夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

597夜

2007-04-27 09:47:46 | Weblog
荒地に無数の軍人がいる。私は単に通りかかっただけなのに、ヘルメットを渡され、「隊に加われ」と命令される。ヘルメットは、フルフェイス式で、私の首から上をすっぽり包みこむ。首が折れそうなほど重い。いろんなハイテク装置がヘルメットの周囲に無数に組み込まれていて、このヘルメット一つで、今から三十年前のナサの総合コンピュータの性能に匹敵するという。私は上半身と下半身にジャージを身につけているだけだが、ヘルメット一つで不安はない。前方がくもって見えにくいと思ったら、グイーンと音がしてヘルメットの前方についている超高密度のガラスが上に上がって、視界が鮮明になる。私たちに向けて敵は、山の上から機関銃を撃ち続けている。しかし、機関銃の弾は全部ヘルメットがはじき飛ばしている。ヘルメットについたハイテク装置が、弾をすべて上に集め、無防備な体には当たらないようにしている。私は無敵の軍人になったような気がする。

596夜

2007-04-25 15:03:00 | Weblog
下町の小さな時計屋である。時計屋と書いてあるのに、時計に付ける鎖ばかり売っている。一ミリもない極細の鎖である。何万本とも数えられない糸のような鎖が、並んで壁から吊るしてある。私も自分の時計に付ける鎖を買おうとするが、ちょうど私の時計にあう鎖がみつからない。夜で、無数の鎖が電灯の光を反射している。時計屋の横に奥の家へと続く細い道がある。妻はその道を何かに引きずられるように入っていく。私は妻を追う。全力で走っているのに、妻に追いつけない。やっととっつきの家に至って妻に追いつくが、妻は木の扉から中に吸い込まれる。中は暗黒だ。私は妻に飛びつき、引きずり出す。私は妻をかかえ、細い道をもとの通りに向かって走るが、いつまでたっても通りがやってこない。さっきの時計屋があった町とは、別の空間に入り込んでしまったような気もする。何か得体の知れないものが、私たちを追ってくるようだ。

595夜

2007-04-24 12:43:37 | Weblog
普通の日本のちょっとした商店街に見える。夜、店の中の明かりが、道を薄明るく照らしている。チャイナドレスを着た少女がいる。顔を見ると、女装した少年である。薄く化粧している。彼がこの町の警官だという。同じような少年が何人か町を歩いている。チャイナドレスの大柄な女がいる。ドラム缶のような体型である。顔を見ると、女装した中年の男である。顔を白塗りにし、アイラインを引き、口紅もつけている。彼は警察の偉い人である。彼は軽快に飛び上がり、電柱の天辺に乗る。町を上から見回しているようだ。日本は、中国に占領され、中国の警察が日本の街を支配しているという。町の真ん中に警察署があり、中国から派遣された警官が駐屯している。チャイナドレスが警官の制服で、多数のチャイナドレスの男が出入りしている。女性警官はいないようだ。チャイナドレスは、皆派手な色である。

594夜

2007-04-20 11:30:05 | Weblog
プロボクサー亀田兄弟の弟は、現在体重五十キロで戦っているが、三ヶ月で五十キロ増量し、もとヘビー級チャンピオンマイク・タイソンと戦うことになった。落ちぶれたといっても、タイソンは、ボクシング界では歴史的ビッグネームであり、タイソンを倒せば、亀田の名は世界にとどろくはずである。亀田はまだ十代なので、こんな無理な試合も可能だと周囲は判断した。リングに上がった亀田は、体格的にはタイソンに見劣りしていなかった。ヘビー級では超小柄だったタイソンとの身長差は十センチもない。タイソンは鉄の塊を叩きつけるようなパンチを亀田に百発も叩き込むが、亀田は耐え抜く。亀田のパンチもタイソンの顔面を変形させるほど炸裂するが、タイソンも倒れない。十ラウンドが終わり、タイソンの僅差判定勝ちというジャッジが下る。「これでいいでしょうか」とリングサイドに座る私に、隣のプロデューサーが聞く。私が見ていたものは、本物の試合ではなく、コンピュータによって製作されたホログラム映像だったという。私は「やっぱり亀田が勝ったほうがいいんじゃないの」とプロデューサーにアドバイスする。プロデューサは私の言葉を素直に聞き、「それじゃ、かえます」と言う。

593夜

2007-04-10 09:59:18 | Weblog
私が茶碗に盛られたご飯を箸でつまむ。ご飯粒が動くような気がする。私が目に近づけてよく見ると、ご飯粒は蛾の幼虫を小さくしたような白い虫になっている。茶碗に盛られたご飯は、すべてこの虫が集まったものだ。黒ゴマのようなものがかかっていて、それもよく見ると、ゴキブリを小型にしたような虫である。私は、その白い虫を一旦口の中に入れたが、口の中で動き回って飲み込めないので、吐き出した。机の上に叩きつけられた虫は、まったく弱っていず、再び元気に動き出す。

592夜

2007-04-05 08:45:40 | Weblog
たいまつに照らされた洞窟の中。壁にあいた直径三十センチの穴から何かが這い出してくる。全身が真っ黒で、異様なかさぶたに覆われているが、老人の形をしている。老人は、車椅子の少女に這いより、少女を車椅子から引きずりおろす。そして、少女の服を破りとって上から覆いかぶさる。少女は何も抵抗できないほど弱っている。老人の体だけがゴソゴソと動いている。しばらくすると、老人はもとの穴の中に這い戻る。少女の体の中に注入された老人の精子が、少女の体を侵していたウイルスを全滅させた。歩けなかった少女は一ヵ月後には歩けるようになり、近代医学から見捨てられた少女は、科学を越えた力によって全快した。