安倍晋三10/8党首討論:加計政治関与疑惑「私が関与したと言った方は1人もいない」は無罪証言とならず

2017-10-09 12:19:13 | 政治

日本が主権国家として真に自立するために

 
  →日米同盟破棄→専守防衛


    →自衛隊憲法明記


 →核不拡散条約締結条件北朝鮮核保有承認


 →核政策を対話コントロール→防衛費削減
  

     →教育費無償化財源

 2017年10月10日公示日、2017年10月22日投票の衆議院議員選挙に向けた党首討論が2017年10月8日、日本記者クラブ主催で行われた。第1部は出席党首が最も訴えたい冒頭発言後、党首が他の党首を指名して行う質疑が行われたが、1回限りの一問一答形式で、答弁に対する反論、あるいは再質問は許されてはいない。相手が質問にまともに答えなくても、安倍晋三のお得意技だが、不満を抑えて次の質問者に発言を譲らなければならない。

 発言は2017年10月8日付「産経ニュース」記事に依った。文飾は当方。   

 希望の党代表小池百合子「情報公開について、安倍首相にうかがいたいと思います。PKO(国連平和維持活動)の日報問題しかり。森友・加計疑惑等々、これについても情報公開が足りないことで、自衛隊に対しての信頼性、また(国家戦略)特区という制度についてのネガティブな印象が大変高まってしまいました。

 私は東京都においてこれまでも公金の支出、70万件に亘りますが、これをホームページに全部掲載するなど、情報公開を進めてまいりました。公文書の管理も大変重要な課題です。これについて、安倍首相としてどのように対応されるのか。

 また、加計・森友問題についても十分な納得が国民はいっていないのではないか。これについてどうお答えになりますでしょうか」

 安倍晋三「いわゆる森友問題、獣医学部新設の問題でありますが、私もこれまで予算委員会や閉会中審査で丁寧に説明を重ねてまいりました。一部説明の足りない点、あるいは姿勢については反省すべき点はあると思いますが、ただ委員会の中で明らかになったことは、前川(喜平・前文部科学事務次官)さんも含めて私から言われた、あるいは私が関与したと言った方は1人もいないということは明らかになっています。

 また、(国家戦略特区ワーキンググループ)民間委員の八田(達夫)さん、原(英史)さん、民間委員の皆さんは口をそろえて『1点の曇りもない』ということは明確にされています。

 また、愛媛県の加戸(守行・前)知事はずっとこの問題に取り組んでこられた、門を開けようと頑張ってきた方でありますが、『行政が歪められたのではなく、歪められた行政が正された』と言っておられます。予算委員会を、報道されなかった部分も含めて全部ご覧になった方々はかなり納得されたのではないかと思います」

 確かに前川喜平前文部科学事務次官は2017年7月24日の衆院予算委員会閉会中審査で安倍晋三が言っているような趣旨の答弁をしている。

 自民党小野寺五典「前川さんは、在職中、これは次官というお立場にありますので、何度か総理と官邸でお会いをされる機会があるんだと思います。その際、この獣医学部の新設について、直接総理から何か指示やお話があったことはありましたでしょうか」

 前川前事務次官「この今治市における加計学園の獣医学部の新設の問題につきましては、文部科学省は基本的には内閣府から様々な指示を受けていたということでございますので、その結果はペーパーに残っておりまして、その中に、官邸の最高レベルの言っていること、あるいは、総理の御意向と聞いている、こういう文言があることは御承知のとおりでございます。

 私は、これは事実であるというふうに思っておりますし、そのように恐らくは内閣府の藤原当時の審議官がおっしゃったのであろう。その先のことは、これはわかりません。藤原さんが誰からそれを聞いたのか、それはわかりません。

 私自身は、総理から直接伺ってはおりませんが、しかし、9月9日と記憶しておりますけれども、和泉総理補佐官から、国家戦略特区における獣医学部の新設について文部科学省の対応を早く進めろ、こういう指示をいただきまして、その際に、総理は自分の口からは言えないから代わって私が言うんだ、こういうお話がございました。

