日々の恐怖 12月12日 高校球児の朝は早い(5)
コスプレした砂掛けババアなんだよ。
それから1週間ほど、毎日同じ時間に老婆はうちの前にきて同じセリフを俺に言う。
「 王子様、キスしてください。」
もう近所でもかなり話題になっていた。
ある日の帰宅時。
やっぱり老婆はいる。
いつも通り無視して家に入ろうとすると、
「 話を聞いてください。」
いつもと少し違う。
立ち止まって話を聞いてみることにする。
「 私、呪いをかけられて今はこんな・・・・。」
いやそれは初めに聞いたよ。
「 今日キスしてもらえないと、私、明日死ぬんです。」
「 ??? 」
「 王子様、お願いです。
私にキスしてください。」
「 えええええ!!!」
マンガとかアニメなら、
「 ファーストキスをこんな婆さんに捧げることになるなんて、とほほ・・・。」
とか言って、キスしちゃうんだろうけど。
いや、アニメ見ないからしらんけど。
というか、俺ファーストキスすでに経験してたけど。
現実はそうはいかない。
まぁ当たり前だけど。
ていうか、キスしたが最期、王子様からダーリンに昇格する可能盛大だし。
朝五時。
「 ダーリン、おはようだっちゃ。」
夜八時。
「 ダーリン、おかえりだっちゃ。」
もう、どうにもなんねぇ。
もう、どうにもなんねぇよ。
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