夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

1269夜

2017-04-14 09:55:15 | Weblog
かつてこんな話を聞いたことがある。自分の部屋を欲しがる子供に「おじいちゃんが死んだらその部屋をあげる」と親が答える。すると子供が「いつ死ぬんだよ!」と叫ぶ。さてそこでだ、もしその子が自分を偽る術を持っていて「そんなら自分の部屋なんかいらない。おじいちゃんにはいつまでも生きててほしいもん!」とおじいちゃんに聞こえるような大声で叫ぶことができたら、その子は親にもおじいちゃんにも愛されて幸福な人生を送ることができただろう。

1268夜

2017-04-14 09:52:56 | Weblog
最近の若い男は結婚して息子が生まれると「妻を他の男に奪われる苦悩」を味わうという。それまでは「夫が世界で一番大事な人」であり、すべては夫のために生きてきた妻が、息子が生まれた瞬間に激変し、「すべては息子の為に生きる女」になる。かつて「妻に世界で一番愛された男」は息子への憎悪に燃える。妻は息子という王様につかえる奴隷であり、夫にも奴隷となることを要求する。老年の私にもわかるような気がする。

1267夜

2017-04-14 09:48:43 | Weblog
かつて個人の映画シアターを持つことが金持ち、権力者の証明だった。そこで毎日個人が好きな映画を見ることができる。ソ連の独裁者スターリンが個人シアターを持っていたことを知って、私はどんなにその環境にあこがれたかしれない。そして今、私たちのほとんどすべてがケータイ一つで個人シアターを所有することができる。21世紀のデジタル革命は産業革命に匹敵する革命だと言われる。18世紀の産業革命はそれまで約一万年の間遅々として進展しなかった人間の世界を激変させた。そしてデジタル革命は産業革命以来三百年の歴史をさらに激変させている。歴史が激変する時代を生きられたということは幸福である。タイムマシンに乗って二つの世界を経験できたことになるからだ。ちょうどデジタル革命に間に合う年に生まれたのが私の人生の最大の幸福だ。