が13年間も続いているのだ。5年ほど前、当時の村山監督は「催眠術でもかければ勝ち続けるかもしれない」と強くて弱い阪神をこう表現していた。。

最近そんな例が海の向こうで起こった。8月13日付のザ・スポーティング・ニューズが報じた。低迷を続けるエンゼルスの選手に催眠術をかけて戦わせた。ロサンゼルス市ビバリーヒルズに事務所があるアーサー・レイン氏が催眠術をかけた。チームはマリナーズに勝利した。エースのノーラン・ライアン投手も「今まで色々考えて悩んだりして吹っ切れないものがあったけど気が晴れた気がした。勝つ自信が沸いてきたよ」と催眠術の効果を力説した。この催眠術師を起用したハリー・ダルトンGMもその効果に驚いた。

今の阪神もこれと同じ状態かもしれない。吉田監督の思惑と裏腹な選手の動き。これといった打開策もなくズルズルとペナントレースから脱落していった。だがまだ30試合以上も残っている。このまま巨人の軍門に下るのは阪神ナインにとっても阪神ファンにとっても耐えられないはずだ。「とにかく最後まで全力を尽くす。たとえ今年はダメでも来シーズンへの糧になるのだから」と吉田監督は闘争本能を剝き出しにして阪神ナインにハッパをかけ続ける。


明るい希望はブリーデンと掛布
そんな沈滞ムードが漂うチームに明るい話題もある。王選手と本塁打王争いをしているブリーデン選手と規定打席不足ながら首位打者の可能性を秘める掛布選手の存在だ。「本塁打王は王選手のものだよ」と相変わらずタイトルに無欲なブリーデン選手だが言葉とは裏腹に明らかにホームラン狙いの豪快なスイングを見せている。日頃からブリーデン選手を注視している山内コーチは「アイツもやはりタイトルが欲しいんだな」と。事実、ブリーデン選手は山田通訳に「ホームランキングになったら球団はいくらボーナスをくれるだろうか」と聞いてきたそうだ。もしもタイトルを獲れば年俸の大幅アップは確実で、田淵選手に代わってチーム一番の高給取りになるのは間違いない。

一方の掛布選手は首位打者への夢をストレートに口にする。「打撃ベスト10 に名前を連ねていたらこんなに落ち着いてはいられないでしょう。規定打席不足は僕にとって好都合ですね。だから今は何も考えず1本でも多くヒットを打ちたいです」と。規定打席到達には10試合ほど足らないが今の調子が続けば死のロードが終わって甲子園に戻る8月下旬に打撃10傑の上位に顔を出すだろう。現時点に当てはめれば4位くらいだが打席数が少ないので2~3試合で固め打ちをすればトップに躍り出る可能性もある。「ハッキリ言って首位打者は最高の名誉でしょ。僕みたいな若造が簡単に獲れるものではないと重々承知しています。でもチャンスですから頑張ります」とタイトル獲得の意志を隠さない掛布選手だ。

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