あいよっこの旅ログ:::Part2:::

「女性のひとり旅は冒険の始まり!」

天才と博士と数式と ⑦

2019-10-17 16:20:44 | 天才と博士と数式と

写真は2019/6/19 「チャツボミゴケ公園」と「野反湖(のぞりこ)」

写真上:「野反湖」周囲10kmのダム湖。300種以上という多くの高山植物が自生し、紅葉も湖面に映える。歩いていると小雨が驟雨にかわり残念ながら退散。

 

  「博士の愛した数式」で「おやっ?」と思ったのは、博士の得意技のひとつ「相手が言った文章を即、逆さまにして返すことができる能力」に対して、家政婦の「私」が「私なんかたった3文字の言葉をひっくり返すのだって間違えます。それはギネス級の得意技です。世界びっくり人間ショーにだって出演できます」と返答したことです。

 

  「ギネス級」と「世界びっくり人間ショー」ってどこかにあったような・・・。そう「韓国天才少年の数奇な半生」(大橋義輝、共栄書房、2011)の冒頭部分に出てきたのです。

 

  内容を概略すると「1967年11月2日、日本中が興奮に包まれていました。フジテレビ『万国びっくりショー』の第一回放送に、韓国の天才少年キム・ウンヨン(金雄鎔)が出演したのです。当時わずか4歳8か月のウンヨンは、東京工大教授・矢野健太郎博士が出題した不定積分の問題を黒板に向かってさらさらと鮮やかに解いてみせ、同時に挑戦した東大生2人より数分早く正解を出した」とあります。本の表紙写真はまさにウンヨン君が黒板に数式を書いている時のものです。

 

※「万国びっくりショー」フジテレビのバラエティ番組で、第1期1967/11/2~1971/9/27、第2期1976/4/10~1976/9/25に放映された。第1期終了後に「世界びっくりスペシャルショー」や「世紀のびっくりショー」などとタイトルを変えて放映している。

 

  あいよっこはこのTV番組を全く知らなかったのですが、視聴率は35%に及び、放映後には視聴者から「どんな教育をしたのか知りたい」「成長が楽しみだ。今後も追跡して欲しい」などといった電話が殺到し、交換台がパンク状態になったそうです。

 

  こうした評判に女性週刊誌などがこぞって記事・特集を掲載し、アメリカ・タイム誌までも特集の中で「韓国のアインシュタイン」と称したのです。なぜアインシュタインなのかというと、1966/6/12にアメリカの専門家が計測した3才ウンヨンのIQが210(計測不能という注釈付き)とされ、これはギネス記録だったからです。

 

  その時のスタッフの一人だった著者は彼の印象を「当時のウンヨン君は笑顔がなく、いつもポーカーフェイスだった」とし、彼と家族がフジテレビを選んだのは担当プロプロヂューサーが「お土産替わりに神田の古書店巡りを提案した」こともあるようだ、と述懐しています。

 

  ウンヨン君は3才で韓国語、英語、ドイツ語を習得し、「星に聞いてごらん」(微分出版社:なお正確な「び」はπ→糸)という絵本を出版、内容は日記、童詩、作文、手紙、両親の「教育秘話」です。「星」というと、数式博士の「一番星を見つけ出すのが誰より早い」を思い出しますね。

 

      *** 続く ***

 

写真上下:イワカガミ 有名な高山植物でうつむき加減のピンクが愛らしい。

     「岩鏡」名前の由来は光沢のある葉を鏡に見立てたもの 

サラサドウダン とても微妙に色が変化しているよ

ミネザクラ? 花も終わりに近く、雨でうなだれているカンジ

ツマトリソウ 一輪だけ発見。葉っぱや花の縁がピンク色などで縁取られてくることに由来する。「妻をめとる」意味ではないよ。最初は「あっ、キヌガサソウ、初めてだ」と思ったけど、良く似ています。

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台風19号 日を追うごとに拡大する被害

2019-10-16 13:59:44 | 今日は日記です

          写真は2019/6/19    群馬県吾妻郡中之条町「チャツボミゴケ公園」          [

          「野反湖(のぞりこ)」

    写真上: かつて鉄鉱石が採鉱された窪み「穴地獄(あなじごく)」

    そこに自生したのが「チャツボミゴケ」

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  TVが映し出す信じたくない光景に「なぜこんなに多くの河川が同時多発的に?この国は天災に対してどう対処すればよいのだろう・・・」と暗澹たる思いです。多くの人が亡くなり、途方もない家屋が水に浸かり、道路や車などが破壊されています。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

  台風19号による河川氾濫・洪水・浸水被害は、東海や関東地域はもちろん、コースからはあまり予測できない長野県千曲川流域や福島県~宮城県の阿武隈川流域にまで広がりました。 

 

  あいよっこはこの春、福島県~宮城県各地の桜を巡り、豪勢な一本桜や歴史のある桜並木などを堪能しました。この地域の桜はことに美しくてフォトジェニック、「映え~!(※インスタばえ)」なので大好きです。また阿武隈川では「阿武隈ライン舟下り」を楽しみ、船長さんが「阿武隈川や丸森の街を愛していること」がひしひしと伝わりました。被害の状況が心配です。

 

  被災された方々、これからの復旧に際しどうかお身体を大事にして、心折れることなく立ち向かっていかれますよう、お祈り申し上げます。日本中がみんなで力を合わせることが必要です。

 

  ところで「各ダムの緊急放流警報」が出た時には、心臓がざわざわ、どきどき・・・「これ以上流すのはやめて!」と声が出ました。昨年の西日本災害では愛媛県大洲市の肱川で「緊急放流」が連絡不十分のまま実施され、結果として2人亡くなりました。このブログでも書きましたが、あいよっこの親戚も家屋浸水の被災をしたので敏感になっているのでしょう。

