福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

DREAM(ドリーム)

2007-07-29 21:08:57 | 大学院時代をどう過ごすか

実験が失敗したり、研究がうまくいかなかったりすると、落ち込んでしまいがち。また、時として人生の事ごとがうまく運ばず、自暴自棄に。そんな時は、早く家に帰って、夢を見よう!そして、自分の夢は何か、何をしたいのか、じっくりと見つめてみよう。そして、夢や願いを現実のものにするためにはどうしたら良いのか、じっくりと考えてみよう。もし、実現化への一歩を具体的に考えることができたのなら、翌朝、志を持って行動に移してみよう。きっと、夢が叶うサー。

1944年、John H. Mercer(ジョニー・マーサー;1909-1976)が作詞作曲したDREAM(ドリーム)。これがなかなかいい曲なので、ご紹介いたしましょう。

*****
  DREAM(ドリーム)
              By John H. Mercer

Dream, when you’re feeling blue
Dream, that’s the thing to do
Just watch the smoke rings rise in the air
You’ll find your share of memories there

So dream when the day is through
Dream, and they might come true
Things never are as bad as they seem
So dream, dream, dream

Things never are as bad as they seem
So dream, dream, dream

<以下和訳>
      ドリーム

夢を見よう、落ち込む気分を感じる時は
夢を見よう、それが何より
漂い昇るタバコの煙の輪を見つめるといい
そこに君のステキな思い出が浮かび上がる

だから夢を見よう、一日の終わりに
夢を見れば、本当になるかもしれない
物事は意外と良いものなんだ
だから夢を 夢を 夢を見よう

物事は意外と良いものなんだ
だから夢を 夢を 夢を見よう

*****

何だか、勇気の湧く詩だとは思いませんか。詩もよいのですが、メロディーもスローテンポで、着実に夢に向かって進もうと言う感じで、胸にぐいっときますよ。01_90「漂い昇るタバコの煙の輪を見つめるといい そこに君のステキな思い出が浮かび上がる」というフレーズは、タバコを吸わない私には、「漂い昇るカモミールティーの湯気を見つめるといい」に置き換えています。そして、なぜ私はこうして研究を志したのか、見つめるのです。

さあ、美しい夢を見て、明日の朝、夢に向かって励もうではありませんか。その一歩は、必ず、DREAM(ドリーム)の実現に繋がっています。


サンセット・ジンパ

2007-07-25 07:04:54 | 低温研のことごと

昨日は、前期最後の研究室ゼミ。雑誌紹介は私の担当。低温環境に適応した新規亜硝酸酸化細菌に関する文献を紹介。硝化過程の一段階を担う亜硝酸から硝酸への酸化を担う微生物は、これまで4つの系統群(アルファプロテオバクテリア、ガンマプロテオバクテリア、デルタプロテオバクテリアそしてNitrospirae)に属することが知られていましたが、ハンブルグ大学の研究グループがシベリアの永久凍土地帯のアイスウェッジ周辺からベータプロテオバクテリアに属する新規亜硝酸酸化細菌を発見。4℃から10℃と言った低温環境でも、この微生物は亜硝酸を硝酸まで酸化。低温環境での窒素循環を解明する上で、重要な知見。

さて、今期ゼミが終了したこと、短い夏に突入すること、また、これから始まる改修工事などを考慮して、夕方研究室のコンパを行う。幸い青空が広がりましたので、低温研テニスコート脇でジンギスカン+バーベキューパーティーを開催。今回は、大学院の同じコース(環境分子生物学・微生物生態学コース)の森川研究室(地球環境科学研究院)と低温研生物多様性グループの皆さんをお誘いしての拡大コンパ。

01_8902_52コンパ開始が6時からと言うことで、事前に火起こし。そして、食材を焼き始める。






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03_2704_1109今回は、ラム肉、鶏肉、フランクフルトソーセージ、鮭、イカ、ホッケ、そして野菜(とうもろこし、アスパラガス、じゃがいも、かぼちゃなど)と豪華。

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06_4焼き肉を頬張りながら、熱い議論を交わす新旧専攻長(大学院生物圏科学専攻)の先生方。私もお話に加わりたいのですが、焼き係の任があるため、グッと堪える。

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07_2いよいよ、第2農場を見渡せるコンパ会場も日が暮れていく。それと反比例して、コンパは盛り上がる。


