DK大衆食の旅3

路麺好きがそんな感じで巡る大衆食の旅。

せっちゃん@伊勢崎

2018年09月12日 | そばうどん

























食とは作り手の思いをいただくものでもある。
川のほとりの公園の隣。自宅を開け放ちうどんそば、定食を食べさせてくれるお店。せっちゃんというらしい。

地の利に抗う事なく作られた、サービスの惣菜3点の健やかさ。
この地の主食でもあるうどんそばの瑞々しさ。
賑やかに働くおばちゃん達の元気。
それらが一体となって自分の身体に沁み入る。

何も隠し立てすることなく、外連味なき心でもてなすせっちゃん。
次々とやってくる客に厨房の中から挨拶をする。
入りきれない客にはこっちどうぞーと自宅の居間へ通す。それでも入りきらない客には、私のベッドで待っててーと笑いが起こる。

大衆食のご馳走とはこういうものだ。
食べ終えた自分に、お腹いっぱいになったかい?と大衆食名言のひとつが声がかる。

いっぱいだよ、ありがとねー。
お腹と同時に心もいっぱいになったこの夏のいい思い出である。





塙屋@下館

2018年09月02日 | そばうどん















下館の鄙びた町並みと共にある、地元の蕎麦屋。

なんとなく愛嬌のある、すたきな盛り付け。
程よい塩梅の汁、そこにたゆる麺。
胡麻油の効いたさくさくのたぬき。

それはどこか東京下町の蕎麦屋的でもあった。

江戸時代には関東の大阪とまで言われ、交通の要衝にして商業の中心地であった下館。
つまり、文化流入も盛んであった訳で。

下館ラーメンも戦後間もない当時の浅草の粋が詰まった食べ物であった。
やがて凋落してゆく町は当時のそのままを残す。映画館の跡地や魚市場などノスタルジーを掻き立てる町並み。
そして、この塙屋のたぬきそばも、またそうなのかもしれない。

知らない町にてなんだか懐かしい味に出会う。
そこにはかつての無数の人々の思いやバイタリティが潜んでいるのかもしれない。

そばとうどんと、どっちにするかい。

食べ終える頃、別卓ではご主人が遊びに来た小さなお孫さんと食事を始めていた。なんだか嬉しそう。

そうか。このそばの味がこれからも継承されて行く、もしかするとそんなワンシーンなのかもと、こちらもちょっと微笑ましく思うのであった。