 

  どちらかというと自然をできるだけそのままで維持したい、という願望があるため「脱ダム派」ですが、理想ばかり言っていられないとも認識しています。だけど今回ほど「ダムっていったい何のため?」「利益とリスクのバランス取れてる?」と怒りの気持ちを感じたのも初めてです。おそらく日ごろ受けているダムからの恩恵を忘れているのでしょうが・・・。

 

  やはり日本の地形を思えば、一番の理想は「自然のダム」と呼ばれる広葉樹・落葉樹林を復活再生することでは?と考えますが、「林業の衰退」「人材不足」「計画性のない開発」などなど、解決が難しい問題から取り組む必要もあるのでしょう。せめてせめて議論に乗せることから始めて欲しいな、と痛感します。

 

 日記が長くなったので、「天才と博士と数式と ⑦」は明日アップします。

 

   苔の形がユニークで面白い 水と岩と独特なグリーン、魅せられます!

 

  穴地獄から湧出する強酸性戦泉がチャツボミゴケの絶好の生育環境となっている

 

   平成29年国の天然記念物に指定

 

 

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天才と博士と数式と ⑥

2019-10-07 14:07:13 | 天才と博士と数式と

       写真は2019/6/18「尾瀬国立公園・尾瀬ヶ原」

     写真上:それにしても「はるかな尾瀬~♪遠い空♪」だったよ~。

  奈良地域からのアクセスは、ちょっと遠いけどやはり車になりました。

  自然を守るために努力・工夫されていると実感しましたが、近年はシカ・

  イノシシなどがミズバショウはじめ植物を食べて少なくなっているそうです。

  難しい問題。

 

  「博士の愛した数式」(小川洋子、新潮文庫、2005)の博士は、交通事故による記憶喪失症状があり、事故以前の記憶は残っているのに、新しい記憶はきっちり80分間しか保持できません。(家政婦の)私と(息子の)ルートはさまざまな工夫や気遣いをしますが、博士の数学的な考え方は母子に影響を与え、博士自身も生まれて初めて「野球の試合観戦」に行くなど、お互いに変化していくようすが描かれています。

 

  博士は今でも数学雑誌の懸賞問題に挑戦し、一等賞を獲得したこともあります。なぜ問題が解けるのかと問われ「・・・数学のひらめきも、最初から頭に数式が浮かぶ訳ではない。まず飛び込んで来るのは数学的なイメージだ。輪郭は抽象的でも手触りは明確に感じ取れるイメージなんだ・・・」と説明します。

 

  また博士は数学だけでなく、野球が大好きで阪神の江夏投手(※1)の熱烈なファンですが、「・・・正直に言うと、野球の試合というものを、一度も見たことがない」のです。「信じられないよ。応援したこともなく、どうしてタイガースのファンになれるの?」というルートのもっともな問いには「図書館に行って新聞のスポーツ欄を読むんだ。・・・野球ほど多彩な数字で表現できるスポーツは他にないからね。阪神選手の打率や防御率のデータを分析するんだ。0.001の変化を読み取って、試合の流れを頭の中でイメージするのさ」と答えます。

 

  江夏の背番号「28」は完全数(※2)、それを背負って剛速球を投げる姿も博士のイメージを書き立てたようです。つまり博士は普通の人以上に、数字や変化そのものから感じることやイメージすることがあったのでしょう。

 

※1「江夏豊:1948年奈良県生れ。不世出の天才左腕投手と言われ。1968年401奪三振の世界新記録樹立。71年のオールスター戦での9者連続三振は今でも語り伝えられている。

※2「完全数」も珍しい数字で、「友愛数」と同じ計算をすると自分自身と同じ数字になる。28:1×28,2×14,4×7   1+2+4+7+14=28 

 

  さらに博士の得意技が紹介されます。ひとつは「相手が言った文章を即、逆さまにして返すことができる」という不思議な能力です。自分でもなぜそんな芸当ができるのかわからないようですが、「ひとつはっきりしているのは、文章を頭の中で映像にし、それを逆に読んでいるのではない、ということだった。大事なのはリズムで、絶対音感を発揮するようにして、文章のリズムを耳でつかんでしまえば、その後逆回転させるのはお安い御用らしい」と「私」は考えます。

 

  「私なんかたった3文字の言葉をひっくり返すのだって間違えます。それはギネス級の得意技です。世界びっくり人間ショーにだって出演できます」と「私」は返答するのです。

 

  そしてもうひとつは「一番星をだれより早く見つけられる才能」で「恐らくこれから夜を迎えようとする世界の中で、彼ほど敏感に一番星を見つけられる人間は他にいないだろうと思われた」のです。博士の人間性は次第に具体的・魅力的となり、まるで現実のモデルがいるように思えてきます。

 

  最後になるとなぜだか唐突な感じで博士の名前が「本屋敷錦吾」と明かされ、なぜここで必要なのかな?と思いました。それまでの博士のイメージからはぎょうぎょうしい、というかそぐわない感じがしたからでしょう。

 

  「本屋敷」は本が積まれている屋敷(部屋)で読書や勉強するイメージかな?また「錦吾」の「錦」からは「故郷に錦を飾る」ということわざを想起しますが、実際にはそうできなかったという意味なのでしょうか?

    *** 続く ***

 

     ミズバショウとリュウキンカは相棒のように一緒に咲く

  タテヤマリンドウ 淡青紫色の美しい花は存在感がある。日照時だけ咲く。

   イワツバメ 鳩待峠の売店上に巣をつくっていて、巣に使う泥を集めている

   ようです。

   朝早い時間にいろいろなポッカさんに出会えるみたい。

 

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