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08完全に暗くなっても、熱いコンパの火がおさまらず。久々の野外でのコンパと言うこともあって、皆さん、結構エンジョイされたようで何よりです。遠いところ足を運んでくださった森川研究室の皆さん、ありがとうございました。

また、とても楽しい会を企画運営してくれた幹事さんと研究室の皆さんに感謝いたします。


ブルーな道

2007-07-24 15:02:05 | 低温研のことごと

近畿地方も梅雨明けしたとのこと。ここ北海道は、梅雨がありませんが、今日はとても暑く、北海道の夏日と言ってよいでしょう。

01_8802_51今日から、低温研の研究棟改修工事関連の肉体的作業が本格化いたしました。8月中旬からの工事に備え、改修工事対象部署の移転準備作業。対象者や物品は、工事期間中避難場所へ移転しなければなりません。移転場所への物品運送のためにブルーロードが設置されました。長年住み慣れたすみかを追われる身としては、ちょっとブルーな気持ちになりますが。

030104_10物品のダンボールづめ。装置や備品等の梱包など、汗だくの作業の連続です。無理をして、ギックリ腰にならないように気をつけてください。

改修工事は来年3月末まで続きます。何とか力を合わせて、乗り切りましょう。


松山のゆうげ、まあ、いいか?

2007-07-21 05:24:36 | 旅行記

新潟県中越沖地震の被災者、特に柏崎や刈羽の人たちの避難生活を思うといたたまれない。ライフラインの復旧もままならず、公民館や学校の体育館での避難生活。さぞかし、不自由で、かつ、ストレスの多い時を過ごしておられるのでしょう。

01_8602_49愛媛大学沿岸環境研究センターでの仕事を終え、鈴木先生たちと夕食をご一緒することに。地元の魚料理のお店『烏賊や』に連れて行っていただきました。おすすめ料理の烏賊のお刺身(活造)をいただく。地震の被災者の方々は生鮮食料品を口にすることができないと言うのに。罪悪感に嘖められながらも、眼前の旬彩に心奪われてしまう。困ったものです。せっかく松山に来たのですから、まあ、いいか。

03_26そして、鈴木先生のイチオシの逸品が、「ほご(カサゴ)」の煮付け。薄味に仕上げており、これまた言葉に洗わせないほど。こうした日本の食卓はメタボ対策に優れている。一刻もはやく、中越地区日本海沿いの町の人たちにも、こうした、いつもの食卓が戻って欲しい。

さて、来る9月15日(土)から18日(火)まで愛媛県松山で日本微生物生態学会第23回大会が開催されます。研究発表予定の院生の皆さんは、「烏賊」や「ほご」を楽しみにして、頑張ってください。現地で皆さんと一緒に「ほご」を食べに行きましょうと言いたいところですが、約束が「ほご」になってもいけないので止めておきましょう。

それにしても、9月の松山では、大学院時代の下宿の「右隣のセンパイ」に是非お会いしたいものです。センパイは、いまでも、「ひ」と「し」の区別ができない江戸っ子のままなのでしょうか? この事を是非検証したい! こんなこと、気にしなくても、まあ、いいか。


鈴木メソッド

2007-07-20 06:13:14 | 大学院時代をどう過ごすか

学部3年の頃の講義で『音楽教材研究』と言うのがあって、今でも強く印象に残る内容があります。それは、「鈴木メソッド」。鈴木鎮一氏が創始した方法で、バイオリンの実践指導を通して、どんな人間でもトレーニング次第でその才能を花開かせることができるし、あるレベルの能力を身につける事ができると言うもの。彼の才能教育の理念のうち、私を最も印象づけたのは、「教師や親(すなわち大人社会の環境)は、高い水準に保たれるべきであり、子供にとってより良い学習環境を提供できるように成長し続けなければならない」。教育する側への戒めです。

以来、この「鈴木メソッド」が頭から離れなくなってしまいました。

先日、愛媛大学沿岸環境科学研究センターの鈴木 聡教授とお会いし、お話をしているとき、ふと「鈴木メソッド」を思い出しました。鈴木教授の「研究教育」に関するメソッドも、独創的。ちょっと長いのですが、参考までに、ここに引用いたします。

