いいね~おいしいね~

食べたり買って良かったもの等を実体験に基づき厳選紹介!ぜひご利用頂きより良い人生や日本経済等活性化につながれば幸いです♪

「新幹線の科学(梅原 淳)」という本はオススメ!

2011年05月06日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

「新幹線の科学(梅原 淳)」の購入はコチラ

この「新幹線の科学」という本は、最新のN700系の内容、新幹線の歴史、駆動、電力供給、車体、客室、運転、線路、安全、乗客サービスと運行等について、カラー写真を使って分かりやすく、そして詳しく説明した本です。

 普段ほとんど事故もなく快適に乗車している新幹線ですが、いろんな技術や工夫がなされているんだなぁと、感心しながらとても興味深く読めました。

とてもオススメな本です!

 以下はこの本でナルホドと思ったポイント等です。

・N700系は強力なモーターと、16両編成中のモーターの数を700系の48基から56基へと増やしたことから、700系よりも加速力が強い。停止状態から270km/hに到達するまでの時間は約3分と、2分も縮めたという。

・N700系の最高速度は300km/hである。ただし、この速度で走れるのは山陽新幹線(新大阪~博多間)だけ。東海道新幹線(東京~新大阪間)は270km/hだ。東海道新幹線には、半径2,500mのカーブが点在するために270km/hを超えて走行できないからであり、N700系の問題ではない。山陽新幹線はカーブの半径を基本的に4,000m以上として建設されているので300km/hが出せる。

・屋根上のパンタグラフにも数々の環境対策が施されている。実は超高速で走行する新幹線の車両の空力音の多くは、パンタグラフから生じるものだ。N700系が備えている「く」の字型のシングルアームパンタグラフの下部h、流線型の風防カバーで覆われた。さらに、パンタグラフと車体との間に設けられた碍子を従来の4基から3基に減らし、いずれも空力音の低減に結びつけている。

・N700系は、700系と比べて10%も電力消費量が減った。N700系の省エネ化は、おもに3つの要素から成り立っている。1つ目は、車体傾斜装置の導入でカーブ手前での減速と、通過後の加速が不要となったことだ。2つ目は、空気抵抗を減らすための工夫が施されたという点である。N700系の車体の幅は3.36m、高さは先頭車の前位で3.5m、そのほかが3.6mと、700系の幅3.38m、高さ3.65mと比べて小さい。さらに、全周ほろや台車カバーによって車体の表面を一体化、なめらかなものとしたことで、空気抵抗は700系より20%も減少した。3つ目の要素は、16両編成のなかでモーターを搭載した車両を増やしたという工夫である。N700系は、16両中14両に1両あたり4基、合計56基のモーターを搭載した。これは700系の12両、48基よりも多い。ところが、N700系にかぎらず、近年登場した電車は「回生ブレーキ装置」といって、超高速域から停車寸前まで、モーターを発電機として使用すことでブレーキを作動させ、発電された電力を架線に戻す仕組みをもつ。このため、モーターが増えれば増えるほど発電量は増える。つまり、スピードアップで余計に電力を消費しても、止まるときにはその一部を取り戻せるのだ。

・普通車、グリーン車とも、N700系の車内は座席は禁煙化の流れにのっとってすべて禁煙となった。愛煙家には3、7、10、15号車に喫煙ルームが用意されている。喫煙ルームは禁煙となった車内とは完全に分離され、「強制排煙装置」をはじめ、JR東海が自社の研究施設で独自に開発した「光触媒脱臭装置」といった装置が導入となった。また、喫煙ルームには独立した換気装置が設けられているため、タバコの煙や臭いが車内のほかの場所に広まることもない。

・セキュリティー面が強化されたのもN700系の特徴だ。すべてのデッキ、そして先頭と最後部の乗務員室の入口には「車内防犯用カメラ」が設置された。カメラの台数が多いため、乗務員や地上の担当者が撮影中の映像を随時チェックすることは難しいという。

