安倍晋三森友学園忖度疑惑:安倍昭恵証人喚問等はゴミの実際量熟知の杭打ち業者等の証人喚問を突破口とすべき

2018-02-05 11:15:09 | 政治

 森友国有地格安売却疑惑を改めて振り返ってみる。財務省が不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地を森友学園側に瑞穂の国記念小学校建設用地として売却した際の価格が約1億3400万となったのは地中にゴミ(家庭ごみや廃材等)が1万9500トンも存在していることが分かって、その撤去・処理費用として近畿財務局が見積もった8億1900万円を差し引いたからである。

 この値引き額の余りの大きさに実際にそれだけの量のゴミが存在していたのか、不信と疑惑を招くことになり、野党が国会で厳しく追及したものの、国側の存在していたという主張が文書その他を確かな根拠としているわけではなく、今以って存在したかどうかを言葉以外の方法で明らかにできないでいる。

 さらにこの売却に安倍晋三夫人安倍昭恵が絡んでいることが判明、安倍昭恵を通して安倍晋三自身が直接関与したのか、あるいは安倍昭恵の森友学園に対するバックアップが安倍晋三の意を受けた森友側の利害に立った動きではないかと忖度した国側の動きと取れる経緯が浮上、これらのことが値引きの根拠に結びついたのではないかという疑惑を誘った。


 この根拠の理由が参院予算委員会の議員らが2017年3月16日に小学校の建設用地視察の際に籠池自身が安倍昭恵を通して安倍晋三から100万円の寄付を受けたと発言、2017年3月23日の国会証人喚問でも同じように証言していることである。

 勿論、安倍晋三は否定している。

 今年に入って1月29日から開始された通常国会でも、衆参で野党は不当な国有地売却ではないかと森友問題を取り上げ、疑惑解明のカギを握る人物として安倍昭恵とこれまでの国会で国側の主役として売却正当性を主張してきたものの、その主張とは整合性を欠く事実が次々と明らかになってきた前財務省理財局長の佐川 宣寿の国会証人喚問を求めているが、いずれも与党は拒否している。

 だが、何よりも問題なのは撤去・処理に金額8億1900万円も必要とするゴミが実際に存在していたかどうかである。量にすると、ダンプカー4000台分の1万9500トン、ゴミ混入率47.1%と推計している。ゴミ混入率47.1%と言うのは土とゴミが約半々ということで、相当にゴミが混じっていたことになる。

 この“撤去・処理”は重機で土地を掘削、その場で土とゴミを分別して、土は埋め戻しに使い、ゴミは廃棄処分場に運搬して処理費用を支払うか、土とゴミを混合状態のまま廃棄処分場に運搬、処理費用を支払って、埋戻しの土は新たに購入するかいずれかの方法を指していることになる。そしてその費用を8億1900万円と見積もった。

 実際にそれだけのゴミが存在していた場合は8億1900万円の値引き額は不当ではなく、ほぼ妥当性を獲ち得る。但しゴミの量と撤去・処理費用算出の適合性、計算が正しく行われたのかどうかの問題は残る。

 例えゴミ混入率が47.1%であったとしても、杭を打ち込むことさえできれば、“撤去・処理”の必要はなく、地中にゴミが残ることになっても、それは放置される。杭が建築物本体を支えるのであって、杭の間に残されることになるゴミは本体を支えるのに何ら障害とはならないからである。
 
 ゴミに邪魔されて杭を目的の深度にまで打ち込むことができない場合は、杭先端の深度にまで重機で土を掘削、ゴミを取り除いてから土を埋め戻して改めて杭を打ち込まなければならない。

 重機で土地を掘削する方法の“撤去・処理”が杭を打つ面積の全面に亘ってのことでなく、部分的でしかなかった場合、撤去・処理費用8億1900万円という見積もりはその面積に応じて妥当性を欠くことになる。

 この点に関しては2017年11月22日公表の対森友学園国有地売却を検証した「会計検査院報告書」が指摘している。        

 近畿財務局が見積もったゴミ量1万9500トン(実際は19,520t)は裏付ける文書が満足に残されていないために幾つかの仮定に立って算出している。

 ①廃棄物混合土の深度を過去の調査等において試掘した最大深度の平均値に修正した場合は9,344t
 ②混入率を北側区画の全試掘箇所42か所の混入率の平均値に修正した場合は13,120t
 ③処分量に含まれていた対策工事で掘削除去している土壌の量を控除した場合は19,108t

 これらの①~③の算定要素が全て組み合わされた場合は6,196tと算出。

 約3分の1のゴミの量ということになる。

 もう一つの仮定は廃棄物混合土が確認された最大深度の平均値2.0mと最小深度の平均値0.6mの差となる1.4mの範囲全てに廃棄物混合土が存在する層があるとみなして算定する層厚法を用いた場合。

 処分量は13,927t。

 これらの仮定算出に対する結論。

 〈大阪航空局が算定した本件土地における処分量19,520t及び地下埋設物撤去・処分概算額8億1974万余円は、算定に用いている深度、混入率について十分な根拠が確認できないものとなっていたり、本件処分費の単価の詳細な内容等を確認することができなかったりなどしており、既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができず、また、仮定の仕方によっては処分量の推計値は大きく変動する状況にあることなどを踏まえると、大阪航空局において、地下埋設物撤去・処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと認められる。〉――

 要するに既に触れたように土中のゴミ量1万9500トンは杭を打つ面積の全面に亘って存在していたのではなく、部分的にしか存在していなかったことになる。しかも記録文書が満足に残されていないために幾つかの仮定を用いてゴミ量を算出しなければならなかった。