 <海洋分子生態学研究室心得(最低限のルール)>
0. 自覚

一つ、己が鈴木・野中研究室の一員であり、研究はチームプレーであることを自覚しましょう。

自分が大人であり、社会人であることの自覚(自分の行動に責任をもつこと。教官への甘え・依頼心をもたないこと。大学も社会の一部であり、研究室のルール以前に社会のルールがあることを自覚すること。)

研究室の一員であることの自覚(例:無くなりかけた薬品・消耗品の発注、生物管理や短期プロジェクトへの協力を惜しまないこと。図書・卒論などを大切に扱うこと。個人所有の書籍などは必ず許可を得て使うこと。)

自分の周囲のことも理解する(例:自分が使わない機械、仲間の研究内容、研究室が関与している全般的なことに対しても知識を持つこと。)

1. 研究

一つ、テーマの内容(concept, history and perspective)をよく理解しましよう。
(教官と常にコンタクトを持つこと。)

一つ、研究は自らの意思で行いましょう。
(受け身にならない。自分の頭脳で考え、教官への提案、オリジナルな発想を積極的に行うこと。)

一つ、実験は熟考したうえでスタートしましょう。
(なにを知るためにどんな観測・実験を組むか、つねに考えること。)

一つ、無駄な無駄はしてはいけません。無駄は有益でなくてはなりません。
(データをとるために有効でないと分かっている実験は禁止。つねに何かを得るために金と時間を使う意識を徹底すること。)

一つ、時間は無限ではないことを知りましょう。
(だらだら実験しない。一ヶ月単位でまとめる癖をつけること。次のステップへ進む時は必ず総括を終えてから。)

一つ、すべての実験結果はなにかを語っていることを知りましょう。
(実験結果を自分の判断で闇に葬らないよう、教官に見せて判断の仕方を学ぶこと。)

一つ、研究は国際雑誌へ投稿しましょう。
(卒論,修論といえど、研究は全て国際的土俵で戦うので、それ相当の意識と気構えをもつべし。)

2. 研究室生活

一つ、朝は8時40分までには全員が来て掃除をすませましょう。
(この時間に間に合わないときは必ず連絡すること。遅刻の多い者には何らかの罰則を考えます。)

一つ、夜は意味なく研究室に残ってはいけません。
(危険性、データの信憑性。早く来て夕方には切り上げること。)

一つ、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は頻繁にしましょう。
(自分の所在を教官や仲間に知らせること。ボードの活用、口頭・メモ連絡を欠かさないこと。)

一つ、一般社会規範・常識をもって行動しましょう。
(危険な身なりの禁止。夜中心の生活時間禁止。無理なバイトの禁止など。)

一つ、研究室ではマンガ、ゲームは禁止です。ヘッドホンで音楽を聞くのも自粛しましょう。
(大学は遊び場ではない。仕事場である。大部屋のメリットを活かして集団生活に慣れよう。コミュニケーションをとろう。静寂が欲しければ家へ帰ろう。)

3. 安全管理

一つ、研究室は危険な所という認識を持ちましょう。
(危険性のこと…機器の使用法・危険性を認識する。試薬のこと…毒・劇物の管理を徹底すること。狭いので実験ベンチ上の試薬の置き方に注意。危険なゴミの分別など。)

一つ、試薬管理、ガス、水道、電気には常に気をはらいましょう。
(電気ガスの付けっぱなし、水道の出しっ放し禁止。試薬はあった場所へもどすこと。こぼした時の処置。火事地震の際にすべき行動を考え、危機管理を徹底すること。危険物受け払い簿の記入を忘れないこと。)

一つ、研究室外・学外の人間を無闇に研究室に入れてはいけません。
(試薬泥棒、実験のじゃま、事故などの理由による。各部屋の鍵の管理に気をつけること。)

一つ、体調不調の時は帰宅しましょう。
(他人へ感染、集中できず実験失敗の恐れ、などの理由による。)

4. 総 括

卒業してから「大学が一番きつかった、社会は楽だ。」といえる研究室生活にしましょう。

当研究室に向いている人(カッコ内は向いていない人)

1.朝から元気なひと(時間のけじめのない人)
2.持続力のある人(よく休む人)
3.実験が大好きな人(手を動かすのが嫌いな人)
4.海が好きなひと(室内ゲームばかりする人)
5.今までの勉強は棚にあげて,将来の夢を語れる人(夢のない人)
6.人とのコミュニケーションが好きなひと(さめた人,コンパ嫌いな人)
7. 大学院志望のひと,国際的に活躍したい人(中四国や関西に留まりたい人)


さてさて、ここ低温研はどうだろう? 教育なんてしなくても良いのだと勘違いしている先生はいませんか?


