狷介不羈の寄留者TNの日々、沈思黙考

多くの失敗と後悔から得た考え方・捉え方・共感を持つ私が、独り静かに黙想、祈り、悔い改め、常識に囚われず根拠を問う。

本物の鍛冶屋さん

2012-12-03 20:43:29 | 鉄工所・職人・町工場
 昨日の深夜(本日の未明、2:35~3:30A.M.)、関西テレビ(フジテレビ系列)で放送された「FNSドキュメンタリー大賞『鋼の絆~島原の鍛冶屋五人兄弟』」(テレビ長崎制作・著作)を見ました。江戸時代から9代続く鍛冶屋「吉光」は、91歳の次男から72歳の九男までの5人兄弟で営まれ、島原の伝統工芸品の包丁や鍬や鎌等の農具等を作っておられます。父が11人兄弟全てに鍛冶屋さんに関する名前を付け、その内9人は鍛冶屋を継ぎましたが、4人は亡くなられました。又、取材中には社長である84歳の六男の方が亡くなられました。その社長の48歳の長男が父が亡くなられる前から見習で加わっています。一方、91歳の次男の方は、毎朝自転車で通勤されていて、正に現役そのものです。昔からの日本刀を作る方法と同じ鍛接という方法で、1000℃の高熱とハンマーで叩く圧力によって「玉鋼」と他の工具鋼とを溶接し、其の後ハンマーやプレス機によって鍛造して不純物を除きながら平たく鍛え、よく切れ、硬く、粘りがあり、曲がり難い包丁へと仕上げていきます。
 市販の玉鋼を使っていましたが、鍛冶屋として本格的にやろうとして、様々な文献を集めて昔行われていた「たたら製鉄」自ら行う事に挑戦し、現在は自社製の玉鋼を使用した包丁を作っています。朝鮮半島から渡ってきた渡来人が日本へ伝えて弥生時代から行なわれてきた「たたら製鉄」は、中国山地等、岡山県の備前・美作兵庫県の千種川・揖保川沿いの砂鉄の採れる所でも盛んに行なわれて来ました。鋼は刃金とも書き、日本刀の刃の部分に用いられて来ました。文献を基に赤土でたたら炉(火床(ホド))を作り、有明海沿岸で採取した砂鉄を使い、木炭で火を起こして1000~1300℃まで熱して鞴(ふいご)から風を送りながら、純度を高める為に藁灰(わらばい)と貝を砕いた粉を加え、ノロ(スラグ(不純物))を分離して、「玉鋼」(和鋼)の基となる粗鉄である「(ケラ)」を作ります。砂鉄80kgから20kgのケラしか取れません。鍛接しやすく、研磨もしやすく、鉄と1~1.5%の炭素のみの合金で純度の高い「刃金(鋼)」が出来ます。
 私も実はこの番組の様な鍛冶屋さんとは違った種類・内容ではありますが、町工場の鉄工所で若い時から働いて来ていたのですが、この御兄弟の方達の様に60~70年程も鍛冶屋一筋で働いて来られて、且つ挑戦して新たにされていく本物の鍛冶屋さんを見て、とてもすばらしいと思いました。仕上げの研磨した後の刃文を見ただけで、その切れ味が解ってしまいます。紙を立てにすっと切れてしまう程の切れ味の良い包丁です。耐久性も良いです。又他にも、ボランティアで農作業の器具の刃物を研いだり、リサイクルとして空き缶を使用しての包丁作りの挑戦もしています。
 関東地方の放送は未だ(12月19日(水)の深夜(翌日の未明))ですが、こちらと同じ午前2~3時という視聴率の悪い時間帯です。九州地方では昨年の3月に放送されましたが、そちらの方でも早朝や深夜でありました。私はいつも思うのですが、この様な良い番組がなぜ深夜等のあまり視聴率の上がらない時間帯に流されるのかと疑問に思っています。こちらの関西では、日曜日の深夜(翌月曜の未明の真夜中)という、翌日出勤日で最も視聴率の上がらない時間帯に放送しています。逆にゴールデンタイムに放送している番組は、お笑いやクイズ、バラエティ番組、セックスシーンのあるドラマ等の意味の無い空虚な番組ばかりです。しかし、その様な意味の無い番組の視聴率が上がっている事が現実に起こっている事から大衆受けしている事が表されており、且つ広告業者の大衆への洗脳の意図(勿論、電通等の広告業者も裏の権力に操作されている)もあるのでしょうが、愚民化・平和ボケ政策とそれを歓迎している一般大衆の様子が表されている様に思います。私は此の度見た様な意味のあるドキュメンタリー番組こそゴールデンタイムに放送すべきだと思います。因みに私の場合は、番組表から選んで録画してから良い番組だけを見ています。NHKの場合は未だその様な意味のある番組を視聴率の上がる時間帯に放送しているのですが、コマーシャルが無い分で未だ民放よりは操作される度合いが少ないのでましなのかもしれません。 

コメント
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