夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

899夜

2009-02-17 10:04:43 | Weblog
私の家は東京から五十キロ以上の距離にあるが、地下に皇居までの直線距離のトンネルが通じていて、そこをリニアモーターカーと同じ原理の乗り物に乗って二十分で行ける。それを私は今日初めて教えられた。トイレの壁をどんと突くと反転し、地下へのエレベーターが現れる。一人乗りのエレベーターだ。何百メートル下ったかわからないほど深く降りると、乗り物がある。タンクトップを着た筋骨隆々の男が立っていて私を後ろからがっしりつかまえる。そのまま一旦上昇してトンネルの中に入ると、横になって超スピードで走る。後の男は私を完全に固定していてまったく不安はない。

898夜

2009-02-16 10:46:21 | Weblog
アメリカ中西部の小さな町に似た日本の町である。中心部に小さな爆発が起きると、それが池に広がる波紋のように町全体に広がり、町の空気を振動させていく。波紋が去ると、私は、どんな小さなものにでも私のサインがあれば、高価な金額で取引される大芸術家になっている。私がレストランのレジでクレジットの伝票にサインすると、たちまち数百人の人が群がり、伝票の奪い合いになる。私が面白がって壁のポスターにサインすると、それも奪いあいだ。私の後に数万人の人がついて歩いている。

897夜

2009-02-12 13:00:17 | Weblog
オバマ氏がホワイトハウスに移るに当たって、今まで自分のオフィスで使っていたいろいろなものをバザーで一般人に売ることになったが、アメリカ国内でもあまり評判がよくなくて大半が売れ残り、それが日本にまで回ってきた。私もバザー会場に行ってみた。小学校の教室程度の広さの場所に、種種雑多なものが並べてある。一番高いものが、木で作った機関車の模型で一メートル近くある。値段を見ると五万円である。他には、紙で作った家の模型とか、プラスチックの小さな人形とかつまらないものばかりである。しかし、あのオバマ氏が持っていたものというプレミア価値を考えれば、この程度の値段ならすべて売れそうなものなのに、日本まで回って来てまだ売れそうもないというのは不思議だ。私にしても、何も買う気になれない。

896夜

2009-02-10 14:31:10 | Weblog
パチスロをやっている。久しぶりに来たせいか、どんどんメダルが出てくる。ドル箱につめると、メダルはアサリのような貝で、まだ濡れている。生きていて口をしっかり閉じている貝だ。中にヒトデのようなナマコのような軟体生物が混じっている。私の手のひらよりはるかに大きい。全体は白く、青い水玉模様がある。店員に聞くと、これは一つで十万円に換金できるという。私は大喜びで、さらにゲームを続ける。しかし、水玉の軟体生物はヌルヌル動き、手のひらで押さえつけていないと、どこかへ逃げ出してしまうので、多少ゲームに困難をきたしている。

895夜

2009-02-09 15:00:47 | Weblog
ベッドから起き上がると、私が飼っているウサギが跳びついてくる。全身が茶色で鼻が白い。毛はハリネズミのように立っていて、体から三十センチ以上も突き出ている。全身の大きさがトラくらいに見える。じゃれついてきてかわいいが、どこか違和感がある。毛の先端が私の肌を突き刺す感じが、いつもと違うようだ。私のウサギは全身が灰色で鼻が黒かったはずだ。毛もこんなに長くはない。また私はここはまだ夢の中なのではないかと思う。いつものように窓を開けて外を見る。外の光景はほとんど現実の景色と区別がつかない。私はここが夢の中だという確信が持てない。ウサギは足にじゃれてくるが、私のウサギはこんなウサギだったという思いもしてくる。まあ、どっちでもいいかと思って、私はウサギとじゃれあう。

894夜

2009-02-02 11:26:11 | Weblog
中規模のビジネスホテル。フロントで部屋はどこかと聞くと、フロントフロアの横にあるトイレの前を指す。確かにそこの床はフカフカしている。中に特別の液体が入っている最高級のベッドだと言う。私が横になるとベッドは私の体をすっぽりと包みこむ。私の体にあつらえた特別製のベッドのようだ。私は瞬間的にこれ以上ない安らかな眠りに入った。ときどきトイレに入る人が私の体をまたぎ越えてゆくようだが、まったく気にならない。