福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

広がる低温の魅力

2018-09-27 22:40:46 | 日記
耳学問ではありますが、このところ、自身の専門外の研究のお話を伺う機会が多々あります。もし、私が若い頃、そうしたお話を伺ったのなら、その分野への道を歩んだかもしれない。そんなワクワクする研究が多く、日々、楽しませていただいております。

探究心、そして学ぶことの充実感。思えば、年齢に関係なくいつでもスタートできる学び。歳を重ねた方が、純粋に学びを楽しめるのかもしれません。

ということで、10月1日より、低温科学研究所公開講座「広がる低温の魅力〜低温科学の最前線〜」が開催されます。全6回、受講料無料



ノスタルジアに浸るべからず:定年退職を迎えたWiddel先生からのメッセージ

2018-09-23 14:02:06 | 日記
2018年8月、マックスプランク海洋微生物学研究所(ドイツ・ブレーメン)のFriedrich Widdel(フリードリッヒ ヴィッデル)教授が定年退職。Widdel教授と私との関係は、こちら。このブログ画面の右上にも「このブログ内で」で『Widdel』と入力すると、Widdel先生に関するエントリーのみを表示することができます。例えば、こちらとか。





<MPI BremenのTwitterより>

「ノスタルジアに浸るべからず」。これが、定年退職を迎えたWiddel先生からの強いメッセージでした。過去の栄光などにとらわれず、前を向いて進もうと言うこと。



ブレーメンにて古くからの同僚の一人とあれこれを話していると、「Desulfosarcina widdelii」の話題に。これまで多くの研究者から微生物の新種名にWiddel先生にちなんで命名したいとの申し入れがあり、先生は拒み続けて来たとのこと。私たちの研究室で発見した炭化水素分解硫酸還元菌Desulfosarcina widdeliiが唯一の例外です。

Miho Watanabe, Yuriko Higashioka, Hisaya Kojima and Manabu Fukui. Desulfosarcina widdelii sp. nov. and Desulfosarcina alkanivorans sp. nov., hydrocarbon-degrading sulfate-reducing bacteria isolated from marine sediment and emended description of the genus Desulfosarcina. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 67: 2994-2997. 2017.DOI:


いつかはやってくるリタイアメント。Widdel先生は次の世代を一切干渉したくないとのことで、新たに赴任する研究者のため全てのオフィスと実験室を明け渡し。見慣れた実験器具や机などが廊下に放出され、世代交代の時を感じさせます。



「ノスタルジアに浸るべからず」。帰国途上の時空間。Widdel先生とのあれこれが自分の意思とは無関係に湧く。例えば、こんなこととか。ブレーメンから札幌までの時空間はノスタルジアに浸ってしまうMababuを許して欲しいです。



週末札幌散歩180917

2018-09-17 15:57:45 | 日記
震災後、ゆっくりではありますが、日常を取り戻しつつあります。このブログも、研究とはあまり関係ない話題を提供することになりますが、ある種の生存確認とういうことでご容赦ください。

ようやく週末札幌散歩に出かける余裕が出て参りました。本日は苗穂方面です。久しぶりにサッポロビール園へ。







昨年10月に訪れたサッポロビール園博物館。入場者が激減しているようです。大人気のプレミアム見学コース(参加費500円)も希望者が少ないとうことでしたので、参加することといたしました。こういう時こそ、開拓時代のことを振り返り、今後の糧とするのも良いかもしれません。





1906年、各ビール会社の無駄な競合を避けるため、大手3社が合併。当時の札幌麦酒の取締役は渋沢栄一だったのですね。






ツアー最後は試飲会。ここ札幌の地で初めて世に出たビールと同じレシピで製造した開拓使ビール(ドイツ式で酵母を無濾過)。そして、現在の黒ラベルビール。この2つの飲み比べができます。



また、ビールが一層美味しくなる注ぎ方のレッスン。缶ビールそのままの味との比較で、その美味しさを実感することができます。



ビール園近くには、日本ハムファイターズの屋内練習場もあります。



そして、東区ななめ通り。この通りの一部は、通称「ファイターズ通り」となっております。





ファイターズ通り南端(西端でもあり)に、『雨は、やさしくNo.2』と言うラーメン屋がありました。白石区に本店があるのですが、胆振東部地震当日、無料炊き出しを行ったとのことです。



鶏白湯塩ラーメンを頂きました。ホタテペーストを溶かすことにより、味の変化を楽しむことができます。また、トッピンングされた牛蒡天ぷらや紫蘇が一層深い味を醸し出してくれます。





観光客が激減している北海道ですが、幅広く、かつ奥深く楽しめる地ですので、みなさんいらしてください。お待ちしております!