 それ程にも国は説明責任を果たしていない杜撰な状況下で国有地が森友学園に8億円超の値引きで売却された。

 地中に実際に存在していたゴミの量が闇となっている以上、安倍昭恵や前財務省理財局長の佐川 宣寿の国会証人喚問を求めるよりも、実際のゴミの量を熟知している立場にある主として杭打ち業者、あるいはゴミ処理に関わった工事関係者に国会証人喚問を求めて、先ずはゴミの具体的な存在量を闇の中から引きずり出すべきで、そのことによって不当な見積もりであったか、不当な値引きでなかったかを判定すべきだろう。

 不当な見積もりであり、不当な値引きと判定できたとき初めて、そのような不当な売却を国が行うことになった経緯の解明に関わる国側の説明責任の履行が否応もなしに必要不可欠となる。不当な国有地売却と判明しながら、政府側が言を左右にして必要不可欠となった説明責任の履行を無視することはできない。

 売却経緯の解明に関わる説明責任の履行は安倍昭恵と佐川 宣寿の国会証人喚問を機会とした証言が欠かすことのできない必須条件となる。果たして安倍昭恵の背後に控えている安倍晋三に対する国側の忖度があって佐川 宣寿等の国側が不当な値引きに走ったのかどうか。

 要するに安倍昭恵と佐川 宣寿の国会証人喚問は杭打ち業者や工事関係者の証人喚問を突破口として実現させる方法こそが急がば回れの近道となるはずだ。

 ところが、そういった方法を取らずに相変わらず安倍晋三や佐川 宣寿の過去の答弁と事実関係の整合性の欠如・矛盾を捉えて安倍昭恵や佐川 宣寿の証人喚問を求め、自民党から拒否される堂々巡りを演じている。

 例えば2018年2月1日参院予算委で日本共産党議員辰巳孝太郎が籠池泰典の音声データを新たに入手したと安倍晋三を追及、簡単に交わされている。

 2015年3月11日に国有地から新たなゴミが発見され、4日後の3月15日、籠池夫妻が財務省を訪問。大阪に戻って翌3月16日に学園側と近畿財務局等国の担当者が協議。さらに3月30日も再度協議している。

 辰巳孝太郎「安倍総理大臣夫人の昭恵氏の関与がはっきり表れた驚きの発言が録音されている。籠池氏は『きのう、われわれが財務省から出たとたんに安倍夫人から電話があり、「どうなりました。頑張ってください」と言った』としている。じか談判の中身を尋ねて応援の気持ちを伝えていたということだ」

 安倍晋三「今のは籠池氏の発言だ。ころころ言っていることを変える人物がそういう証言をしていると紹介されたのだろう。売買について、金額の交渉などに一切関わっていないというのは今までも答弁しているとおりだ」(NHK NEWS WEB//2018年2月1日 12時34分)   

 音声データーに安倍昭恵自身の発言が記録されているか、籠池のこの発言に対して近畿財務局の職員が「その辺は努力させて頂きます」、あるいは「色々配慮させて頂きます」とでも発言していたなら、安倍昭恵関与の決定的証拠となり得るが、籠池泰典が安倍昭恵の発言を紹介しているのみで、安倍昭恵自身の発言が記録されているわけではないし、別の「NHK NEWS WEB」記事が籠池泰典の発言に対して近畿財務局の職員からは安倍昭恵を意識したような返答はなかったと伝えている以上、辰巳孝太郎が「昭恵氏の関与がはっきり表れた驚きの発言だ」とすること自体、土台無理がある。   

 翌2月2日の衆院予算委で立憲民主党の阿部知子が発言の有無を「妻の昭恵に問い合わせると答弁していたが、問い合わせたのか』と尋ねたのに対して安倍晋三が「妻に確認したところ、『そのような電話はしていない』ということだ。そもそも私の妻は、籠池氏が財務省の室長と面会していることを全く知らないし、知りようもない。籠池氏が一方的に言っていることを前提に質問されても困る」と答弁したとさらに別の「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 だが、安倍昭恵の「そのような電話はしていない」という発言も安倍昭恵がそのように言っているだけのことか、聞きもせずに安倍晋三が勝手につくり出して否定しているだけの可能性は疑おうと思えばいくらでも疑うことができる。何しろ安倍昭恵も安倍晋三も国有地売却には関与していないという立場を取っている以上、否定は極々当然の答だからだ。

 野党は当然の答を引き出すために堂々巡りとなる追及を繰返している。

 同じ指摘となるが、杭打ちに地中廃棄物(=ゴミ)がどの程度に障害となったのか、その障害除去に重機による掘削がどれ程の範囲で必要となり、どれ程の量のゴミが出てきたのか、先ずは杭打ち業者と工事関係者を証人喚問して、正当な見積もりを反映させた正当な値引きであったかどうかの証言を得るべきで、正当な値引きでないという答が出たら、安倍晋三の直接の関与があったか、なくても役人側の何らかの忖度が存在していたことになり、それらの証言を突破口に安倍昭恵と佐川 宣寿の証人喚問へと進むべきだろう。

 安倍昭恵と佐川 宣寿の証人喚問を実現させることができなければ、いつまで経っても安倍晋三側の否定を基調とする堂々巡りが続くことになる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安倍晋三のアベノミクスで「... | トップ | 2/5衆院予算委江田憲司vs安倍... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治」カテゴリの最新記事