機上

2007-07-19 09:24:12 | 旅行記

今年度グローバルCOEに採択された愛媛大学沿岸環境科学研究センター(鈴木 聡教授)への出張。新千歳空港発ANA866便に搭乗。幸運にも、最前列の3列席を一人で。定刻通り、松山へむけて離陸。そして、音楽チャンネルをJポップクラシックスに合わせる。

Photo_70久しぶりに窓側の席に座り、機上からの景色を楽しむことに。流れる音楽が、機長アナウンスで中断。「ただいま、秋田上空を航行中」と、機長。そして、再び音楽。今年、再結成された「あみん」の『待つわ’07』が流れる。

  ♪青く 広いこの空 誰のものでもないわ
   風に 一片(ヒトヒラ)の雲 流して流されて
   私 待つわ いつまでも待つわ
   たとえあなたが 振り向いてくれなくても
   待つわ(待つわ) いつまでも待つわ

     (岡村孝子作詞 『待つわ』より)

湖水中のバクテリア(細菌)は、慣性力よりも分子間力が勝る世界で暮らしている。つまり、1ミクロンと言う微小なバクテリアにとって、水の世界は粘っこくて(低レイノルズ係数の世界)、移動するには多大なエネルギーを消費してしまう。こんな環境で、バクテリアは、餌を取り込むにはどうしたら良いのだろう。分子間力の法則に従って、餌(たとえば、グルコース分子)がバクテリア個体まで拡散してくるのをじっと待ち続けて、パクッと取り込む。この方法であれば、移動のためのエネルギーを消費せずに済む。これは、いわゆる『待つわ』戦略。

こんな話題を以前学部の授業で紹介したのだが、今では「あみん」を知る若者も少ない。『待つわ』がヒットしたのは、なんせ、1982年ですから。

Photo_71そんな事を考えていたら、すでに、琵琶湖上空。以前、集中的に調査を行ったフィールドである。言わば、ホームレイク。「そろそろフライでも……」と、釣り糸を垂らしたいところだが、その欲望をぐっと堪えて仕事に集中しよう!

座席のテーブルを出して、コンピューターに向かう。机上で宿題を完成させるべく集中。そうこうするうちに、松山空港への着陸態勢に入る。

これから、パワフルな愛媛大学沿岸環境科学研究センターのメンバーと議論。気丈でいないと、彼らに圧倒されてしまう。気合いを入れて、頑張ろう!


森林と温暖化ガス

2007-07-18 06:41:06 | 微生物から学ぶ

01_85自然由来の地球温暖化ガスの代表例は、二酸化炭素、メタンそして亜酸化窒素。これらのガスの発生源も様々。森林生態系は、温暖化ガスの発生源でもあり、同時に吸収源でもあります。

森林生態系の土壌からの温暖化ガスの発生の状況を捉えることは、地球温暖化を防止する上で基礎となります。こうした温暖化ガスの発生は、森林生態系で生産された有機物が微生物によって分解された結果です。

それでは、植生や季節によって温暖化ガスの発生状況はどのように変わるのでしょうか?このことを知るには、実際に野外で温暖化ガスの発生速度を測定することです。

02_48と言うことで、大学院環境科学院の授業『環境分子生物学基礎論』の一コマです(昨日)。低温研の敷地内には豊かな森が広がっています。ここで、密閉型チャンバーを用いて、土壌呼吸速度(二酸化炭素の発生)とメタンの動態の測定実習を行いました。

***

適当な場所にチャンバーを設置し、温度、気圧の測定。チャンバー内に増加した二酸化炭素を赤外線センサーで計時的に定量し、速度として算出いたします。メタンは、一定時間ごとに注射器を用いて03_25チャンバー内の空気を採取し、密閉したバイアル瓶に捕集。後で、ガスクロマトグラフィーで空気中のメタン濃度を測定し、メタンのフラックスとして算出。メタンの場合、土壌中にメタンを消費する微生物(メタン酸化菌)と生成する微生物(メタン生成菌)が存在します。一般的に、森林土壌にはメタン酸化菌の方が多く存在するので、結果として土壌からはメタンが放出するのではなく、吸収されます。つまり、森林生態系は、温暖化ガスであるメタンの吸収源であり、温暖化を抑制する働きがあると言ってよいでしょう。

もし、さらに地球が温暖化した場合、森林生態系はメタンの吸収源であり続けるのでしょうか?それとも?