東京へ

2018-09-15 13:34:28 | 日記
9月14日(金)札幌快晴。雨降る東京へ出張。会議前の控え室にて、書籍コーナーに展示されている一冊の本が目に付く。

多発する事故から何を学ぶか〜安全神話からリスク思想へ〜』(2001年刊)



あまり時間がなかったので、パラパラと捲る程度にとどめ、今度じっくり読んでみたい。

会議に出席した方々からも励ましの言葉をいただき、感謝。会議中に軽い地震発生。一瞬、メガシティ東京でブラックアウトになったら?、と思うと身震い。

今週いっぱいで2割節電対策解除とのこと。しかし、電力供給の不安定さから節電の継続が求められている。

小休止

2018-09-13 23:41:06 | 日記
私ごとですが、一年ほど前、胃内ピロリ菌除去処置を受けました。一次除菌は甲斐無く、2次除菌3ヶ月後の検査ではピロリ菌の再増殖は認められませんでした。処置後一年経過し、再検査を受けるため、今朝早くJR札幌駅近辺の総合病院へ。

地震の影響でしょうか。 受付開始時間前から長蛇の列。採血による血液検査と呼気検査を受けました。呼気検査ですが、イプシロンプロテオバクテリアに属しているピロリ菌は尿素分解能(尿素をウレアーゼで二酸化炭素とアンモニアに分解)を有しているので、13Cで標識した尿素を経口摂取し、分解産物である13C標識された二酸化炭素を質量分析計で検出して、ピロリ菌の再増殖の有無を判別しようとするものです。

検査結果が出るまで、混み合った待合所で待機。そして、担当医との診察。結果として、除菌に成功としているとのことでした。安堵。

検査のため朝食を抜き、さらに、良好な検査結果と言うこともあり、急に空腹感が。近辺の定食屋に入り、「鯖の南蛮漬け定食」(700円)を頂く。札幌の都心部では、こうした外食ができるようになりました。



十分なエネルギーチャージをして、午後から出勤。節電対策は継続中です。

厚真町や安平町では、約150戸で停電中。本日、さだまさしさんが安平町の避難所を訪れ、被災した人やボランティアの人たちを激励されたとのことです。

節電対策

2018-09-12 23:03:30 | 日記
胆振東部地震後、北海道内の電力供給不足のため、地震前の2割の節電が求められています。

低温科学研究所でも、下記の通り、積極的に節電対策を行っています。

 ・ 照明は最低限とし,必要のない場所の照明は消灯または間引きを行う。
 ・ 部屋を不在にする際は,必ず電気を消す。
 ・ 空調機は,教育・研究に支障がない限り原則運転しない。
 ・ OA機器を使用しない場合,こまめに電源を切る。
 ・ 使用する機器の必要最低限にとどめる。
 ・ 使用しない電化製品(ポット,電子レンジ等)のコンセントを抜き,
   使用時のみコンセントを差す。

その他、廊下の照明の間引き,暖房便座のコンセントを抜く等の対応も。その対策効果が顕著に現れてきています。北海道大学では、各部局の1時間ごとの使用電力をモニターできるシステムがあり、節電対策効果をチェックする上で極めて有効です。

帰宅時にはすでに閉店しているコンビニもあります。今晩は、3軒目のお店でようやく一つだけ残っていた豆腐を入手することができました。納豆等も不足しているとのことです。

さて、明日はヨーグルトを入手できるか?