・新幹線の歴史は意外に古い。明治時代の昔から構想が立てられている。実際に計画が進められたのは、戦前の1938年のことである。東京と下関との間を最高速度200km/h、所要時間9時間50分で結ぶことを目的としたこの計画は、弾丸列車構想ともいう。このころ日中事変が勃発して、在来線の東海道、山陽本線には多数の列車が増発され、輸送能力が限界に近づいた。新幹線を建設して輸送力の増強を図ろうと考えたのである。このとき決められた車両の寸法や線路の規格は、今日の新幹線とほぼ同じだった。ただし、貨物列車の運転も予定されていた点が異なる。建設工事は1941年に始まり、現在の東海道新幹線の新丹那、日本坂の両トンネルはこのときに掘られ、新横浜~小田原間、熱海~三島間、三河安城~名古屋間の一部の用地も取得された。しかし、戦争が激しくなってしまい、1944年になってこの計画は残念ながら打ち切られてしまう。戦後、東海道本線の輸送力が行き詰まったため、1955年以降に東海道新幹線を建設することが決まり、1964年10月1日に開通する。

・新幹線の勾配は、おおむね1,000m進むごとに20mの高低差がつく20‰(パーミル)以内としてつくられた。近年は電車の性能が向上したために35‰の勾配も九州新幹線で見ることができるが、距離はごく短い。

・JR東海は、「300系」「700系」「N700系」の3種類の車両をもつ。これらはすべて普通車13両、グリーン車3両から成る16両編成を組み、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「ひかり」「こだま」として走り回っている。300系は、1992年3月14日に誕生した「のぞみ」にもちいるために開発された車両だ。東海道・山陽新幹線の車両としては初めて270km/hで走行できようになった点が最大の特徴である。この系列から採用されたVVVFインバータ制御によって強力なモーターが小型・軽量化されたため、出力を上げることが可能となった。同時に回生ブレーキ装置を作動可能となり、省エネルギー性も向上している。300系は、のちに登場する新幹線の車両の基礎をつくった車両といってよい。700系は300系の改良版として1997年9月に登場した。最高速度は270km/hから285km/hへとアップし、車内も断熱性の向上で空気調和装置の利きがよくなり、静粛性も高まるなど、快適度が増している。300系での経験を生かし、省エネルギー性や沿線への騒音・振動の低減にも配慮され、カモノハシを思わせる先頭形状となった。N700系は、700系の思想をさらに推し進め、2005年3月に姿を現した車両だ。

・JR西日本では「100系」「300系」「500系」「700系」「N700系」、JR九州では「800系」がそれぞれ活躍している。1996年に登場した500系は、戦闘機のような先頭形状と、円形の断面を持つ。新幹線の車両として300km/hの最高速度を初めて達成した車両だ。超高速で走行中にも乗り心地を損ねないよう、アクティブサスペンションやセミアクティブサスペンションといった振動を緩和する装置が初めて導入されたり、沿線への騒音やトンネル進入時の衝撃を緩和するための先頭形状など、のちに登場する車両に引き継がれた特徴は数多い。

・JR東日本には「200系」「E1系」「E2系」「E3系」「E4系」の5系列が営業に就いている。

・新幹線が交流で電化された理由には、大きな電力を供給できるからというほかに、電力会社が発電した交流をそのまま利用できるという点も挙げられる。しかし、ここで問題が生じてしまう。日本の電力会社は東日本では50Hz、西日本では60Hzと、異なる「電源周波数」の交流を供給しているからだ。最初に開業した東海道新幹線の場合、新富士~静岡間にかかる富士川橋梁を境に、電力会社が供給する電源周波数が変わることが問題となってしまう。車両側で電源周波数を切り替えることも可能だったが、当時の技術では機器が重くなってしまうために断念せざるを得なかった。そこで国鉄h、架線の電源周波数をどちらかにそろえることを検討する。東海道新幹線は将来、西日本方面への延長が予定されていたため、距離の長い60Hzが採用となった。電力会社から50Hzの交流が供給される富士川以東では「周波数変換変電所」を設置し、電力会社から受け取った50Hzを60Hzへとあらためてから架線へと送っている。同じく異なる電源周波数が供給される地域を通る長野(北陸)新幹線のときには、技術が進歩したため、電車が電源周波数を切り替えることにした。

