夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

757夜

2007-11-27 13:22:38 | Weblog
数日前に訪れた北海道に再び訪れることになった。同じ防波堤沿いの高架線を通って函館に向かう。被害がなかったというのは町の内部だけで郊外にはだいぶ被害が出たようだ。函館に着くと、私が降りる前から次の乗客が乗り込んできて降りられない。私は駅員に促されて出口とは逆のホームに出る。このホームの降り口は梯子式で荷物を持っては降りられないというので私は駅員が別の出口を指示してくれるまで待つことになる。一時間ほど待つと、ホームの端から地下のトンネルに続く出口が使用可能になって、私は荷物を担いで階段を降りる。なぜこんなことになったのか、駅員はまったく説明してくれない。

756夜

2007-11-26 09:40:33 | Weblog
外側から見ると普通の歯だが、触ってみるとブヨブヨしている。歯自体が柔らかくなっている。古くなった大根のような感じだ。しかし、この歯で食べるしかないので、おっかなびっくり食べ物を噛んでみる。ゆっくりやれば、なんとか食べられるようだ。

755夜

2007-11-25 10:35:53 | Weblog
夜、東京から北海道に飛行機に乗ってやってきた。北海道は台風である。防波堤の最上部まで海が盛り上がり、黒い波が防波堤を越えて町に降りかかる。防波堤のすぐそばを走る高架線の電車に乗っていても、波が線路に降りかかる。電車は波の下をくぐりぬけて走る。防波堤のすぐ下に町が広がっているが、普通にネオンが輝き、特に混乱した様子もない。電車の中の人も特に混乱した様子もない。いくつかの駅に停車して函館に到着する。私はここで一晩慌しく恋人に会い、次の朝、再び電車に乗って空港に向かう。台風はすっかり過ぎ去っている。電車から防波堤の下を見ると、平穏で絵の具のように青い海がどこまでも広がっている。人々は海岸で海水浴に興じ、沖にはヨットやウインドサーフィンが並んでいる。昨日の台風の被害はまったくなかったそうだ。

754夜

2007-11-18 10:31:43 | Weblog
アスファルトの道を歩いていると、足の裏がボコボコした感じになる。膝をついて手のひらで調べてみると、アスファルトがボール紙になっている。上から見るとわからなかったが、少し厚いボール紙に絵の具を塗った感じである。手のひらで叩くとボンボンと音がして中身は空洞の感じである。もしボール紙が破れて下に落ちたらどうなるかわからないので、おっかなびっくり歩くが、ボヨンボヨンと弾む感じで今にも破けそうである。周囲の家の壁を見ると、それもどうやらボール紙に変化しているらしい。

753夜

2007-11-17 17:36:19 | Weblog
江戸っ子の気概を示すために、神田若衆会は木曽の山奥にまで出かけ、そこに自生する木で神輿を組み上げ、神輿を担いで神田まで帰るというイベントを挙行した。若衆といっても十七歳から五十数歳までの十人が参加した。神輿は重い。若衆以外の誰の助けも借りられない。木曽から江戸までの道のりは文字通り死を賭けた苦行である。最初は威勢よく掛け声をかけていた若衆も一人息絶え、一人息絶えて、江戸に入ったときには一人の若者が今では崩れ去った神輿の一本の木の棒を引きずって這うようにして神田に向かうばかりになっていた。それを取り巻く江戸の人々は手のひらの骨が砕けるほどの拍手喝采を送り、喉も裂けるほどの喚声をあげた。しかし、死にかかった若者を助けることは、かえってここまでたどりついた神田っ子のプライドを破壊することになるので、人々はじっと見ていることしかできない。若者はついに一本の木を引きずって神田明神の境内にたどりつき、そこで息絶える。人々は江戸全体が揺れるほどの絶賛を若者に浴びせる。徳川将軍は、この話を聞き、「町人ながら天晴れ」と、若者に特別にお言葉を下した。