9.11の夜を静かに過ごす

2018-09-11 20:03:37 | 日記
私の職場でも、少しずつ復旧に向けて歩んでいます。仕事を終えてからスーパーやコンビニに立ち寄ってみると、パンなどは出回るようになりました。しかし、乳製品が不足していています。特に、ヨーグルトがなかなか手に入りません。

今日の夕食では、大根、人参、白菜、えのき、長ネギ、豚肉などを使った煮物もできるようになりましたし、キュウリも手に入るようになりました。さらに野菜ジュースや豆乳を摂取すればよし。



温かい夕食が頂けるだけで充分です。こうして、9.11の夜が静かに過ぎて行きます。

今日もたくさんの励ましのメール、ありがとうございました。

ゆたかな心とだいじな自然:厚真の思い出

2018-09-10 22:52:45 | 日記
胆振東部地震後の週明け。職場は通常勤務に戻りました、互いの無事を確認し合いながら。

甚大な被害を受けた厚真町。内地の人たちには馴染みのない地だったかもしれません。しかし、私にとっては忘れられない思い出があります。



9年前のちょうど今頃(2009年9月15日)、厚真町立富野小学校で出前授業を行なったことがあります。お隣の軽舞小学校と合わせて計26名の児童数です。『微生物(びせいぶつ)ってなに?』をテーマに、1年生から6年生までの一斉授業。授業では、南極の赤雪微生物を顕微鏡観察したり、手の皮膚に付着した微生物を寒天培地で培養したり、落ち葉の微生物分解の様子を観察したりと。特に、南極の赤雪に児童の皆さんは驚いていたようです。



数日後、児童の皆さんの感想文とともに富野小学校長から礼状が届きました。

内容等にご無理をお願いした面も多々ありましたが、快く引き受けてくださり、心より感謝申し上げます。

当日は富野小学校の児童に加え、軽舞小学校の児童、計26名が参加し、福井先生より、身近なところにあるたくさんの微生物について学ぶことができました。

授業では、南極の貴重な微生物を顕微鏡で観察や寒天培地での観察を通して、児童は興味関心を持ちながら、大変参考となるお話をお聞きすることができました。この貴重な体験を今後の指導に大いに生かしてまいりたいと考えております。

また、貴重な資料や絵本をいただき、感謝申し上げます。
               (厚真町立富野小学校長より)








あの時のことを思いながら、厚真の惨状をテレビ報道等で目にすると言葉が出てきません。大自然の脅威を痛感いたします。

一刻も早い復旧を願って止みません。


<読売新聞地方版2009年9月17日付>

【追記】
平成22年度末で、富野小学校と軽舞小学校は統廃合に伴い廃校となりました。

台風、そして地震

2018-09-08 08:19:22 | 日記
4日夜から5日朝にかけての台風、そして6日未明に発生した地震。

皆様には大変ご心配をおかけいたしましたが、研究室メンバー全員無事です。お見舞いメッセージをいただいた皆さん、ありがとうございました。随分と励みになりました。

停電のため固定電話やインターネットが使えなかったのですが、スマートフォン利用により安否確認等を行うことができました。問題はスマートフォンのバッテリーなのですが、たまたまモバイルバッテリーがほぼフル充電でしたので、「省エネモード」で何とか復電まで利用することができました。

また、停電中はラジオが重要な情報源でした。照明が消えた研究室や自宅で、中波ラジオからの情報は「灯」のようにも思えました。研究室のAさん所有の災害用ラジオは短波放送も受信可能な優れもので、落ち着いたら私も購入いたします。研究室ではこんな会話もありました。

  福井「このラジオはすごいね。短波放送も受信できるんだね」
  Aさん「えっ?短波って何ですか?」
  緒方先生「今の学生は短波放送って、知らないと思いますよ」
  福井「ショック!」

7日夕方までに職場、自宅共に復電しております。いろんな意味で正常に戻るにはしばらく時間がかかりそうですが。

何はともあれ、これからもよろしくお願いいたします。




【追記(9月8日13時)】
大学のネットワークサーバーがダウンしているようです。そのため、北海道大学ホームページやメールが使えない状態です。


【追記(9月10日8時)】
北海道大学のメールが使えようになりましたが(少なくとも、lowtem.hokudai.ac.jp)、北海道大学ホームページ等は10日13時再開予定とのことです。