<写真>アルブレヒト=デューラーの人体図
◆標準数について<寸法について その4>
213:【デザインのコツ・デザインのツボ100連発!】第13発 デザインワーク
こんにちは!
「工業デザイン相談室」の木全(キマタ)です。一般の方に向けて工業デザインのエッセンスについて書いたり、デザイナーとの付合い方などについて書いています。御相談がありましたら、コメントをくださいね。コメントによるご質問には基本的に無料でお答えいたします。
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■JISの標準数
寸法の話の四回目です。前回は、メートル法の話でした。メートル法は、約数が少なく、等比級数的な寸法体系を持っておらず、デザインをする上では若干、制約がある。だけど、そのわかりやすさは大きな魅力だという話をしました。
そこで、等比級数的な寸法体系として、日本工業規格(JIS)では、「標準数」(JIS Z 8601)を採用しています。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の解説では、以下の通り。実際の数列は、ウィキペディア「標準数」で確認してください。
●標準数
標準数(ひょうじゅんすう,Preferred number)は等比数列(隣合う数値の比が一定)を丸めたもので、機器の寸法や値などを決める場合に用いる。
値はISO(日本ではJIS Z 8601)で定められており、R5、R10、R20、R40、R80が制定されている。
【JIS Z 8601】
製品などの寸法を選ぶための工業規格による基準値。
■標準数の体系
上の説明では、ちょっとわかりにくいですね。
まず、日本工業規格(JIS)で採用されている数列「R5、R10、R20、R40、R80」について。
「R5」の数列は、1.0 1.6 2.5 4.0 6.3 10.0 ‥…です。1.0から一桁上の10.0の間に5個の標準数があります。「R5」の「5」は、このことです。10.0の先も、10倍づつの数列が続いていきます。
同様に、一桁上がるまでにR10では10個、R20では20個、R40では40個、R80では80個の標準数があります。
次に、等比数列について。
「等比数列=隣合う数値の比が一定な数列」です。また、R5の寸法で説明しましょう。
R5の数列 1.0 1.6 2.5 4.0 6.3 10.0
隣合う数値の比
1.6/1.0=1.6
2.5/1.6=1.56
4.0/2.5=1.6
6.3/4.0=1.58
10.0/6.3=1.59
ということで、R5は、公比=約1.6の等比数列になっています。
1.6というのは、黄金比に近いですね。
同様に、
R10 公比=約1.25 の等比数列
R20 公比=約1.12 の等比数列
R40 公比=約1.06 の等比数列
R80 公比=約1.03 の等比数列 となっています。
■標準数の使い方
標準数を使う場合は、R5、R10、R20、R40、R80のうちのどれか1つだけ採用します。よく使われるのは、(R5)、R10、R20です。
標準数は、ネジなど、さまざまなサイズを持つ部品などでは、一般的に使われていますね。メトリック(メートルネジ)は、この標準数に基づいて体系化されています。しかし、部品用の寸法体系ということはなく、製品に使っても有効です。
JISの標準数の公比の基本は、R5の1.6です。これは、黄金比とほぼ同じです。標準数は、黄金比と比例関係にある限定された数字だけを使うので、出来上がった製品は、全体が黄金比で構成されたと考えてよく、無秩序な数字を使う場合うよりも、バランスのよいものになるはずです。
標準数は、わかりやすいけど、等比級数的な寸法体系を持っていないメートル法に、黄金比に近い等比級数寸法体系を導入して、バランスのいいデザインをするためのツールなのです。
標準数は、使う数字を限定してしまいます。使い慣れないと不自由な感じがしますが、これは慣れの問題なので、あまり心配はいりません。数列が頭に入ってしまえば、不自由さは感じなくなります。
次回は、標準数より簡便な、モジュール寸法についてお話しましょう。
他にも、いろいろな寸法の話をしています。よろしければ、是非ご覧ください。
1) 寸法について(寸法/1)
2) 黄金比について(寸法/2)
3) メートル法について(寸法/3)
