Zooey's Diary

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バービー人形たちのいじめ「ヘルプ」

2012年04月19日 | 映画


2011年アメリカ映画。オクタビア・スペンサーがアカデミー助演女優賞を受賞。
1960年代のアメリカ南部ミシシッピー州ジャクソン。
人種差別が激しいこの地域で、メイドとして働く黒人女性たち(ヘルプと呼ばれている)と
上流階級出身だがリベラルな考え方をする白人娘。
彼らの交流を通して、醜い人種差別と美しい人間愛を描き出している。
非常に重いテーマでありながら、ユーモアを交えて温かく描いているあたりが
この映画の評判がやたらよい所以でしょう。



主人公の白人娘スキーターが、周りの友人たちと違って黒人を見る目が暖かいのは
黒人メイドのコンスタンチンに愛情深く育てられたのと
大学に行って多少は広い世間を見ることができたからか。
4年ぶりに戻ってきた故郷の田舎町の新聞社で小さな仕事を見つけるが
彼女はジャーナリストになりたいという野望を持っていた。
黒人メイドの証言から告発本を書いて、差別の実態を世の中に訴えたいと思うが
しかし生活がかかっている黒人たちは、中々真実を語ろうとしない…
雇い主の着飾った白人女性たちは彼らを徹底的に見下し、
同じトイレさえ使わせないというのに。



スキーターと黒人メイドとの交流もさることながら
仲間はずれの白人女性シーリア(写真上の左側)とメイド・ミニーとの暖かいエピソードも
見逃すことができません。
ネットでレビューを少々読んでみたら
天然キャラのシーリアが微笑ましかった、というような意見が見られましたが
これはそんな単純な話ではない。
ホワイト・トラッシュと呼ばれる白人貧民層出身のシーリアもまた、
差別主義の犠牲者であるのです。
日々「慈善活動」にいそしむ白人上流階級の奥方たちの苛めは、
なんと凄まじいものであることか。
シーリアからの電話には出ない、会合には呼ばない、徹底的に仲間外れにする。
今は裕福なシーリアは、服や話し方が多少下品ではあるものの、
見た目には綺麗な白人女性にしか見えないのですが…
そんな立場のシーリアであるからこそ、黒人メイドのミニーを相手に
人間としての普通の接し方ができたのでしょう。

スキーターが白人婦人会の代表であるヒリーに、
メイド専用のトイレを作ることを義務づける法案を広報に載せることを再三要求されて
仕方なく載せることにしたものの、その際ある仕掛けを思いつく。
で、一旦タイプで打った文字を修整するシーンが出てくるのですが
どう書き直したのかよくわからなかった。
その後ヒリーの家の庭に、街中から便器が届けられるというシーンに展開するのですが
一体どういうこと?と思って検索してみたら…

出てきました。
アフリカの子どもたちへの支援策として、古いコートを集めるための広報の投稿文の
「leave old coat」を「leave old seat」と修整したらしい。
それでヒリーの家の庭に古い便器(seat)が
沢山投げ入れられることになったのですね。
http://blog.goo.ne.jp/barriosmangre/e/2e0c425166e699c3b16479d6f21d8536



146分という長尺がまったく長く感じられませんでした。
バービー人形が着ているような、ウエストがきゅっとしまった花柄のワンピース、
60年代のパーティドレスなども可愛いくて楽しい。
男性というものが殆ど登場しない、元気な女たちの映画です。

「ヘルプ」 http://disney-studio.jp/movies/help/
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10 コメント

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あらっ♪ ()
2012-04-20 14:55:13
今日は映画ネタがかぶりましたね♪

本当に、バービー人形勢ぞろいですね~
かわいい!!素敵。
目がハート
でも、この可愛らしい皆さんが、徹底的な差別をなさるわけですね。

きっと、これ、私の好きなタイプの映画です~~
今・現代のものよりコスチューム系、
できればヒロインは美しく、かつ高い目標を掲げていてほしい。
そして、心温まる内容であってほしい……
そんな私の好みに合いそうなのに、残念、全然気づきませんでした。
完全に、ここしばらく世の中から遊離していましたね~、私(笑)
近場の映画館はもう終わっちゃったようです。
あのムービルですら、上映していたらしいのに……悔しいわ……
返信する
釉さま (zooey)
2012-04-20 21:36:03
ええ、釉さんがお好きなタイプだと思います。
私の周りの映画愛好家の間では
やたら評判のいい作品なのに
例によって小さな映画館でしかやってないんですよ。
私は渋谷のミニシアターで観ましたが
アメリカでもとても評判よかったらしいのですよ。