これが、私たちの大学院の講義ですし、研究室の院生が大活躍する場でもあります。


災害時では

2007-07-16 15:32:15 | 日記・エッセイ・コラム

今朝10時13分ごろ、新潟と長野で震度6強の地震が発生(新潟県中越沖地震)。新潟は中越及び上越地区の被害が甚大。私の実家も中越地区にあり、震度5弱。NHKのテレビ報道では、実家のある地区も停電とのこと。

実家に連絡を取ろうと思い、NTT電話回線や携帯電話で何度も試みたが、不通。地震発生後、2時間半が経って、ようやく母親の携帯電話とつながり、安否を確認。その後も、NTT電話回線は依然として不通。

2004年10月23日に発生した中越地震の時もそうだったが、災害時の家族同士の連絡方法を決めておくことは大切であると痛感。

刻々と地震の惨状がテレビ映像で伝えられている。NHKテレビには、災害時対応のアナウンサーがいる。登坂淳一アナウンサーが、その人。実のところ、私は、登坂アナの隠れファンである。なぜ、登坂アナに惹かれるのだろう? その理由を考えてみた。まず第1に、声が良い。災害時でも、渦中の人たちを慌てさせない安心感のある声である。第2に、決して笑わないこと。情報が刻々と更新されてくる中、登坂アナは決して動揺せず、沈着冷静に情報を伝える。第3に、顔の表情が何だか物悲しいところ。この方、これまでどんな人生を歩んできたのだろうと思わせ、何となく気になるのである。

災害時の度に登場する、登坂アナ。このところ、黒髪に霜が降り、なんかあったのだろうか? 「○○のニュースをお伝えいたしました」と、ニュースを終える際、お辞儀をするのだが、後頭部の霜の降り方が顕著であることに、今日気がついてしまった。どうやら、登坂アナに惹かれているのは私だけでないようだ

映像に含まれる多様な情報、視る人によって読み取る内容が異なると言うもの。幼少の頃から、耳慣れた地名がアナウンスされるたびに、ドキドキする。柏崎、長岡、三条、加茂……。地名に付随した思い出がよみがえる。さらに、インタビューされた被災地の方の訛混じりの悲痛な声を耳にすると、セツナイ。


マタイ受難曲

2007-07-13 07:27:45 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は、午前も午後も会議が続いた日。午後の会議中、終了時間が気になる。それは、夕方から学部の頃の教室の助手だったK先生と夕食のお約束があったから。

何とか、時間をやりくりして、小雨の中を約束の場所へ。何年ぶりでしょうか?容姿は、25年前と変わらないK先生。一方、典型的なメタボ系になってしまった私。うーむ。

K先生は、動物生態学をご専門とし、特にデータの統計解析にめっぽう強い。現在は、九州にある、とても大きな大学の教員。しばらく、札幌に滞在されるとのことで、九州と北海道の温度差に適応中といったところでしょうか。

少しだけ、お酒を飲みながら、また、北海道の海の幸をつまみながら、ふと、昔話へ。K先生が、「福井君、Aさんのことを覚えているかい?」と。
「もちろんですよ!真夜中に3階で五輪真弓の『恋人よ』をラジカセで流していた先生でしょ」と、私。
「そうそう。そのAさんは今北大にいるのを知ってるかい?」
「昨年の暮れの全学の会議でA先生をお見かけいたしました」
「そうかい。それにしても『恋人よ』って、わかりやすよね。でも、その後が凄かったよ。バッハの『マタイ受難曲』が深夜の3階で流れていたんだから」
「うわっー。A先生、大変だったんですね。その後、どうなったのですか?」
「今は、札幌でとても幸せに暮らしているよ」と、K先生のシメの言葉。