4) 標準数について(寸法/4) 【←今回はこの説明です】
5) モジュール寸法について(寸法/5)
6) フィボナッチ数・白銀比(寸法/6)
7) デザインと個性(寸法/番外)
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寸法の話の四回目です。前回は、メートル法の話でした。メートル法は、約数が少なく、等比級数的な寸法体系を持っておらず、デザインをする上では若干、制約がある。だけど、そのわかりやすさは大きな魅力だという話をしました。
そこで、等比級数的な寸法体系として、日本工業規格(JIS)では、「標準数」(JIS Z 8601)を採用しています。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の解説では、以下の通り。実際の数列は、ウィキペディア「標準数」で確認してください。
●標準数
標準数(ひょうじゅんすう,Preferred number)は等比数列(隣合う数値の比が一定)を丸めたもので、機器の寸法や値などを決める場合に用いる。
値はISO(日本ではJIS Z 8601)で定められており、R5、R10、R20、R40、R80が制定されている。
【JIS Z 8601】
製品などの寸法を選ぶための工業規格による基準値。
■標準数の体系
上の説明では、ちょっとわかりにくいですね。
まず、日本工業規格(JIS)で採用されている数列「R5、R10、R20、R40、R80」について。
「R5」の数列は、1.0 1.6 2.5 4.0 6.3 10.0 ‥…です。1.0から一桁上の10.0の間に5個の標準数があります。「R5」の「5」は、このことです。10.0の先も、10倍づつの数列が続いていきます。
同様に、一桁上がるまでにR10では10個、R20では20個、R40では40個、R80では80個の標準数があります。
次に、等比数列について。
「等比数列=隣合う数値の比が一定な数列」です。また、R5の寸法で説明しましょう。
R5の数列 1.0 1.6 2.5 4.0 6.3 10.0
隣合う数値の比
1.6/1.0=1.6
2.5/1.6=1.56
4.0/2.5=1.6
6.3/4.0=1.58
10.0/6.3=1.59
ということで、R5は、公比=約1.6の等比数列になっています。
1.6というのは、黄金比に近いですね。
同様に、
R10 公比=約1.25 の等比数列
R20 公比=約1.12 の等比数列
R40 公比=約1.06 の等比数列
R80 公比=約1.03 の等比数列 となっています。
■標準数の使い方
標準数を使う場合は、R5、R10、R20、R40、R80のうちのどれか1つだけ採用します。よく使われるのは、(R5)、R10、R20です。
標準数は、ネジなど、さまざまなサイズを持つ部品などでは、一般的に使われていますね。メトリック(メートルネジ)は、この標準数に基づいて体系化されています。しかし、部品用の寸法体系ということはなく、製品に使っても有効です。
JISの標準数の公比の基本は、R5の1.6です。これは、黄金比とほぼ同じです。標準数は、黄金比と比例関係にある限定された数字だけを使うので、出来上がった製品は、全体が黄金比で構成されたと考えてよく、無秩序な数字を使う場合うよりも、バランスのよいものになるはずです。
標準数は、わかりやすいけど、等比級数的な寸法体系を持っていないメートル法に、黄金比に近い等比級数寸法体系を導入して、バランスのいいデザインをするためのツールなのです。
標準数は、使う数字を限定してしまいます。使い慣れないと不自由な感じがしますが、これは慣れの問題なので、あまり心配はいりません。数列が頭に入ってしまえば、不自由さは感じなくなります。
次回は、標準数より簡便な、モジュール寸法についてお話しましょう。
他にも、いろいろな寸法の話をしています。よろしければ、是非ご覧ください。
1) 寸法について(寸法/1)
2) 黄金比について(寸法/2)
3) メートル法について(寸法/3)
4) 標準数について(寸法/4) 【←今回はこの説明です】
5) モジュール寸法について(寸法/5)
6) フィボナッチ数・白銀比(寸法/6)
7) デザインと個性(寸法/番外)
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