大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

日々の恐怖 8月27日 ひだるい(2)

2016-08-27 18:39:11 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月27日 ひだるい(2)




 それから、約半年後、俺は再度同じ山に登った。
教えられたお堂の場所に食べ物を供えて、軽く御祈りして下山した。
 別に勧められたわけではなかったが、何故かそういう気分になって行った。
登山口の同じ店で食事に行くと、向こうも覚えていたらしく、俺がお供えをして来たと言ったら、食事を少しサービスしてくれた。
 それ以後、半年~一年の周期で変なものを見る様になり、それを機に登山に行くのが習慣になってしまった。
 変なものと言うのは、最初に見たのは、俺の部屋に漂っていたモヤ。
煙よりも薄かったが、明るい中でもハッキリと見る事が出来た。
モヤの中に、山水画の様にお堂の風景が浮かんでいたので、又お供えをしに来いという、催促の合図なのだと思った。
 大抵はモヤの形だが、一度だけ人間の形で来た事があった。
その日は父親の葬儀が終わった日で、親族が帰ってやっと一段落着いた頃、妙に喉が渇いたので台所に行った。
 家の台所と居間は繋がっていて、グラスに水を注いでいると、居間の方から視線を感じたので顔を向けた。
居間には和服の女性が一人座っており、その後ろに大勢の男性が並んで座っていた。
 それほど広くないフローリングの居間だったが、男性は数十人いたと思う。
居間の奥行きがその部分だけ広がっている様な、錯覚じみた光景だった。
目が合うと、女性が最初に深々と頭を下げて、男性も全員それに続いた。
グラスの水を一口飲むと、全部消えていた。
 消えた後にモヤが少し漂っていたので、お堂関係だと思った。
さすがに、それからすぐお供えに行く訳には行かなかったが、半年程して山に行った時に、何となく思い出していると、お堂の中から何かいい香りがして来て、誰かが中にいる気配がした。
 少しびびって確かめられなかったが、悪い気配では無かったと思う。
女性は赤地に金刺繍の立派な服を着ていたので、偉い人かも知れない。
男性は全員黒っぽい服を着ていたが、マゲは結っていなかったので、侍などでは無い気がする。
昔の人の雰囲気はあったが、いつの時代かと言われると分かりかねる。












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日々の恐怖 8月26日 ひ... | トップ | 日々の恐怖 8月28日 遠泳 »
最新の画像もっと見る

B,日々の恐怖」カテゴリの最新記事