・新幹線の電車の車体に用いられる素材は鋼鉄とアルミニウム合金との2種類がある。鋼鉄性の車体をもっているのは100系とE1系、アルミニウム合金でつくられた電車は200系、300系、500系、700系、N700系、800系、E2系、E3系、E4系、E5系だ。近年登場する電車はすべてアルミニウム合金製の車体をもち、主流を占めている。鋼鉄と比べ、アルミニウム合金は非常に軽いという特徴をもつ。新幹線の場合、鋼鉄製の構体の重さは10t程度であるのに対し、同じ強度をもつアルミニウム合金製の構体では6tほどしかない。残念ながら、アルミニウム合金にも欠点はある。それは大変高価だという点だ。鋼鉄と比較すると2倍から数倍の費用がかかる。しかし、軽いために車両が走行する際の電力を少なくすることが可能だし、軌道をはじめ、施設への負担も少ない。仮に車両を10年使用するとして総合的に費用を計算すれば、アルミニウム合金製の車体のほうが得になるのだ。

・新幹線の車両の窓は、概して新しいものほど幅が狭い。かつては座席2列につき1枚の窓と、幅にしておよそ1.5~2m近い窓が取り付けられていたが、いまでは座席1列に1枚の窓が標準的となった。幅もどんどん狭くなり、N700系やE5系は50cm前後と、航空機の窓と変わらない寸法となっている。窓が小さくなった理由の1つは、破損時のことを考えてのものだ。超高速で走行している新幹線の車両は、バラストや雪の破片が窓に当たってガラスが割れるトラブルが絶えなかった。大きな窓では取り替えの手間も時間もかかり、コストもかかる。そこで、窓を小さくしのだ。また、最高速度が上がると車体に作用する力も大きくなるので、強度を高める必要がある。有効な方法は、開口部を減らし、そのぶんを板とすることだ。N700系の場合、普通車の窓の幅は50cmだが、窓と窓との間にある板の幅は54cmと、とうとう窓よりも広くなってしまった。

