ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

NHK の広場、23、填詞の es

2005年12月10日 | NHKの広場
NHK の広場、23、填詞の es

 NHK のラジオドイツ語講座入門編の2005年の後期は「ゴールめざ
して、ケンのドイツ留学生活」です。これは2004年の前期の再放送
です。講師は慶応大学教授の境一三(さかい・かずみ)氏です。

 11月16日(水)の放送分の中に次の文がありました。学生がパー
ティーの準備をしている場面です。

 Wie machen wir es mit der Musik?
 (音楽はどうしようか)

 この文の中にある es についてリスナーから質問が来たようで
す。11月29日(火)の放送の中で次のように答えていました。

質問・この es は絶対に必要なのですか。
講師の回答・
 これはぜひ決まり文句として覚えていただきたい。2人のドイツ
人ゲストに剃る他の例を挙げてもらいます。

Morgen kommt Kazumi zu Besuch. Wie machen wir es mit dem
Essen?
(明日、カズミが来るんだけど、食事はどうしようか)

 ここでも es が使われています。このように es は絶対に無くて
はならないので、丸ごと覚えてしまいましょう。
  (回答は以上で終わり)

 この「回答」はたしかに聞かれた事に表面的には答えています
が、学問でもなければ教育でもないと思います。

 教師というのは、質問者の言葉の奥に無自覚な形で眠っている知
識欲を推察して、それを意識化させて、更なる勉強への刺激を与え
るように答えるべきだと思います。

 私の答えは次の通りです。

 これは「填詞の es 」です。

 説明・他動詞の目的語が必要なため、熟語に現れる形式的目的語
の es 。

1. Ich habe es eilig.(私は急いでいる)
  2. Sie hat es gut mit dir. (彼女は君に好意を持っている)
3. Machen Sie es sich bitte bequem!
(どうぞお楽にして下さい)

★ 意味上の目的語を表す必要がある時は mitを介して表す。

1. Unser Lehrer nimmt es mit der Aussprache nicht allzu
genau.
  (私たちの先生は発音をあまり厳しく言わない)
2. Er hat es mit seiner Braut gut getroffen.
  (彼は運良くいいお嫁さんを当てた)
3. Ich habe es mit meinem Studium noch nicht so weit
gebracht.
  (私の研究はまだあまり進んでいない)

★ 俗語調では es の代わりに dasを用いることがある。

1. Mach das mit ihm alleine ab, ich will davon nichts
wissen!
 (奴の事は君一人でやれよ。俺はノータッチだ)

★ これは非人称主語の es に対応する。

1. Es regnete in Stroemen. (土砂降りだった)
2. Es spukt in diesem Schloss. (この城には幽霊が出る)
3. Langsam wurde ihm waermer.
(彼はだんだん温かくなってきた)
 説明・倒置文では es は省略される。

 ★ 本当の主語を出す必要のある時は um または mitで表す。

1. Es ist eine raetselhafte Sache um die menschlichen
Leidenschaften und Kindern geht es damit nicht anders
als Erwachsenen.(果てし無い物語)

英・Human passions have mysterious ways, in children as
well as grown-ups.
(人間の情熱というのは不思議なもので、その点では子供も大
人も同じだ)

2. "Hast du ihn schon einmal darum gebeten?" / "Nein." /
"Es ist schrecklich mit dir!" (Kokoro)

英・"Have you asked him?" "No." "Well now, that won't
do, will it?"

日・「頼んで御覧なのかい」「いいえ」「じゃ仕方がないじゃな
いか」

   (2005,12,10)