DK大衆食の旅3

路麺好きがそんな感じで巡る大衆食の旅。

吉田自販機コーナー@太田 新田堀池

2018年10月24日 | そばうどん
大衆そばうどんの旅。北関東にはすばらしい店が山の様にある。
しかし、本来この旅にハマるきっかけとなった立ち食いそばの様式に出会う事は、まずない。



それは当然かもしれない。

立ち食いそばとは、都心部や駅前、工業地域など人が集まる場所での大衆そばの一形態なのだから。



元来この広い平野に在った、シンプルで豊かなそばうどん食文化を、都会に持ち込んだ結果が立ち食いそばなのだから。



だから、この発見はとても嬉しかった。
いわば逆輸入ともいえる存在だろうか。



群馬にはオートスナックやゲームセンターが多く存在するのだが、たまたま自転車で横切ろうとした一軒に、立食なる2文字を見たのである。



ガランとした広い室内。その端に厨房。
開店時間まであと少し。



天ぷらを揚げる心地よい音と、香ばしい香りが立ち上る。



窓の外の赤城山を眺めて待つ。いい時間。



そしてお待ちどうさまーと現れた天ぷらそば350。



軽やかに揚がった春菊とかき揚げ。
優しさのある汁。そして細く上質なゆで麺。
そこには更にいんげんとわかめが添えられて。



もちろんオートスナックの自販機からガタタッと出てくるそばも好きだが、この女将さんの気持ちが伝わるそば。すごくいい。



テーブルの数、テボの数、仕込んだかけ汁の量。
おそらく人気店なのだろう。食べ終えて女将さんにお礼を伝える頃、トラックや車が次々と駐車場に入ってくる。



店を後にして自転車を漕ぎだしてすぐ。
そば畑に出くわした。
白く可憐な蕎麦の花が、大地の秋を謳歌するかの如く一面に咲き誇っていた。








新和そば@新宿

2018年10月07日 | そばうどん
新宿という日本一のターミナル駅。その地下街の片隅にある立ち食いそば店である。



たしか自分が中学の頃開業されたと思うので、かれこれ30年はやってると思う。

数年前までは提供スピードが路麺界イチ早かった(笑)
ものの数秒で注文の品が目の前に供されるそのオペレーションは圧巻の一言であり、この地ならではの独自に進化したサービスと関心したものだ。



現在は店内も少しだけ今風になって、メニューの種類も増えた。炊き込みご飯とのセットを売りにしているみたいだ。
という事は提供スピード命ではなくなったのか(笑)
麺もゆで麺製造を撤退してしまった紀州屋からむらめんに変更した。時代は流れている。

土曜の夕刻、仲間と昼酒を飲んだ締めに冷しの紅生姜天そばをいただくことにした。



穏やかだが、自店で煮出した出汁の旨みを感じる汁。いい。
薄めるだけの業務用のコンク汁がすっかり定着してしまった駅そばの中で、長く立ち食いそば屋をやられてきたひとひらの矜持を感じた。
そんな拘りが平成も終わろうという新宿の雑踏のキワに在る。

流れの中にあって、流れて良いものと流されてはいけないもの。

といえば大袈裟か。いやしかしこの一杯。
都会を生き現代を生きる人々への、ささやかなる警鐘にも思えるのであった。