木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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デザインと個性

2006年02月16日 | 黄金比など(コツツボ)
 <写真>ルイジ=コラーニの作品


◆デザインと個性<寸法について 番外>
216:【デザインのコツ・デザインのツボ100連発!】第16発 デザインワーク


 こんにちは!
 「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。一般の方に向けて工業デザインのエッセンスについて書いたり、デザイナーとの付合い方などについて書いています。御相談がありましたら、コメントをくださいね。コメントによるご質問には基本的に無料でお答えいたします。

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 記事の目次
 デザイン相談室の目次    デザインの考え方と運用について
 デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて

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どの寸法を使ったらいいの?

 いままで6回に渡って寸法の話をしてきました。

◆寸法について(その1)

◆黄金比について(寸法 その2)

◆メートル法について(寸法 その3)

◆標準数について(寸法 その4)

◆モジュール数について(寸法 その5)

◆フィボナッチ数・白銀比(寸法 その6)

 これらの寸法体系のどれが一番いいとか、どれが使いにくいとか、そういうことは全くありません。どの寸法体系も、いろいろな人が使い込んで、洗練されており、ちゃんと使えば、美しいデザインに寄与してくれます。

 そうは言っても、どの寸法体系を使ったらいいかわからない。

 そんな場合は、どうしたらいいでしょう?



デザインと個性

 デザインに絶対的な基準はありません。

 企業の理念・商品コンセプト・予算・ターゲット・市場など、様々な条件の中で、そのときの最適解を探す作業、それがデザイン作業です。

 しかし、それだけであれば、どこのメーカー・どのデザイナーがデザインしても、同じようなデザインが出てきてしまいます。

 すべての条件を入力すれば、一つの最適解がポンと出てくる。デザインはそんな簡単なものではありません。もっと、人間的なものです。

 商品開発に係わる様々な担当者の考え方や好き嫌いや個性が、デザインに反映されます。

 そんなことは、明解なデザイン方針を持った企業や、個性的なデザイナーが関わった商品を見れば、すぐに納得できますよね。

 「自然界に直線は存在しない。だからこそ美しいのだ」という信念を持ってデザインをするルイジ=コラーニの作品群【写真参照】。

 彼の作品には、直線は存在しません。コンパクトに収めようという気持ちもありません。美しい曲線と機能の融合。それが彼のデザインの個性を輝かせています。

 建築において、鋼鉄と透明素材と無彩色、それに直線・平面・直角・円という普遍的な要素だけを使って、装飾のない、透明なカーテンウオールで、詩的とも言える限りない透明な美しさを演出し、インターナショナルスタイルを確立したル・コルビュジエ(Le Corbusier 1887-1965)やミース・ファン・デルローエ(Mies Van der Rohe 1886-1969)。

 アップルコンピュータは、製品の世界で見事にインターナショナルスタイルを踏襲しています。

 どんなに開発条件が厳しくて、得られる最適解の幅が狭くても、個性的なデザインは可能です。



あなたはどの寸法体系が好きですか?

 デザイン的な個性とは、「信念」に近いかもしれません。「信念」がはっきりしているほど、デザインが個性的になる。「信念」が単純で明解なほど、個性が輝く。

 いろんなデザインを見てきましたが、デザインと個性と信念には、そんな関係があるようです。

 さて、最初の設問に戻りましょう。

 どの寸法体系を使ったらいいかわからない。

 もう、答えはお分かりですよね。この設問はこう言い換えるべきです。

 あなたはどの寸法体系が好きですか?

 どの寸法体系でも、かまいません。企業や開発担当者が、「これがいい。これが好きだ。これが使いやすい」と思う寸法体系を一つ選んで使えばいいのです。

 そして、一度選んだら、どうしても嫌になるまで、とことんその寸法体系にこだわりましょう。

 そうすれば、きっと個性が見えてくるはずです。そして、デザインとはどういうことか、わかってくるはずです。


 他にも、いろいろな寸法の話をしています。よろしければ、是非ご覧ください。

 1) 寸法について(寸法/1)
 2) 黄金比について(寸法/2)
 3) メートル法について(寸法/3)
 4) 標準数について(寸法/4)
 5) モジュール寸法について(寸法/5)
 6) フィボナッチ数・白銀比(寸法/6)
 7) デザインと個性(寸法/番外)      【←今回はこの説明です】


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