夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

1276夜

2017-05-16 18:06:48 | Weblog
私は重崎重三(しげざき・しげぞう)という箱アーチストである。日本ではマスコミに出たことがなくまったく無名だが、アメリカでは超有名人である。重崎の箱は魔法の箱と呼ばれ、数億円で取引されている。劇場の入口ホールである。私が歩いていると「きゃー、重崎だ」という声が聞こえる。見ると、小学校低学年の子供の群れである。全員が私の所に寄ってきて取り囲む。全員が「サインしてください」とねだる。私は仕方がないので目の前に突き出される紙に次々に「重崎重三」と書いていく。子供たちは「ありがとうございます」と深く感謝する。ステージでは日本のアイドルが公演しているが、子供たちは私に会った喜びに満足して公演を見ずに帰って行く。