・新幹線の車両は超高速で走行するため、線路際に建てられた信号機を確認しながらの運転は困難だ。そこで、信号機は運転室に設けられた。これを「車内信号機」という。

・総合指令所が機能を失うと新幹線を運行できなくなるため厳重に警備され、場所も非公表。東海道・山陽新幹線はバックアップのための第2総合指令所をもつ。

<目次>
はじめに
第1章 N700系の科学
 1ー1 新しい新幹線「N700系」はなにがすごいのか?
 1ー2 N700系はなぜ300km/hもだせるのか?
 1ー3 300km/hを実現する車体傾斜装置の秘密
 1ー4 空気抵抗を減らして「速く静かに」走行する
 1ー5 増えたモーターがどんどん架線に電力を戻す
 1ー6 ビジネスマン向けにコンセントや無線LANを設置
 1ー7 バリアフリー化や防犯対策で人にやさしい新幹線に
第2章 新幹線の基礎知識
 2ー1 新幹線を実際に走らせているのは誰?
 2ー2 新幹線という言葉にはどんな意味がある?
 2ー3 速度が遅くても新幹線と名乗っている電車とは?
 2ー4 戦前の弾丸列車構想が新幹線の始まりだった
 2ー5 なぜ新幹線には踏切がないのか?
 2ー6 日本の「大動脈」として新幹線は走り回っている
 2ー7 外観は新幹線でも新幹線と呼ばれない路線とは?
 2ー8 新幹線の車両を見てみよう①~JR東海
 2ー9 新幹線の車両を見てみよう②~JR西日本、JR九州
 2ー10 新幹線の車両を見てみよう③~JR東日本
 2ー11 新幹線の車両を見てみよう④~営業に就いていない車両
 2ー12 新幹線のルートは橋を架け、トンネルを掘ってつくられる
 2ー13 新幹線車両の研究・開発。設計・製造、運搬の秘密
第3章 駆動系の科学
 3ー1 新幹線は強力なモーターで超高速走行を実現する
 3ー2 どんなモーターが新幹線には使われている?
 3ー3 車重を減らすシステムユニット構造とは?
 3ー4 直流主電動機のトルクをコントロールする方法
 3ー5 誘導主電動機のトルクをコントロールする方法
 3ー6 モーターの回転力を車輪へ伝える仕組み
 3ー7 走行と車体支持を受けもつ台車のいろいろな仕組み
 3ー8 台車に取り付けられた乗り心地をよくする仕組み
 3ー9 「ネコ耳」がある新幹線って?新幹線の多彩なブレーキ
第4章 電力供給の科学
 4ー1 新幹線を超高速で走らせる大電力をどう供給する?
 4ー2 2種類の電源周波数に新幹線はどう対応したか?
 4ー3 新幹線に電力を確実に供給する複雑な仕組み
 4ー4 複雑に張られた架線にはちゃんと理由があった!
 4ー5 空気抵抗を減らして、騒音を抑えるパンタグラフ
 4ー6 パンタグラフのない車両にどう電力を供給している?
第5章 車体の科学
 5ー1 新幹線の車体にはどんな性能が求められる?
 5ー2 なぜ新幹線の先頭車両は流線型の部分が長いのか?
 5ー3 なぜアルミニウム合金が新幹線の車体に使われる?
 5ー4 遮音性や断熱性が高いダブルスキン構造とは?
 5ー5 新幹線は気密構造で乗客を守っている!
 5ー6 床下の機器類の搭載方法も進化している!
 5ー7 機器類を床下に置けない二階建車両の裏技とは?
 5ー8 「天井裏」を廃止して車高が低くても狭くない!
 5ー9 超高速走行と引き替えに窓が小さくなるワケ
 5ー10 高速走行のために重心を下げる工夫とは?
 5ー11 車体の振動を抑える車端ダンパ&車体間ダンパ
第6章 客室の科学
 6ー1 リクライニングと回転に対応する進化した腰掛
 6ー2 座り心地がよくなり重さも軽くなっている腰掛
 6ー3 東海道新幹線のトンネルはなぜ携帯電話を使えるの?
 6ー4 新幹線に個室や子ども用の運転台がある?
 6ー5 3層構造の窓は飛び石にも耐えられる!
 6ー6 N700系はくつろげる電球色の蛍光灯を採用
 6ー7 停車駅やニュースを流す旅客案内情報装置の秘密
 6ー8 車内の冷暖房や換気や気密を保ちながら行う
 6ー9 新幹線のトイレは旅客機と同じ真空吸引式
 6ー10 新幹線の車内にエレベーターがあるものも!
第7章 運転の科学
 7ー1 新幹線の運転室にはどんな機器があるのか?
 7ー2 なぜ線路際に信号機がないのか?
 7ー3 3つのモニター装置にはどんな情報が表示される?
 7ー4 30km/h以下のときはATCを解除して手動に
 7ー5 万が一の異常事態にはどうやって対応する?
第8章 線路の科学
 8ー1 ロングレールと伸縮継目の秘密
 8ー2 新幹線の「道床」はなぜ2種類あるのか?
 8ー3 どうして超高速で分岐できるのか?
 8ー4 川や道路を越えて新幹線を走らせる橋梁
 8ー5 山をつらぬき海峡の下をくぐり抜けるトンネル
 8ー6 騒音を減らすために日夜研究が行われている!
第9章 安全の科学
 9ー1 乗客の安全を守るATC(自動列車制御装置)とは?
 9ー2 すべての新幹線を管理するCTC(列車集中制御装置)とは?
 9ー3 場所は極秘の総合指令所とは?
 9ー4 列車無線装置は運転士と連絡するだけではない!
 9ー5 黄色い車体で走り回る新幹線は何者なのか?
 9ー6 さまざまなメンテナンスが欠かせない
 9ー7 新幹線の軌道はメンテナンスが欠かせない
 9ー8 架線や電柱、トンネルや橋の点検も定期的に行われる
 9ー9 天災による大きな被害を回避するための仕組み
第10章 乗客サービスと運行
 10ー1 「みどりの窓口」はMARSの端末機がある窓口
 10ー2 自動改札機の利用状況は車掌にも伝えられる!
 10ー3 車掌も運転を担当!?運転車掌と旅客専務車掌
 10ー4 列車ダイヤやいまでも熟練の担当者が仕上げる
 10ー5 ほっとひと息つける車内販売の意外な秘密
第11章 海外・将来の高速鉄道
 11ー1 ヨーロッパ版新幹線「TGV」「AVE」「ICE」
 11ー2 台湾高速鉄道には日本の新幹線が駆け抜ける!
 11ー3 各国がしのぎを削る高速鉄道の売り込み合戦
 11ー4 これから走り回る全国各地の新幹線とは?
 11ー5 超電導リニアが走る中央新幹線とは?
 11ー6 超電導リニアの車体と線路の仕組み
 11ー7 全国に新幹線を走らせる?フリーゲージトレインとは?
参考文献
索引

面白かった本まとめ(2010年下半期)


<今日の独り言> 
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする