鳩山法相の政治的創造性/「私の友人の友人がアルカイダ」

2007-10-31 01:27:50 | Weblog

 鳩山法相「私の友人の友人がアルカイダ」・講演で発言、後に修正(日経/07.10.30)

 鳩山邦夫法相は29日、日本外国特派員協会で講演し、「私の友人の友人がアルカイダ。何度も日本に来ていたようだ。(2002年10月の)バリ島の中心部の爆破事件に絡んでいたが、『中心部は爆破するから近づかないように』というアドバイスを受けていた」などと述べた。
 爆破事件を事前に知っていたとも受け取れる発言だけに、鳩山法相は記者団の要請に応じる形で講演後に急きょ記者会見。趣味であるチョウ研究の仲間からの伝聞とした上で「(爆破予告の話はこの仲間から)3、4カ月後に聞いた」と修正し「(発言は)舌足らずで反省している」と釈明した。
 「友人の友人がアルカイダ」と述べた点については「アルカイダ本体であるとは聞いていない。過激派グループに協力している人かもしれない。断定的なことを言える状況ではなかった」と修正したが、「確かめたわけではないが、(予告の電話が)仲間にあったのは間違いない事実と思っている」と強調した。(21:21)

 人前で話すことではなく、公安当局とかに通報して、以後の様子を見守る問題だと気づかないところが凄い。

 鳩山法相、アルカイダ発言を陳謝(07.10.30/11:11・日刊スポーツ)

 鳩山邦夫法相は30日午前、「友人の友人がアルカイダ」などと発言したことに関し、閣議前の懇談の席で福田康夫首相に「首相まで(記者から)質問を受けることになり、心配をかけて申し訳ない」と陳謝した。首相は「そうした事柄(テロなど)を防止する役目だから、しっかりやってください」と諭した。
 ただ、鳩山氏は閣議後の記者会見で「知り合いの知り合い(がアルカイダに関連する)ということは間違いない」と重ねて説明。「国際的な信用を落としかねない」との質問に対しては、「事実を言ってはいかんということか。国際的な信用にかかわるとは思わない」と反論した。
 町村信孝官房長官も閣議に先立ち、鳩山氏に対し発言は「軽率だ」などと注意した。町村氏はその後の会見で「いかにもテロリストを日本の法相が知っているという誤った印象を与えたのは遺憾だ」と強調した。
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 バーなどで酒を飲んで気の大きくなった男が、「オレは誰それを知っている」と組関係の名前や地方議員の名前を出して、如何にも自分が顔の広い人間であるか思わせようと自慢げな態度を取っている場面に出くわすことがあるが(最近はカネがなくてとんとバーといった飲食店に出入りすることはなくなったが)、それが事実だとしても、自己評価を高めるために他人の名声や職業、あるいは地位との結びつきを利用する。それは自分自身がそのような名声や職業、あるいは地位を持っていいないことの裏返し行為であって、そのことに気づかない幼稚な精神年齢がそうさせている自己評価宣伝であろう。

 多分鳩山邦夫は親譲りの資産(カネ)と、同じく親譲りの二世議員としての知名度以外にこれが日本の国務大臣の資質だと誇れる政治的創造性をこれといって持っていないことと、日本人の間では親譲りの資産(カネ)と二世議員としての知名度だけで顔を大きくしていられるが、日本外国特派員協会という外国人の間では政治家が発する「言葉」こそが政治的創造性の証明・政治家の条件となることから、ついアルカイダの人に恐怖心を抱かせる凄さを借用して、「友人の友人がアルカイダ」だ、凄いだろうと自己評価を高めようとしたのではないだろうか。

 勿論政治的創造性のかけらも持たないことの裏返し行為から出た精神年齢が幼稚な人間でなければできない自己評価宣伝に過ぎない。

 本人はマスコミの「国際的な信用を落としかねない」との批判に、「事実を言ってはいかんということか。国際的な信用にかかわるとは思わない」と自己正当化に視野を固定させているが、日本の国務大臣の言葉の程度(=政治的創造性の程度)はこの程度なのかと外国人特派員たちの軽蔑を誘ったことは間違いないだろう。当然、その軽蔑は「国際的な信用」に関わっていく。

 尤も日本の一国務大臣如きの「国際的な信用」など今更ながらに問題にされることはないかもしれない。安倍前首相が首相職を無責任に投げ出したとき、一国務大臣を超えた日本の首相の「国際的な信用」を既に落としているのである。

 少々時間のトウが立った記事だが、首相辞任、海外でも酷評 (07.9.14『朝日』朝刊)

 生ける屍、翼が短かったタカ、日本流のハラキリ・・・・。安倍首相の辞意表明を受けた海外主要メディアの報道ぶりはいささか辛口だった。
 13日付米紙ワシントン・ポストは、安倍首相が7月末の参院選で惨敗して以来、「生ける屍だった」と酷評。ニューヨーク・タイムズは「闘う政治家」と自らを表現したが、「明らかに闘う度胸は持っていなかった」と戦意喪失の様を紹介。タイミングも「不可解だ」としている。
 英フィナンシャル・タイムズは1面のほか特集面で就任から退陣までを伝えた。東京在住の外資系ヘッジファンド社長の「武士道ではない、臆病者(チキン)だ」との談話を使い、参院選直後にやめるべきだったと指摘。インディペンデント紙はスローガンの「美しい国」と国民の生活に即した関心との「格差」などから「『権力のおごり』の教科書だ」と批評した。
 イタリアの有力紙レプブリカは小泉首相と比較し「前任者がもたらした進歩をすべて無駄にした」と酷評。「若い才能と目されていたのに、彼の政府はへまと素人的振る舞いにさいなまれていた」とした。
 ドイツの経済紙ハンデルスブラットは、就任当初は中国や韓国との関係改善などに取り組んだが成果がなかったとし、「政権は風に揺れる竹のようにいつも外因になびていた」と表現した。
 「日本流のハラキリ」の見出しで、アルゼンチンのニュースサイト「ウルヘンテ24」は「スキャンダルで5人の閣僚が辞任や自殺をし、首相は351日の間、ひ弱な政権を守るのに必死だった」などとこき下ろした。
 また英BBCのスペイン語版サイトは「翼が短かったタカ」との記事を掲載。その政治姿勢と任期の短さをあらわした。
 韓国紙はほぼ全紙が1面で辞任を伝え、「運もなかったが、危機管理、内閣統率はどうしようもない水準との評価を受けた」(朝鮮日報)、「最後までちゃんと判断できなかった」(中央日報)と評した。就任直後に中韓を訪れ、アジア外交の立て直しを図ったが、積極的に評価する論調はほとんどなかった。
 中国では新華社通信が「安倍政権が国民の支持を失い、自民党内でも求心力がなくなったため」と論評。「タカ派、麻生氏が後任へ」(英字チャイナ・デイリー)などと早くも「ポスト安倍」に関心が集まっている。同紙は麻生太郎自民党幹事長が外相時代に「中国脅威論」を強調して日中関係を悪化させたと指摘。人民日報系の国際報道紙・環球時報も「知名度は高いが、失言が多い民族主義者」と警戒を示した。
 ロシアの主要紙コメルサントは「日本は政治的カオス(混乱状態)に入った」と報じた。ブレーミャ・ノボスチェイ紙で日本専門家のクナーゼ元外務次官は「麻生氏ら後継候補は古い形の政治家。小泉前首相のように意外性を得意としないので、日ロ関係でも特に政策変更はないだろう」との見方を示した。
 一方で、台湾では安倍首相を「親台派」とする見方が一般的で、論調は惜しむ声が圧倒的。対日窓口「亜東関係協会」の羅福全会長はコメントを発表し、「安倍首相の下で日台関係は(72年の)断行以来、最高の状態になった」と称賛した。
 香港紙「明報」は社説で、安倍首相が靖国参拝問題でアジア諸国に配慮を見せた点を高く評価したが、「それが安倍政権が放った唯一の輝きだったとも言える」とした。
 北朝鮮も報道
 北朝鮮の朝鮮中央放送と平壌放送は13日午後5時の定時ニュースで始めて安倍首相の退陣について報じた。論評は加えていない。ラジオプレス(RP)が伝えた。安倍首相が12日に行った退陣会見の発言を引用。「安部政権はわずか1年で幕を下ろすことになった」とした。(ソウル)

 「翼が短かったタカ」とは的を得た優れた批評ではあるが、日本の総理大臣が失った「国際的な信用」と比較したなら、鳩山邦夫の「国際的な信用」など、相手にされない分、高が知れていると言わざるを得ない。まさしく「国際的な信用にかかわるとは思わない」である。あなたは正しい。

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