木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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悪徳デザイナーの手口と見分け方

2021年02月06日 | 生きのびるための中小企業デザイン



◆悪徳デザイナーの手口と見分け方
 【生きのびるための中小企業デザイン】


 こんにちは!中小企業のデザインコンサルタントの木全(キマタ)です。
 中小企業の方々に向けて工業デザインのエッセンスについてお知らせしています。

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 2014年から2年間、日経BP社サイト「小さな組織の未来学」で「生きのびるための中小企業デザイン」というコラムを担当していました。

 そのサイトは閉鎖されてしまいましたが、サイト編集の方と相談しながら考えた、中小企業の方々に役立つデザイン情報は今でも有効だと考えています。そのコラムの内容を、隔週で発信しています。

 今回は「悪徳デザイナーの手口と見分け方」です。残念ながら、悪徳デザイナーは実際に存在するようです。悪徳デザイナーの手口と見分け方についてお話ししてみます。




 残念なことですが、悪徳と言わざるを得ないようなデザイナーは実際に存在するようです。そこで今回は、悪徳デザイナーの手口と見分け方についてお話ししてみます。

例えば、あるデザイナーからスケッチ1枚1万円だと提案されて依頼したところ、翌週にスケッチ100枚を描いてきて100万円の請求をされたなどという、冗談のような事例を聞いたことがあります。もちろん、こんな非常識な請求に応じる必要はありませんが、実際の手口はもう少し手が込んでいます。

ここでいう悪徳とは、「最終デザイン成果物の出来」に比べ「法外な報酬」を要求することを指します。契約上、「最終成果物」を評価してから報酬を支払うようにすれば騙されるはずがないと考えるかもしれません。でも、実情はそれほど単純でもないようです。



悪徳デザイナーの手口

 まず、初対面のときから落とし穴があります。中小企業の場合、デザイナーと知り合うのは知人からの紹介が多く、それだけで既に判断基準が甘くなっています。その知人が紹介してくれたのは、交流会でたまたま出会っただけのデザイナーかもしれません。知人の紹介だからと安心するべきではありません。

 悪徳デザイナーは初対面の席で、よく分からない協会の理事であることや受賞歴があることを列記した自己紹介資料と、CGスケッチなどが満載された業務資料を見せ、「本来なら商品デザイン費用は500万円ですが、初回ですので200万円でお請けしましょう」と話しながら、さらに100万円にディスカウントして、その場で契約書を持ち出します。手付金は10万円と言われ、相手の社長は少額で優秀なデザイナーを確保できたことに満足し、翌日10万円を振り込んでしまいます。

 業務が始まると、市場調査資料など毎週次々と見栄えのいい資料が提示され、業務は一見滑らかに進行しているように見えます。そして、ひと月も経たないうちに数枚のスケッチが提案され、デザイナーに促されるまま1枚を選ぶと、翌週には簡単な図面とレンダリングスケッチを納品。デザイナーは業務の終了を宣言し、残金90万円に上乗せして契約書にある「必要経費」「意匠権譲渡料」として50万円を請求してきます。短期間にたくさんの資料を見せられ、深く検討する間もなく何となく納得して、社長は140万円も支払ってしまうのです。

 今、ご紹介したのは一つの典型的な手口です。この例では、最終成果物が納品され、社長が納得しているのですから詐欺ではありません。しかし、商品デザイン開発とは本来、企業の担当者とデザイナーが何度も様々な議論を重ね、数カ月から数年かけて行うべきものであって、そうでなければいい商品にはなりません。たった1カ月ででっち上げた商品デザイン(最終成果物)が役に立つはずもなく、その対価は金額によらず法外な報酬と言えるのです。



悪徳デザイナーの見分け方

 では、悪徳デザイナーを見分けるには、どうすればいいのでしょう? それにはまず、最初に信用調査を行う事です。

1)信用できるデザイナーかどうか、紹介者に付き合いの経緯を聞く
2)紹介者がデザイナーに仕事を依頼していたら、その評価を聞く
3)体裁の整った資料だけで信用せず、実績や肩書きをネットで調べる
4)最初から大きな仕事を性急に求めてくる場合は用心する
5)知的財産権・契約についてしっかり対応してくれるか確認する
6)嘘がないか確認する


そして信用できると判断したら、少額の年間コンサルタント契約を結び、月に1~2回の打ち合せを通じて企業の状況を把握してもらった上で、半年から1年後に新商品開発のような大きなプロジェクトを依頼すると間違いがありません。

少額の年間契約から始めることを勧めるのは、それが悪徳デザイナーを見分ける良いフィルターになるからです。悪徳デザイナーは効率の悪い少額の年間契約を嫌います。信頼できるデザイナーなら、少額でも年間契約の方が落ち着いて仕事ができるので歓迎するでしょう。税理士や弁護士などと付き合う場合と同じです。

ただし、信頼できても性格的な相性が合わないと長続きしません。デザイン導入を本気で考えるなら、信頼できて相性の合うデザイナーに出会うまで、諦めずに何人ものデザイナーと付き合うしかないようです。

長く付き合えそうなデザイナーと出会えたら、打ち合せを重ねるうちに社運をかけたプロジェクトをそのデザイナーとともに進める覚悟もできてくるでしょう。その時はぜひ中小企業ならではの、思い切った決断をして欲しいと思います。



著作のご紹介

 「デザインにひそむ<美しさ>の法則」(ソフトバンククリエイティブ新書)
 「売れる商品デザインの法則」(日本能率協会)
 「中小企業のデザイン戦略 」(PHPビジネス新書)
 「売れるデザインの発想法」(ソフトバンククリエイティブ新書)
 「マインドマップ デザイン思考の仕事術」(PHP新書)
 「デザイン家電は、なぜ『四角くて、モノトーン』なのか?」(エムディエヌコーポレーション)



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