知らない町で見かけた、ちょいと気になった店へ。
店頭にあったサービスメニューの豊富さ、そしてコンビネーションのカオスぶりに心惹かれたのである。
そこはご主人がひとりで切り盛りされていた。
カウンターに陣取ろうとすると、どうぞテーブル席をご利用下さい、と。
レモンハイを飲みながら暫し、頼んだセットがやってきた。
う、うまい。
ヒレカツも魚の南蛮もソフトで実に優しい味わい。
またソースがとてもいい。和なガロニもいい。
ひとつひとつに丁寧さが滲む。ちゃんと修行を積み長年やってこられた日式洋食の味わいである。
そう、これから先の時代、確実に消えて無くなってしまう貴重な美味しさだ。
帰りしなご主人に伺うと、なんと自分も知っている浅草のとある店で30年やられていた方であった。その後、こちらで8年目になるという。
帰り道、子供の頃たまに家族で行ったレストランを思い出していた。
それは近所にある、楽しみで、美味しくて、仕方なかった自分にとって一番のご馳走処であった。
もちろん味は微妙に違うとは思う。
でも、40年も前の記憶が蘇ってきたのは事実であるし、そんな昭和を今に伝えるご馳走処であるコトに間違いはないだろう。
いい旅だった。
ふらりと入った知らない町の知らない店で、そんなコトを思うのであった。