とーっても可愛い服を着た南部の若奥様達、
とっても酷い差別をするのです。
是非御自分の目でお確かめ下さいな。
返信する
古い便器 (ノルウェーまだ~む)
2012-04-22 00:34:53
シーリアが差別を受けているのも、実は現在でも様々な形で差別が存在するのも、哀しい事だけど、少しずつ改善していっていると信じたいですね。

古いコートと便器のところはずっと気になっていたので、分かってよかったわ☆
seatで便器とは知らなかった~
返信する
まだ~むさま (zooey)
2012-04-22 10:18:33
シーリアが嫌われているのは
ヒリーの元彼とくっついたこととか空気を読めないこととかもあると思いますが
その根底は、彼女の出自にあると思います。
画面の中でもはっきり言ってましたものね。

あの場面、原稿の中のcoatの部分を修正液で塗りつぶしたのは見たのですが
それ以上何の説明もなくて非常に気になっていたのです。
わたしもこれでスッキリしました。
返信する
Unknown (mayumi)
2012-04-23 18:20:10

前に私の好きそうな映画をpick upしていただいて、それが"My Little sunshine"でした。本当に私の好みにピッタリなストーリーでしたし、本の"Kate Runner"もピッタンコでした。
この映画もピン!ときました。ぜったい見るべし! 遅いか、、、DVDになるのを待ちます
(m´・ω・`)m
返信する
mayumiさま (zooey)
2012-04-23 22:02:01
これでも他にも色々読んだり観たりしているのですが
よかったもの、感動したものだけ選んで書いているのです。
そういうのは忘れたくないので
自分のためでもあるのですが。
だからお勧めですよ!
返信する
報告とお礼に参上しました。 (ヤマ)
2012-07-01 06:37:48
zooeyさん、こんにちは。

昨日付けの拙サイトの更新で、
こちらの日記を拙日誌からの直リンクに拝借しております。

おっしゃるように
「男性というものが殆ど登場しない」作品ですが、
決して男の影が薄い映画ではなく、むしろ、
彼女たち女性同士の間で生じている差別の根底に
男女差別の問題が横たわっていることを
透かして見せているようなところがあって
大いに感心したものでした。

いずれにおいても、鍵を握るのは、
“学びと行動”のようです。

どうもありがとうございました。
返信する
ヤマさま (zooey)
2012-07-01 12:35:01
リンクありがとうございます。

スキーターの相手は
確かに結局駄目男でしたね。
女たちから嫌われるシーリアを選んだ男の方が
なんと大きく見えたことか。

あの時代は差別問題の深刻さを思うと
それでも今は少しはマシになったのだと思う一方で
人間の根本的な意識を一掃させるのはどんなに難しいことかと
改めて思ったり…
返信する
Unknown (macchanny)
2012-07-03 07:52:02
見てみたい映画ですね。アフリカとニューオリンズにも短い間ですが住んでいました。
いずれも最前線でした。
アフリカはアフリカナイゼーションの最中で白人は追い出されていましたがは白人は残りたいけどそれが出来ず南アフリカに移住しなければなりませんでした。知り合いも沢山資産をただ同然で売却して。。白人にとっては周りの目があるしどうしてもいっしょには出来ないのですね。交わるのはタブーです。
ニューオリンズは30年前、日本人もやや肩身が狭い思いもありました。定期的に顔にマスクをしたKKk団(白人至上主義・テロ集団)が街頭で集結しデモをやる。こういう集団に金を出している勢力がいるんですね。
オバマが大統領になって少しは変わってきているのかもしれませんが。
しかしそのような映画が上映されるということは依然として解決が望まれるということでしょう。
人間は優越感を持つ対象があるということが生き甲斐の1つになるのですかね。
返信する
macchannyさま (zooey)
2012-07-03 18:09:22
アフリカとニューオーリンズに住んでらしたとは凄いですね。
差別については様々な本や映画で見聞きしてきましたが
私が実際に体験したことはありません。
(旅先で、ごく些細なものは経験しましたが)
KKKも色々な映画に出てきましたが
あの白頭巾の劇画のような格好をして極端なことを叫ぶグループが
今でも存在する(随分弱体化したとしても)とは
信じられない思いです。
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