 これにつきましては、私は、総理は御自身では言えないのだというふうに思いましたので、そのことについて総理にお伺いするということは考えてもみなかったわけであります」

 自民党小野寺五典「今のお話を伺うと、前川参考人は、直接総理から何らかの指示を受けたことも話を聞いたこともない、ただ、さまざまな文書、出ている文書は私は真実だと思うし、その際、藤原審議官の話も実は正しいのではないかという印象を持っているというお話だと思います。

 実は、この一連の話を聞いていくと、この疑惑に関して、いわゆる総理の関与ということ、これが、先程来お話が出てくる、唯一発言されているのがきょう来ていただいている前川参考人の発言ということになります」

 小野寺五典はこの後、同じ参考人として出席している総理補佐官の和泉洋人に前川前事務次官が言っているような指示を出したのかと質問、和泉洋人はそのような事実はないと答弁。

 要するに小野寺五典は前川前事務次官の「私自身は、総理から直接伺ってはおりませんが」の発言を根拠に「総理の関与」は直接的伝聞に基づいているのではなく、前川前事務次官がただ一人口にしている単なる間接的伝聞に基づいた印象に過ぎないという疑惑の構図を描いてから、同じ参考人として出席していた総理補佐官の和泉洋人に質問、和泉洋人は獣医学部新設に関して何の指示も出していない、「総理は自分の口からは言えないから代わって私が言うんだ」と伝えた事実もないと否定、小野寺五典はこの否定と前川前事務次官の間接的伝聞に基づいた証言とを併せて疑惑の構図を否定すべく巧みな誘導を試みたのである。

 この誘導が成功したかどうかは別問題である。世論調査を見ると、政府の説明は信用できないが大勢を占めていたから、成功していないことになる。

 小野寺五典と前川前事務次官の遣り取りに文科省発見の文書の内容を加えると、疑惑自体の構図とは別に疑惑に関与する形で登場する人物たちそれぞれがどのような役割に基づいて行動したのかの役割の構図が自ずと浮かんでくる。

 先ず2016年11月9日の「第25回国家戦略特別区域諮問会議」で獣医学部新設の方針が決まる前の2016年9月から10月にかけて文部科学省が内閣府の担当者との遣り取りを記したとされる文科省内で発見された「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」なる題名の文書には次のような記述がある。一部抜粋。

 〈○設置の時期については、今治市の区域指定時より[最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。

     ・・・・・・・・・・

 ○「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上中旬には本件を諮問会議にかける必要あり。〉・・・・・・・

 この文書が事実を伝えているのかいないのかは措いておくことにするが、文書上は新設方針が決まる11月9日前に既に開学時期について「平成30年4月開学」と決めて、新設計画を進めていたことになる。

 当然、新設計画を進めるに当たっては獣医学部新設の事業主体がどこか決まっていたことになる。決まっていなければ、事業主体として名乗り出る教育機関があるかどうかも分からないうちに、あるいは名乗り出たとしても、海のものか山のものか分からないうちに開学時期だけを先に決めるということはあり得ない。

 「大臣」とは文科相の松野博一を指す。内閣府は国家戦略特区を所管している。要するに内閣府が安倍晋三の指示による「総理のご意向」を受けて、獣医学部新設の先頭に立っているという政治関与に関わる役割の構図を描いていることになる。

 これも2016年11月9日の「第25回国家戦略特別区域諮問会議」で獣医学部新設の方針が決まる前の2016年11月1日の日付の内閣府から文科省行革室宛てのメールには、諮問会議が「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度を直ちに行う」とした新設方針は当初は〈獣医師系養成大学等のない地域において獣医学部の新設を可能とすることを認めるため、関係制度の改正を直ちに行う〉とあったものに対して、「広域的に」と「限り」の言葉を付け加えて文言を整えた〈指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。〉との記述がある。