なんだか良い話を九州からいらしたK先生からお聞きし、懐疑的にならず、ほのぼのとした気分で帰路につくことができました。


環境分子生物学基礎論

2007-07-11 06:04:23 | 教育

大学院環境科学院の環境分子生物学・微生物生態学コースで提供している授業に、「環境分子生物学基礎論」があります。

この授業科目の特色は、受講生(主に修士課程の院生)がコース内の研究室を回って、それぞれのテーマに基づく講義と実習を受けると言うもの。

私たちの低温科学研究所微生物生態学分野では、「微生物群集の構造解析」、「微生物の現場活性測定」そして「微生物の集積培養」といった3つのテーマを提供しています。

実際には、講義の後、研究室の院生がインストラクターとなって、実習を行うのですが、インストラクター側も受講生側も良い学びの機会になっているようです。

070710左の写真は、「微生物群集の構造解析」風景ですが、環境中から核酸を抽出、PCRによる遺伝子増幅、そして、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)による微生物群集プロファイルの可視化を実習いたします。なんだか楽しそうですね。

「微生物の現場活性測定」では、低温研の庭で土壌微生物の呼吸活性を密閉型のチャンバーと二酸化炭素計を用いて測定です。晴れた日の土壌呼吸活性測定は、爽快です。皆さんもいかがですか?


大学院共通講義「生化学特別講義I」

2007-07-10 07:06:17 | 教育

Photo_69本日、ゲストスピーカー平野 久先生(横浜市立大学国際総合科学研究科)の講義「プロテオミクス手法を用いたタンパク質の発現と機能の解析」をもちまして、大学院共通講義「生化学特別講義I」を終了いたします。

講義のレポートの提出に関しては、シラバスに記載されている指示と異なりますので、ご注意ください。

1_72_2提出先は、
理学部5号館低層棟(大講堂そば)3階ロビーに開設したレポートボックス
です。

開設期間は、
2007年7月10日(火)~8月10日(金)

不明な点がある場合、福井(内線6877)までご連絡ください。メールでの連絡でも構いません。

また、10月2日より「生化学特別講義II」を開講いたします。


どんぐり ころころ

2007-07-08 14:15:49 | 憩いのお店シリーズ

幼少の頃、無批判に覚えたことは、何ら疑いもなく記憶に定着していることがある。

憩いのお店」の季節商品に、「どんぐりころころ」があります。どんぐりを型どった最中(もなか)の中にコーヒーチョコレートが含まれていて、口に含むとちょっとほろ苦い、懐かしい味が口に中に広がります。

そして、思わず口ずさんでしまうのです。

♪どんぐりころころ どんぐりこ♪

みなさんも、子供の頃よく歌いませんでしたか、この「どんぐりころころ」の唄を。

しかし、よく考えてみてください。「どんぐりころころ どんぐりこ」って、どんな情景なのでしょうか? そう、ちょっと妙です。

青木存義氏が作詞した、「どんぐりころころ」は下記の通り。

どんぐりころころ どんぶりこ
 お池にはまって さあ大変
 どじょうが出て来て こんにちは
 ぼっちゃん一緒に 遊びましょう

「どんぐりころころ どんぐりこ」ではなく、「どんぶりこ」なのです。どんぐりがころころと落ちて、池の中にぽちゃんと「どんぶりこ」と揺れ動く情景を表現しているのです。

20歳の頃、この事実に気がついたのですが、それ以来、我が身が得た知識すらも懐疑的な対象になるのだと肝に銘じることにいたしました。

で、「どんぐりころころ」のどんぐりさんは、2番目の歌詞でどんなふうに表現されているのでしょう。

どんぐりころころ よろこんで
 しばらく一緒に 遊んだが
 やっぱりお山が 恋しいと
 泣いてはどじょうを 困らせた

今までと違う世界が結構面白くて、「どじょうさん」と楽しんでいたのに、ふと、慣れ親しんだ世界へ戻りたくなってしまう「どんぐりさん」。泣いたってどうしようもないこともあるので、「どんぐりさん」には新しい世界を切り開いていって欲しいものです。


新たな座右銘

2007-07-07 16:59:03 | 低温研のことごと

低温研に赴任して間もなく3年になろうとしています。当時、赴任の抱負を低温研ニュースに綴ったのですが、そこで、私の座右の銘を記しています。

初めから何の道でなくては駄目だなどときめて働いていることは間違いである。さようなことには眼もくれず、一心で道を開く気になって突進すべきである。他人の事は気に留めるとかえって悪い。また浅はかな先入主観念はさっぱり捨てて進まなくてはならない。
   (石本巳四雄著『科学を志す人々へ』より)

この言は、物理学者である石本巳四雄博士が1939年に『科学への道』で記したものです。

最近、イケてる座右銘に出会いました。

その船を漕いでゆけ
お前の手で漕いでゆけ
お前が消えて喜ぶ者に
お前のオールをまかせるな

  (中島みゆき『宙船』より)

中島みゆきの言、空いた口が塞がりませんでした。

<追記>
深読みしないでくださいね!


