夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

1111夜

2014-07-09 14:23:18 | Weblog
私が飼っていたウサギのマルは、人間として私が住んでいる世界と平行して異次元に存在する世界で生きている。私は、その異次元世界を訪れ、マルに再会する機会を得た。マルは頭のいいウサギだったから、人間として大成功し大邸宅を構えているはずである。しかし、私がマルを探して、その世界を探し回っても、マルの居所がわからない。私が諦めかけたとき、ビルの影のダンボールハウスの横に寝そべっている白髪の老人の姿を目にする。私は、あれこそマルであると瞬間的に悟る。マルは、熾烈な競争の世界で他人を蹴落として生きることを嫌って、ダンボールハウスの浮浪者として生きているのだ。私は、いとしさに襲われ、白髪の老人であるマルを抱きしめる。マルも私の正体がわかって、うれしそうにクーと言う。