 勿論、この記述も事実か否かの真偽は措いておくが、当時内閣官房副長官を拝命していた萩生田光一は安倍晋三の側近中の側近であって、安倍晋三の腰巾着とまで言われている。

 国家戦略特区所管の内閣府の担当大臣であり、国家戦略特区諮問会議の進行役である山本幸三が大学新設担当の文科相や文科省職員、さらに民間議員も含めた諮問会議メンバーに諮って決めるべき獣医学部新設に関わる地域条件を萩生田光一の指示で書き換えた。

 と言うことは、安倍晋三の指示による「総理のご意向」を受けて安倍晋三の側近中の側近、腰巾着の萩生田光一が先導役で内閣府と共に獣医学部新設を主導、新設に関係してくる文科省や農水省を動かしていた政治関与を骨格とした役割の構図が自ずと見えてくる。

 このような役割の構図は世の中にいくらでも存在する。テレビのサスペンスドラマでも日常普段のように見かける。それが犯罪であろうと社会的に合法な行為であろうと、一人が指示して、自身は一切表に出ず、表に出るのは部下に当たる単独か複数の人物で、彼もしくは彼らが指示者に代わってその指示に従って動き、目的の計画、あるいは陰謀を達成するいう役割の構図である。

 かつてのバブル時代、大手の不動産会社が土地転しで儲けるために自身の手を汚すわけにはいかず、間にダミーの中小の不動産屋を複数社使って土地を転売させては値を吊り上げ、思惑の土地価格に値上がりしたところで売買契約書上では最終的な高値で買ったように見せかけるが、実際は裏でカネを出して最初に買った値段で引き取るといったことが頻繁に行われていたが、土地転しを命じる大手の不動産屋は決して表には出ず、表に出るのはの常に中小の不動産屋であった。

 また、暴力団の世界にもよくある役割の構図でもある。親分は表には出ず、子分に表の役割を命じる。

 安倍晋三の加計学園獣医学部新設に関わる政治関与疑惑がこのような役割の構図を取っていたなら、いわば安倍晋三は一切表に出ずに指示を出すだけで、指示に従って表に出て動いたのが萩生田光一や内閣府の山本幸三、同じく内閣府の国家戦略特区ワーキンググルーを取り仕切った審議官藤原豊だったとしたら、安倍晋三が「前川(喜平・前文部科学事務次官)さんも含めて私から言われた、あるいは私が関与したと言った方は1人もいないということは明らかになっています」 と言おうと、政治関与疑惑の免罪符とすることはできない。

 当然、「(国家戦略特区ワーキンググループ)民間委員の八田(達夫)さん、原(英史)さん、民間委員の皆さんは口をそろえて『1点の曇りもない』ということは明確にされています」と口を酸っぱくして言おうと、安倍晋三自身が表に出て企んだことでなく、実際のことを知っているのは安倍晋三本人と萩生田光一等のその仲間であり、その仲間の疑惑の否定は当然のことで、安倍晋三が言っていることは無実の証言とはならない。

 今治市から開示できる記録には今治市役所の課長と課長補佐が2015年4月2日の15時から16時30の間に獣医学部の設置に関して首相官邸を訪問したという記述があるという。但しその記録は首相官邸の誰が面会したのかは黒塗りになっているという。

 例え黒塗りになっていたとしても、用件は獣医学部設置に関してだから、面会者は獣医学部設置に話が通じる人物ということになる。

 政府側はそれが誰なのか、野党の追及に対して訪問者記録は破棄して、誰か分からないを押し通し、面会したとされる当時首相秘書官の柳瀬唯夫は記憶にないの一点張りで、安倍晋三政治関与無実の証拠とはなり得ていない。

 もし安倍晋三が一国の首相の名誉に関わることだからと今治市に対して黒塗りにしている記録の開示を求めて面会者が柳瀬唯夫でなく、(黒塗りにしていること自体が有罪の証拠でしかないが)、獣医学部設置に話が通じる人物でなければ、今治市側の用件と矛盾することになる点を差し引きして、疑惑はある程度晴らすことができることになる。

 いずれにしても、安倍晋三の「私が関与したと言った方は1人もいない」は決して疑惑の無罪証言とはならない。無罪証言とはならない発言で以って無罪を証言しようとしている。

 このこと自体が疑惑を限りなく黒にすることになる。


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