夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

906夜

2009-03-30 17:16:17 | Weblog
私は小さなナイフで私の腕に鳥の絵を描く。軽く刃を立てただけなのに、瞬間的に鳥の形が血によって浮かび上がる。すると、血で描かれた鳥は、次第に立体化し、本物の鳥となって私の腕から飛び立つ。腕の傷はすっかり消えている。今度はおなかの上に猫の姿を描く。同じように血によって浮かび上がった猫は、実体化し、私のおなかから飛び出す。今度は何の絵にしようか、私は考えている。

905夜

2009-03-28 13:00:29 | Weblog
二十五年ぶりで大学時代の親友から電話がかかってきて、顔を合わせると、「息子のマサカズが三年ぶりに昏睡状態から復活した」と言う。しばらく歩いていくと、興奮した犬が友人に襲いかかる。私も驚いて飛びあがると、私の体は地上三メートルくらいの空中に浮き上がって停止する。そのままずっと浮いたままである。友人が歩き出すと私もあとを追うが、私の体は何かにつかまって引き動かさないと移動ができない。私が木の枝をつかみ、手前に引くと体は引いた距離だけ移動する。私は電柱や窓や木をつかんで体を引き寄せるというやり方で友人のあとを追う。

904夜

2009-03-18 11:36:28 | Weblog
私の部屋から駅までは歩くとかなり遠い。私の部屋から駅まで半分のところに民間の材木屋が慈善的に作った駅まで直結する乗り物が今日開通した。駅までの最短距離を一本の木のレールでつなぎ、人はそこから垂れ下がる自転車のチューブにぶら下がって駅まで運ばれる。レールはビルの谷間をうまく縫って続いている。私も列について待っていると、上から自転車のチューブが二本垂れてくる。始発点は材木屋の横の道である。私はチューブに両腕でぶら下がる。レールは次第に上昇していき、ビルの五階くらいにまでなる。安全装置も何もない。落下したら多分死ぬだろう。両腕が疲れてきて今にも落ちそうだ。皆は結構明るい顔をしてぶら下がっている。五分ほどで駅に着く。改札まで十メートルの所が終着である。おかげでいつもより二十分も早く駅に着くことができた。明日からは二十分も余計に寝ることができると思うと、うれしくてたまらない。

903夜

2009-03-17 10:58:28 | Weblog
妻は食器洗いをするとき、キッチンの床を水浸しにする癖がある。今日も私がキッチンへ行くと床がびしょびしょである。私は必至で床を拭くが、いつまでたっても水を完全に拭き取ることができない。やっと拭き取ったと思ったら、ガスコンロの上の方から白い液体が流れてくる。立ちあがって見ると、コンロの上に私が飼っているウサギがいて、体が半分溶け出している。どんどん溶けていって首だけになる。ウサギが溶けた液体は流れ落ちて床に広がっている。妻は床を水で濡らしただけでおさまらず、ウサギまで殺して床を汚したことになる。私はウサギが死んだ悲しみと、床が汚れた怒りで頭がパンクしそうだ。

902夜

2009-03-11 11:51:15 | Weblog
周囲のすべてが暗黒である。一点の光さえ見えない。私は完全な盲目となったのかもしれない。私はその暗黒の中で迷子となった一人の少女をつかまえるという役目を負っている。初めは足探りで少し歩いてみたが、ときどきカーテンのようなものが顔に当たるだけで他には何もない。次第に慣れてきて、私は全力疾走でどこまでも走るが、どこまでも暗黒のままで何も私に衝突するものがない。少女を見つける手がかりも何もない。

901夜

2009-03-05 10:00:51 | Weblog
銀行強盗の犯人が数十階の高層ビルの屋上まで逃げ込んだ。警官隊はまだビルの一階である。犯人が屋上につくと、そこにすみつく体長一メートルのネズミが犯人を襲い、犯人は首を食いちぎられる。その光景が屋上の上に浮いているヘリコプターから撮影され、リアルタイムでテレビニュースに流れている。女性アナウンサーは淡々とその光景を説明する。テレビを通して見ている私も、昼飯を食べながら普通のニュースとして見ている。

900夜

2009-03-04 10:37:02 | Weblog
盲人の青年が私にしがみついている。全裸である。青年の足はひものようになって私の胴にからみついている。私は青年を振りほどき、崖下に落とそうとするが、どうやっても青年の足を振りほどくことができない。