DK大衆食の旅3

路麺好きがそんな感じで巡る大衆食の旅。

あみ富@妙典

2019年05月27日 | そばうどん
妙典の町。やはりすごくいい。

塩の道の終着点にして、木下街道の始まりの町。

古より水と共に在る町。その水を護らんと建ち並んだ寺社の合間を緑の風が抜ける。



そんな町の、落ち着きのある住宅地にぽつんと在る大衆そば店、あみ富である。



なんとも海町のざっかけない雰囲気がいい。



以前、こちらの定食に付いてきた、三番瀬のホンビノスの味噌汁のうまさに度肝を抜かれたのは5年前になるか。

一口啜ると同時に、びいいいいんと身体中を電流の様に江戸前が貫いた。衝撃。

そう、東京モンにとっての地の物は江戸前である事実を、全身で理解した瞬間であった。

というのも、あみ富はそば屋でありながら三番瀬網元でもあるという、ちょっと面白い大衆そば店なのである。



前回、夏はハゼの天ぷらがあるかもよ、と訊いたのを思い出し、ちょいと時期尚早とは思いつつお邪魔してみた。

やはりまだであった。いくら猛暑日を重ねても5月末だもんね。梅雨もこれからだってのに気が早すぎたわい。

んあ?あああああー

てコトは!

穴子がシーズンに!
まさに入ろうというタイミングじゃあないの!^^



うほおおおおおお



いいいいいいいい

ほんのり品良く潮の香りを漂わせた穴子天。やばうぎ。身のほっこり具合も上々で。
冷やのコップ酒がまた合いまくりですよ。
あー生きてて良かったなあもう。



そばは細身。きりりと締まった辛汁。



でもってまた海苔がうまい。三番瀬の海苔かどうかはわからんけど、やはり海苔に妥協なしは大森界隈と同じ江戸前の矜持だよなあ。素晴らしいよなあ。



そば湯で締めて、店を後にする。
もうちょいと飲みたい気にもなったが、少し足らんくらいが良い様に思えた。

そう、この広く青い空は、更に期待の高まったハゼ天への、妙典の夏へのプロローグな気がしたのである。





鶏鳴庵@三郷 鷹野

2019年05月20日 | そばうどん























GW渋滞で東京脱出に失敗、うろうろ迂回してた時に偶然見かけた店。

思ってたより広い店内。おじいちゃんとおばあちゃんでやってる緩い雰囲気がいい。

そばは、きつね梅とか雪見とかちょっと変わったメニューもあり。生麺コンク汁かな。
春菊天うまそうで悩んだけどかき揚げそばを。根菜たぷーりの立派なかき揚げうまかった。

やきとりとか飲み屋としても使えるメニューも。営業時間18時までみたいだけど(笑)



一心太助@方南町

2019年05月16日 | 大衆酒場・角打



























これまで様々に大衆食の旅を続けてきているが、いくつか途轍もなく心に響く店があったりする。

大衆食である。だから緻密な味付けや盛り付けなんかは、ない。
でも、だからこそ判る。剥き出しで、心で、仕事をするとはこういうコトだ。

もし一人でこの店へ訪れたのなら、カウンターに座ってみてほしい。
多くのメニューからなる注文を独りで流れる様にこなしながら、一見の自分にも声をかけ、常連ともやりとりし、新人?のアルバイトさんにも気遣いを忘れず、店全体を見守るその姿。しかも飄々とだ。なかなかできる人はいないと思う。

訊けば45年。この町の飲兵衛達と心を通わせながら続けて来られたのだろう。
その間、時代は昭和から平成を抜けて令和となった。
俺は時代の役目を終えたんだよ。なんてちょっぴり寂しいコトも仰っていたが、自分は思う。

ジョッキの3/4注がれたホッピーセットのナカの量も、6点盛られた3点盛りも、200g越えの牛カルビ焼きも、そして、それらが全て300円であるコトも。語るに充分の魅力であるのだが。

自分が店を後にして一番心に留まったのは

人と人。もしかしたら、商売を超えたところに在る、本当の世界。
いつの時代にあっても、大切なものがココにはあるんじゃないか。という感動なのであった。