グライダーの日記

グライダー関連の活動日記
工学院大学航空部の近況報告

JA2289

2012-06-22 19:26:53 | GLIDER
「JA2289」
「ジュリエット アルファー ツー ツー エイト ナイナー」と呼称します。
これは、我が部所有の複座練習機の登録国籍及び登録記号です。

現在整備作業中のG-103TwinⅡ(JA2289)ですが、機体表面のゲルコート削り落とし作業が徐々に進行しています。

先日、左主翼上面がほぼ終了し下面に移行しました。この下面には、「JA2289」が表記されています。これは、航空機である証しです。JAのアルファベットが国籍で日本を表し4つの数字が登録記号ですが、平成8年以前に登録された機体は最初の「2」が機種グライダーを表し、後の3つの数字が登録順に決められていました。したがって「2289」は、グライダーとして289番目に登録されたことになります。
現在は、4つの数字では足りなくなるので、数字とアルファベットの組み合わせで希望記号が空いていれば選択して登録できるようになっています。(ただし、同じ記号は使用できません。)
ちなみに、他国の国籍記号は、USAが「N」、ドイツは「D」、オーストラリア「VH」、中国は「B」、韓国「HL」・・・。

また、航空法第5条にこの表示方法が細かく決められています。
表示場所は、規則第137条に主翼面及び尾翼面又は主翼面と胴体面とに表示する・・・とあり、第138条に文字及び数字の高さが主翼面は50cm以上、胴体面は15cm以上・・・と決められています。

ということで、この表記「JA2289」を簡単に削り消すと塗り替えた後に新しく表記できなくなるので、位置寸法を取り模造紙に型取りを行い、その後削りました。


参考までに現在の航空法登録記号取扱い規則を抜粋して記載します。
登録記号取扱規則(抜粋)(平成8年より運用)
○既に付与されている登録記号と同一のものは使用できない。
(日本で再度登録し使用する機体は、以前と同じ記号を使用)
○ローマ字については「I」、「O」、「S」、「CC」、「JA」を含むものは使用できない。
使用可能パターンは、数字を○、ローマ字を△とすると、JA○○○△もしくは
JA○○△△の2パターンに限る。
○アラビア数字4ケタの場合は以下の区分に従う。
登 録 記 号 区 分
0001 ~ 0999   第3種滑空機
1001 ~ 1999   特殊の飛行機
2001 ~ 2999   第1種、第2種及び動力滑空機
3001 ~ 4999   レシプロ単発飛行機
5001 ~ 5999   レシプロ多発飛行機
6001 ~ 6999   タービン回転翼航空機
7001 ~ 7999   レシプロ回転翼航空機
8001 ~ 8999   ジェット及びターボプロップ飛行機
9001 ~ 9999   タービン回転翼航空機


実際にゲルコートを削ってみての感想は、手動でも電動でもサンドペーパーが粗くても簡単には削れず、ゲルコートは固くて厚いことがあらためて認識させられることです。

また、ゲルコートのクラックはFRP(繊維強化プラスチック)までほとんどの場所で達していて、ぎりぎりまで削ることとなり、ガラス繊維を削らないように細心の注意を払いながらの作業となっています。ひたすら根気の必要な作業です。

強度部材となっているFRPのガラス繊維を削ってしまうと本体の強度が減じてしまいます。もし削ってしまった場合には、その箇所周辺のガラス繊維を張り替えなければならなくなります。

もうすぐ、主翼の作業が終わり、次に胴体に移行します。
胴体はほとんどが曲面となりますので、この作業を行うのはさらに大変となりますが、主翼よりは表面面積が少ないのが救いです。


この作業の難点は、削ることの大変さはもちろんですが、削り粉対策がさらに大変です。
まず、削り粉は粒子が細かく軽いので、簡易な防振対策で作業を行うと体内に吸い込まれ、健康を害する危険性があることです。普通のマスクでは全く役に立ちません。しっかりした専用の防塵マスクを着用し作業を行わなければなりません。さらにこの削り粉が僅かな風に乗りまんべんなく散らばってしまうことです。
作業中は、少しずつでも集めて処理します。普通の掃除機で吸い込むとすぐに目詰まりしてオーバーヒートしてしまいます。すでに1台が壊れました。


粉塵まみれで作業を行いながら、再生されたこのG-103TwinⅡ(JA2289)での快適なフライトをイメージしています。


ワックス掛け後のフライトでは、僅かですがその効果を感じることができます。
心を込めて根気よく仕上げれば、さぞ絶大な効果が期待できると信じて作業を継続します。
コメント
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