ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第 251号、議員候補の公約

2007年01月15日 | 政治関係
教育の広場、第 251号、議員候補の公約

 今年は選挙の年です。既に立候補予定者の多くは活動を始めてい
ます。

 最近はマニフェストとかが強調されるようになってきています。
結構な事だと思います。

 そこでマニフェストも含めて議員候補の公約について考えてみた
いと思います。なぜならそれは首長の公約とは原理的に異なる面が
あるからです。

 すぐにも分かりますように、首長は「行政の長」ですから実行す
る権限を持っていますが、議員は「立法府」に属し、しかも「ワン
・オブ・ゼム」ですから、実行する権限を持っていないのです。も
し権限があるとするならば、それは調査権です。

 すると、議員になったとして、出来る事は次の3種になると思い
ます。

 A・議会などでの発言で首長に実行を要求すること。議会で多数
を獲得した場合には、法律や条例を作って首長に実行を強制出来る
こと。

 B・同じ考えの議員仲間と一緒に実行できること。

 C・自分だけで実行できること。

 Aは一番大切な事ですが、1人でするのは難しいでしょう。する
と、始めから首長派になるのが最も適当ということになりますが、
首長の姿勢に問題が多い時には、首長派になるは正しくないし、か
といって多数派を形成するのも難しいということになると思います


 そこで、この種の公約は「それを必ず実行します」というもので
はなく、「そういう立場で発言します」ということになります。

 Bは同じ志を持つ議員仲間で集まればいいわけで、出来ない事は
ありません。例えば、「政務調査費の使い道を領収書を付けて全部
明らかにし、余った金は返す」といった公約は、1人でも出来ます
し、仲間と一緒にも出来ます。

 こう考えればすぐにも分かる事は、BはCに帰着するということ
です。

 Cは「1人でも出来ること」つまり「自分だけでもやろうと思え
ば出来る事」ですから、これこそが本当の公約だと思います。

 では、議員の場合、自分だけで出来る事で重要な事は何でしょう
か。

 議員の第1の仕事は政策の提案と行政の監視ですから、その前提
として、市政や県政などを日頃から研究していなければなりません
。又、そのために調査権があるのです。

 その結果をホームページにまとめるべきだと思います。つまり、
自分で「役所のホームページ」を作ることです。私はこれを「カウ
ンター・ホームページ」と呼んでいます。役所の作ったホームペー
ジに対抗するものだからです。

 これは現今の「情報公開」や「説明責任」の実情を見ればますま
すその重要性が増すと思います。今や「情報公開」や「説明責任」
を言わない人の方が少ない時代になりましたが、実際には「本当の
情報公開」はほとんどなされていないからです。特に公的機関の情
報公開がお粗末です。

 前号で論じましたように、本来、完全に近い情報公開をしていて
おかしくない学校ですら、お粗末そのもののホームページが沢山あ
ります。役所のホームページも同様です。

 こういう現状に対して、多くの候補者が「行政の情報公開」とい
う公約ないし政策を掲げます。

 しかし、この「行政の情報公開」こそが首長の姿勢でほとんど決
まるのです。これは、これを要求して戦っているオンブズ関係の人
達の間では常識です。

 すると、この事自体はAに属する公約になります。しかし、する
と官僚首長には求むべくもないということになります。

 これまでの議員はここで終わっていたと思います。では、どうし
たらいいのでしょうか。

 例えば、県会議員候補者は「県庁のカウンター・ホームページを
自分で作り、議員の権限を使って調べた事をみなホームページに発
表します」という公約を掲げるべきだと思うのです。

 市議会議員候補者は「市のカウンター・ホームページを自分で作
り、議員の権限を使って調べた事をみなホームページに発表します
」という公約を掲げるべきだと思うのです。

 議会はシンクタンクになれと言った人がいます。その通りです。
しかし、現状はシンクタンクの「シ」の字もないと思います。議員
活動の原点は行政の調査研究でり、それをカウンター・ホームペー
ジに発表することです。

 このほかに、「週に1度は養護施設(とか学校とか行政の出資し
ている機関等)を1ヵ所は視察して実情調査をします」といった公
約も考えられますし、必要です。

 しかし、これはカウンター・ホームページにまとめてこそ意味の
あることですから、事実上、カウンター・ホームページを作ること
に帰着します。

 しかるに、市役所でもそうですが、まして県庁となると、その守
備範囲は膨大で、1議員では調査し切れないと思います。

 たしかに議員には1千万を越える年俸がありますし、政務調査費
もありますから、それらを使って手伝ってくれる人を集めることは
できます。この事自体はぜひ必要です。

 しかし、それでも1人の議員で全部を調べて「真ホームページ」
を作るのは難しいでしょう。そこで考えられるのが、同志を集める
ということです。何人かの議員が協力すればかなりの力になると思
います。

 私は1市民として「浜松市役所の真ホームページ」を作っていま
す。自治会長をしていた頃から集め始めた情報が今、役立っていま
す。

 先日は「合併の真実」と題する文を発表して、「合併で職員給与
の総額は増えた」という事実を明らかにしました。

 しかし、市民では調査といっても限度があります。時間も金も人
手も足りません。私は1人でも続けるつもりですが、本来は議員こ
そがこれをするべきだと思います。

 最近、議員の特権を廃止しようという運動を始めた議員たちがい
るようです。当然の事です。遅すぎたくらいです。しかし、「特権
廃止」程度では議員の活動として不十分すぎます。

 もっと大きく、議員の活動の根本たる県政や市政の調査結果をカ
ウンター・ホームページにまとめる運動こそするべきでしょう。