木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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形の基本は丸・三角・四角

2007年10月30日 | 造形の構成原理(コツツボ)
<道路標識>


◆形の基本は丸・三角・四角
255:【デザインのコツ・デザインのツボ 100連発!】第55発 モダンデザイン


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

 新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」 好評発売中 

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【宣伝】「デザインにひそむ<美しさ>の法則」

 現在執筆中の本ですが、なんとか初稿までたどり着きました。今の予定では、11月末には配本できそうです。内容は工業デザインの実用書です。新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」よりも、もう少し実務寄りになっています。教養書と言うよりは、中小企業の仕事の現場でデザインをどう扱っていいか困っている企画・設計・開発担当者に向けた実用書になる予定です。心当たりのある方は、是非ご購入くださいませ。

 でも、以下の本も面白いですよ(笑)。秋の夜長は読書です。

題名「デザインにひそむ<美しさ>の法則」
ソフトバンク新書
価格 735円(税込)


アマゾンでもご購入できます!(笑)


「丸・三角・四角」はシンプルでわかりやすい

 「人は美しいものに関心があり、美に快感を覚える。」
 「人は美しいものに愛着を覚え、使いやすいと感じる。」
 「だれもが共通に美しいと感じるデザイン」
 「シンプルデザインは美しいか」
 「シンプルデザインはわかりやすい」
 「造形の構成原理」



 モダンデザインに関して、こんなお話をしています。

 「シンプルデザイン」は「わかりやすい」から、安心で、すぐに覚えて、長く人の記憶に残り、美術やアートのように見る人に驚きを与える美しさではなく、人に安心して身近で使ってもらうための美しさなのだという話をしてきました。



 では、具体的に「シンプル」で「わかりやすい形」とは何かというと、「丸・三角・四角」です。

 このことについては、いろいろな研究がなされており、例えば、文明の発祥地に残るもっとも原始的な装飾や紋様には、丸・三角・四角の単純な幾何学的形態が多く見られます。

 時代を追うにつれ、それらが徐々に発展して、丸は同心円や渦巻きに、三角は連続して鱗模様や波型模様に、四角は菱形や市松模様になって、建築物や織物の装飾に使われてきました。

 また、交通標識も丸・三角・四角ですが、それも、車で高速移動する運転手がもっとも認識しやすい形が丸・三角・四角だという研究に基づくものです。どうやら人間は、丸・三角・四角が気になり、好きなようです。

 丸・三角・四角は、人類がもっとも認識しやすい形であり、「シンプル」で「わかりやすい形」というわけです。特に、製品デザインにおいては、四角と丸(楕円も含みます)が多用されています。丸と四角はロクロや旋盤やフライス盤でも作りやすいという生産性のよさもあり、現代人にとってもっとも馴染みやすく安心感のある形なのです。

 たとえば、食卓を演出するテーブルウエアはほとんど丸と四角です。やはり食事は見慣れたものや形に囲まれて落ち着いた雰囲気で食べたいからだと思います。


交通標識のデザイン

 身近な例で、「丸・三角・四角」が効果的に使われているものをあげるとすれば、交通標識でしょう。

 交通標識は、車を運転して、高速で移動している運転者の目にとまらなければ意味がありません。そのため、人がもっとも認識しやすい丸・三角・四角が採用されています。

 交通標識が葉っぱや石ころなどのような不定形をしていたら、きっと見落としてしまいます。

 交通標識においては、色も重要な要素です。使われている色は、白・赤・青・黄・緑の五色。黄色は警戒標識、緑は案内標識という補助的な標識に使われるだけで、重要な規制標識・指示標識に使われているのは赤と青です。白は、赤と青を際立たせるためのベース色です。赤は強い色で禁止を表し、青は少し弱い色で指示や誘導や情報を表しています。

 それらの形と色の組合せの中で最も強いのは、「三角」と「赤」です。「絶対禁止」という強いメッセージを発しています。

 百種類以上ある標識の中で、「三角」と「赤」の組合せの標識は「止まれ」と「徐行」の二つしかありません。メッセージを強調するため、三角の上下を反転しています。交通標識の体系は、この二つを最重要項目にして作られています。

 次に強い組合せは、「丸」と「赤」です。進入禁止・駐車禁止・速度制限などの強い規制に使われます。

 そして、「四角」と「赤」。この標識も二つしかなく、「歩行者通行止め」と「歩行者横断禁止」だけです。

 交通標識は自動車の運転者への指示が中心ですので、歩行者に対する禁止に三角と丸が使えず四角になっていますが、車に対する「止まれ」「徐行」と同じくらい強い「絶対禁止」のメッセージです。

 指示標識は、三角と青・丸と青・四角と青の組合せです。指示標識の中で一番強いのが、「三角」と「青」で、これも「横断歩道」「自転車横断帯」の二つしかありません。指示・誘導・情報の中で最も注意してほしいのが、横断歩道だという意味です。

 普段何気なく目にしている交通標識も、モダンデザインの法則によって体系化されています。

 車は「徐行」して「止まれ」、人は「横断歩道」以外「渡るな」。これが交通安全の基本だと交通標識は形と色でその思想まで伝えています。


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