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           Messages from Masaki Fukumoto

苦悩する建築

2008年06月10日 00時29分04秒 | 建築的に
 複雑怪奇で大変気苦労が多い建築申請業務は、確認が取れるまでに時間もかかり、また中国の経済発展の影響による国内材料の高騰などで不景気に一層拍車がかかった建築業界だが、関係省庁でもハウスメーカーに偏った法体系の整備が目立ち、このことでは建築の現場にも思いもよらない影響を与えている。

このところ和風の住まいの仕事が続いているのだが、数寄屋などをやると、いろいろなところで限界が見えてくるのである。

 建築基準法で決められた色々な金物が邪魔な上に高い。
 乾燥した無垢材がなかなか手に入らず、高い。
 大工や左官など腕のいい職人は非常に少なく、高齢化が目立ち後継がいない。
 銅板など金属がやたら高く、職人の腕も冴えない。

など揚げるときりがないが、日本の文化でもある在来工法が、根本から消えかかっているような気がしている。
今や住まいは工場生産品である各種の建材を、ビス止めやボルトで組み立てることによって成り立ち、熟達した「職人」を必要としない。

昨年も現在の建築行政や現場に見切りを付け、設計事務所を閉じた知り合いが二人もいる。
 僕も大工さんや左官職人さんたちが、もっと活き活きと活躍出来る建築現場の創造をめざして今日も頑張っているのではあるが、ハウスメーカーしか見えていない国が相手では、多勢に無勢である。

 僕はこの頃の「新建材」で出来上がった住宅を見ていると、何となく息苦しさを感じるようになってしまった。この先大丈夫だろうか・・・。

          mm

まさき設計
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