不覚の涙、そして感涙

2007-07-04 04:42:30 | 日記・エッセイ・コラム

新千歳空港のチェックインカウンターで、地上係員の方に羽田行きの搭乗券の発券をお願いすると、またもや、非常口座席を言い渡される。困ったなあ。

以前のエントリーでもご紹介したように、飛行機の非常口座席は客室乗務員の方と向かい合わせになるので、苦手です。

今回は、遅々として読み進まなかった小説(文庫本)を機内で読むことに。ストーリーが展開して行って、長い間病で床に伏していた少女が他界する場面に差し掛かる。心を許し合った親友であるヒロインが病の少女に添い寝をし、心を通わせるくだり。安らかで静まり返ったその夜。2人とも眠りにつくのだが、翌朝目を醒すのはヒロインのみ。この場面で、不覚にも涙が溢れてきました。うっ、まずいな。客室乗務員に見られている!いい歳した中年オヤジが文庫本を読みながら涙を流すなんて、みっともないなあ。

メガシティー東京に到着。就寝前のひととき、その文庫本を読み続ける。ヒロインの新たな世界での展開を追っていると、一通の電子メールが届く。南極で大変お世話になった方(Aさん)からで、彼がこの夏ご結婚なさるとのこと。パーティーでの乾杯の挨拶の依頼です。Aさんの思いが彼女に伝わって、本当に良かってですね。我が身のことのように嬉しく思います。彼と苦労を共にした南極でのあれこれを思い出していたら、思わず、感涙。

うーむ。涙もろくなったのは、歳のせいだろうか?

さてさて、小説のヒロイン、果たして幸福になれるのだろうか? 結構気になるところ。早く読み進めよう!


静かな時間

2007-07-03 07:13:07 | 日記・エッセイ・コラム

太陽からの紫外線に体が曝されると、細胞内のDNAが損傷を受ける。その損傷が甚大ならば、致命的になることも。しかし、多少の損傷であれば、夜間に体が持つ自己修復機能により、損傷されたDNAが修復される。

筑波研究学園都市にある国立研究所に勤務して、2年目の頃。国立研究所の研究者対象の英語研修に参加する機会を得ました。会場は、千現にある研究交流センターで、農林省、環境省、運輸省、国土地理院、通産省、科学技術庁所管の研究所の若手研究員が集まり、半年間週2回勤務後のひとときを英語の勉強に費やします。

私たちのクラスの先生は、ランガムさん。典型的な英国紳士。ある時、ランガム先生の趣味の話題になり、クラスメンバーが英語で当てることになったのです。
 「Walking?」と国土地理院のAさんが訊ねる。すかさず、「No!」と先生。
 農林省のBさんは「Gardening?」と、環境省のCさんは「Clean up garbage in your room?」と、運輸省のDさんは「Driving car?」と、科学技術庁のEさんは「Do Science?」と、通産省のFさんは「Mining gold or rare metal?」と。すべては、「No!」。全滅です。

ランガム先生、いったい先生のご趣味は何なの? クールに笑ってないで、答えてチョーダイ!

「Drinking tea!」と先生。

うーん、なるほど、いかにも英国人らしい! これを契機に、私の紅茶ブームが始まりました。

今は、一日の仕事を終え、自宅でハーブティーを飲みながら静かに時間を過ごす。これが楽しみです。特に、カモミールティーを好みます。あの香りを嗅いでいると、とても気分が落ち着き、穏やかになります。カモミールは、キク科の耐寒性一年草で、「大地のリンゴ」と言う意味。味は少し癖があるかもしれませんが、すぐに慣れてきます。就寝前に飲むと、安眠できるとか。

就寝前、カモミールの匂いがただよう静かな時間。感情労働教員の修復の時間かもしれません。