福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

綱島(つなしま)~床屋の先生~

2007-02-23 11:54:00 | 大学院時代をどう過ごすか

今週始め、凍土系の若手研究者とアーでもなく、コーでもなく、話をしていると、綱島(神奈川県横浜市港北区)の話題が出てきました。

北海道の方にとっては馴染みのない地名かもしれませんが、私にとっては思い出の地。

地方から東京に出てきて、大学院生として生活するには、経済的につらい。少しでも、生活の足しとして、アルバイトを行うのは自然なこと。私もバイトをしていました。

その一つが、綱島の神奈川理容美容学校(現?横浜理容美容専門学校)の先生。いわゆる床屋の先生です。ヘアーカットや、ひげのそり方、マッサージ法など、床屋を目指す生徒はいろいろと学ばなくてはなりません。私はなにを教えていたかと言うと、香粧品化学と物理化学です。パーマネントウェーブと言った具体例をもとに、その科学の原理を教えることが中心です。中学を出たばかりの生徒さんたち相手です。これらの教科は、理容師の国家試験の科目でもあるので、教え方一つで国家試験の合格率に反映されます。興味を持たせながら、わかりやすく説明し、なおかつ、国家試験対策も行う、という教える側としては難易度の高い仕事です。

綱島の学校のHPを拝見すると、結構オシャレな学校に変身したようですね。私が講師をしていた頃とは大きく違います。現在は美容科の方に重きを置いているようです。そのため、いっそう華やかですね。当時もそうでしたが、実際の美容師さんたちが実技を教えに来ていました。

都立大の授業料免除制度と綱島の学校のお陰で、何とか大学院を修了することが出来ました。こうした高収入のバイトは、教室内で代々受け継がれていました。私は、先輩から修士2年のときに受け継ぎ、博士3年になる前に後輩に引き継ぎました。

01_60床屋の学校の先生をしていたと言う経歴を有していたため、砕氷艦「しらせ」ではもっぱら散髪係を務めさせていただきました。特に、71歳の柴田鐵治さんに気に入っていただいたようです。昨年2月12日、長い野外調査から「しらせ」に戻ると、柴田さんが開口一番。

「福井さん、首を長くしてお帰りをお待ちしておりました。時間が空いている時でいいのですが、散髪していただけませんか」と。実は内心、ドキドキしながら観測隊の皆さんの散髪をしていたんです。

と言うことで、床屋の先生と言う華麗な経歴のせいか、ヘアスタイルには結構うるさい。最後に床屋に行ったのが、昨年の11月13日。あれから3ヶ月以上も経っています。ヘアスタイルが結構うるさくなり、早く床屋に行かなくては!