夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

914夜

2009-06-24 12:18:48 | Weblog
カバの死体が横たわっている。そこに無数の虫がとりついている。一辺が十センチくらいの三角形の甲羅を持った虫である。カニのようにも見えるが、虫だという。虫はゴソゴソゴソゴソカバの体を這いまわっている。この虫が一時間でカバの体を五メートル移動させるという見せものだ。横に虫使いがいる。長い髪を後ろで束ね、その束ねた髪を伝わって袋の中から無数の虫が出てきて、カバに向かっていく。私と妻が横に立って見ている。虫は私たちの足元にも這い寄ってくる。硬い爪で私の足をつつく。痛いと言うと、虫使いは笑って、虫を手で払う。虫使いの手の一本の指は三十センチほど伸びていて先がハンマーの形になっている。そのハンマーで甲羅をトンと突くと虫は従順に虫使いの言いなりになる。私と妻はじっと虫の動きを見ている。

913夜

2009-06-05 12:55:15 | Weblog
直径五センチくらいの小さいメジャーを持っている。金属製の物差しが引き出されて五メートルくらいは計測できる。よくある小学校か中学校のような校舎にいる。この学校には無数のゾンビが住んでいる。私はメジャーから二メートルくらい物差し部分を引き出す。最初はふにゃふにゃしているが、持っているうちに硬くなってきて剣になる。私はゾンビ目がけてメジャー剣を振り下ろす。ゾンビは見事に真っ二つに切り裂かれる。血は出ない。私はメジャー剣を振り回し、無数のゾンビを切り裂いて学校から脱出する。

912夜

2009-06-03 14:55:48 | Weblog
五千円の予算で楽器屋にピアノを買いに行く。店員にピアノをくださいと言うと、「ご予算は」と聞かれるから「五千」と答える。店員は「こちらへどうぞ」と壁にある扉を開く。楽器屋自体は小さな店だったが、その外周をめぐって広大なピアノ売り場が広がっている。どこまで続くかもわからない空間に絢爛豪華なグランドピアノが無数に並べてある。タキシードを着た店員がやってきて「五千と言うと、こちらでございます」と、どう見ても五千万円はする家のようなピアノを私に指し示す。私もいまさら五千万円ではなく五千円ですとは言いだしかねる状態になっている。店員は私に向かって床に頭がつくようなお辞儀をする。私は「どうしましょうか」などと曖昧なことを言って逃げ出す機会をうかがっている。