安部晋三は北海道5区補選を「大きな勝利」と言うが、落とさなかったという意味ではそうだが、事実は違う

2016-04-26 08:38:42 | 政治

 4月24日投開票の衆院北海道5区補選は自民党新人が当選を果たした。

 ▽和田義明(自民党・新)13万5842票
 ▽池田まき(無所属・新)12万3517票

 実質的には与野党一騎打ちの戦いだったが、与党に軍配が上がることになった。

 当選後の両者の発言を「NHK NEWS WEB」から見てみる。      

 和田義明「本当に厳しい選挙戦だったが、なんとか勝たせていただいた。経済がまず大事だという訴えが有権者に届いたと思う。新千歳空港などの民営化や北海道新幹線の札幌延伸など、まずは経済の活性化に全力を尽くしていきたい。私自身が北海道のセールスマンとなり引っ張っていく」

 池田まき「誰もが心から安心できる社会をつくろうと選挙戦に臨んだが、このような残念な結果となり大変悔しい。今回の選挙は、1票1票に思いや願いが込められた選挙だったと思う。選挙を通して、有権者の受け止めが日に日に変わっていくのを感じられたことが大きな1歩だったと思う」

 両者は相反する考えを述べている。前者は国家主義的経済の思想家で、後者は国民主義的経済の思想家の立場を取っている。

 国家主義的経済とは国家を経済的に成り立たせることを優先させる思想のことを言う。和田義明が「経済がまず大事」と言っている「経済」とは国家の経済を指す。

 和田義明は国家の経済を成り立たせる道具立てとして「新千歳空港などの民営化や北海道新幹線の札幌延伸」を挙げた。当然、国民を社会保障問題を含めて経済的に成り立たせる思想は国家の成り立ちの次に置くことになる。

 発言に道民(=国民)一人ひとりの生活の成り立ちに向けた視点が見えないとしても、何ら矛盾はない。

 実際にはそのような発言を後でしていたのだが、記事がそれを取り上げていなかったに過ぎなかったとしても、国家を先に置き、国民を後回しとする構造を取っていたことに変わりはないことになる。

 池田まきが「誰もが心から安心できる社会をつくる」と言っていることは、国家よりも先に国民一人ひとりの生活の枠としてより身近な社会を持ってきて、社会保障問題を含めた国民の生活を経済的に成り立たせることを最優先視し、その上に国家の経済的な成り立ちを置く政策を掲げていたことを示す。

 投票の結果、約1万票の差で国民優先の国民主義的経済が国家優先の国家主義的経済に敗れた。

 このことを裏返すと、北海道5区の道民は国民主義的経済よりも国家主義的経済を選択したと言うことができる。少なくとも前者を選択すよりも後者を選択する道民が約1万人多かった。例えそこまで自覚せずに投票したとしても、結果として国家主義的経済を選択したことになる。

 上記記事は投票率は57.63%で、前回(平成26年)の衆議院選挙を0.8ポイント下回ったと解説しているが、棄権者がもし国民主義的経済を支持する立場に立っていたなら、国家主義的経済が選択されるのを座視したことになる。

 国家主義的経済を支持する立場の棄権者なら、例え投票に行かなかったとしても、結果オーライということになる。

 当選・落選、あるいは棄権、全てがそれぞれに意味を持つ。

 安倍晋三が投開票翌日の4月25日の自民党役員会で行った当選結果についての発言を4月25日付「NHK NEWS WEB」が伝えている。  

 安倍晋三「『自民・公明対民進・共産』の一騎打ちとなり、経済政策や安全保障政策が大きな争点となるなかで、これまでの実績などを有権者に評価してもらい、大きな勝利を得た。

 『勝って兜(かぶと)の緒を締めよ』だ。今後も国民の声に謙虚に耳を傾けながら、身を引き締めて政権運営に当たると同時に、政府・与党、力を合わせて山積する課題に取り組んで行きたい」――

 国民主義的経済ではなく、国家主義的経済が支持されたに過ぎない。そこに安全保障政策が加わっていたとしても、安倍晋三その他のこれまでの言動から見ると、国民の成り立ちではなく、国家の成り立ちを優先させた安全保障政策であって、国家優先を構造とした政策であることに変わりはない。

 「大きな勝利を得た」と言っているが、落選した場合に安倍内閣に与える悪影響の大きさを当選によってどうにか回避できたという意味では「大きな勝利」と言えるが、当選獲得票からすると、違う姿を取る。

 両候補が得た総得票数は25万9359票となる。和田義明の13万5842票は総得票数の52%、半数を少し超えたに過ぎない。池田まきの12万3517票は47.63%。僅か4.37%の差しかつけることができなかった。

 確かに1票でも上回れば勝利は勝利であるが、政策の支持という点で見ると、実態は異なっていて、決して「大きな勝利を得た」と言うことはできないし、そのような表現は明らかに「大きな勝利」だと国民に思わせる、安倍晋三らしい過大評価を狙ったペテンに過ぎない。

 大体がアベノミクスにしても安倍晋三自身による過大評価でどうにか持たせているようなものである。

 安倍晋三のペテンに誤魔化されずに池田まきの国民主義的経済が和田義明の国家主義的経済に対して善戦したことを肝に銘じ、善戦を夏の参院選への勝利に変えていかなければならない。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-04-26 18:36:41
共産党入れて、野党統一候補にすれば対抗できる! 
頑張れ、この調子! 
楽しみだな。 参院選。 憲法改正!
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