752夜

2007-11-16 12:01:18 | Weblog
羽田空港の構内に祭りの屋台が出ている。飛行機を待つ間の暇つぶしに覗いてみると、金魚つりの要領で下に水槽があり、中から何かを釣り上げる屋台がある。よくあるザリガニつりかと思ってみると、サソリつりだと言う。上から見ると見た目はザリガニとほとんどかわらないサソリが何百とうごめいている。砂漠から採集してきた猛毒を持ったサソリだと言う。一回千円と高いが、私もやってみる。糸をたらすとサソリが釣り上がってくる。親父はビニールの袋に入れて私にサソリを渡す。私は猛毒入りのサソリをどうしていいかとまどう。サソリは猛毒の入ったしっぽをふりあげて私を威嚇する。

751夜

2007-11-15 19:00:43 | Weblog
まぶしいほどに光るレールがずっと続いている。私はレールのそばで電車を待っている。向こうから電車がくる。目の前にくると電車は紙一枚しかない。前から見ると、その後ろが続いているように見えたが、前面一枚の紙だけがすーっと移動してきただけである。よく見ると新聞の第一面で字と写真で埋まっている。写真の中の人が私に「早く乗れ」と言う。今年の都知事の候補者の写真である。写真の中で候補者が手招きする。私が第一面の中に飛び込むと、私も候補者の一人となって、私を手招きした候補者の横に写真となって掲載される。紙一枚の電車が出発する。私は候補者になる予定などなかったが、こうやって新聞の一面に載ってみると、少し誇らしくもある。

750夜

2007-11-10 10:21:58 | Weblog
朝、ベッドから抜け出してくる。普段と同じように服を着、ソファにすわる。飼っているウサギが二匹になっている。色、大きさともにまったく同一なので、しばらくわからなかったが、どう見ても二匹である。つまり、ここはまだ夢の中の世界だということだ。夢の中で目を覚ますことはしばしばあるが、今回はいつもと違う。つまり、自分の周囲の状態があまりにも現実世界と同じすぎる。こんなことは今まで一度もない。ウサギ以外にどこにも違うところがない。完全に夢の中だと確信できたときは、私はいつも窓から飛び出して空を飛ぶ快感を味わうことにしている。しかし、今回はその確信が持てず、窓を開けたものの、飛び出す勇気がない。普通にドアを開け、通りに出て、町の状態を確かめてみる。まったく普通である。夢と現実とで、どこにも違ったところがない。本当に自分は夢の中にいるのか、自分でもあやしくなってくる。

749夜

2007-11-08 20:05:08 | Weblog
土がむき出しの坂。幅百メートル、長さ百メートル。上のほうにカリブの海賊のアトラクションがある。実物の海賊が数百人並んで叫んでいる。下のほうに、映画を見ているとスクリーンから実物のターゲットが飛び出してくるシューティングのアトラクションがある。その他にも刺激的なアトラクションが並んでいる。この国有数のアミューズメントパークである。私は全裸にタオルを巻いて、そこにいる。顔にもタオルを巻いて誰にも私の正体がわからなくしている。私はこの国でも有数の有名人で、もし私の正体がわかったら、ここにいる全員が私を目がけて飛んでくるだろう。私はタオルから目だけ出して周りをうかがう。まだ誰も私の正体に気づいていない。私は安心してアトラクションを楽しむ。

748夜

2007-11-06 10:45:04 | Weblog
舗装された道の上を車で走っている。道は高架である。前方に全裸の女性が道にまたがっている。女性が巨大なのか、私が微細なのか、どちらか判断ができない。平均台の上に全裸の女性がまたがっている形である。車は女性の股間に向かって突き進んでいく。ちょうど股間の割れ目がトンネルの入り口となって、車は女性の体の中に入る。猛烈なスピードで突き進んでいるのに、いつまでたっても暗いトンネルが続く。トンネルは奇妙に曲がりくねっている。どうやら大腸から小腸に入ったらしい。やっと前方に明かりが見えてきて、車は舗装された道に出る。肛門を抜けてもとの道に出たらしい。