最近AI(人工知能)関係の報道屋書籍がずいぶん増えている。たまたま書店で「人工知能に哲学を教えたら」(岡本裕一郎)という易しくて面白い解説書を見つけた。AIは人間と同様に独創し創造することができるというのだ。人間社会が激変するというシンギュラリテイ(技術的特異点)の前触れは既に始まっているのかもしれない
▼ピカソと剽窃
「人工知能に哲学を教えたら」では小林秀雄の評論から「模倣は創造の母である」という言葉を引用し、高階秀爾著「ピカソ剽窃の論理」からは「ピカソには剽窃が多い」という説を引用している。その結果、要するにオリジナルとコピー、創造と模倣ははっきりと分断し区別できるものでないという。
そういえば「ピカソは本当に偉いのか」という題名の本があったことを思い出して、ネットで検索してみた。すると、ピカソの「凡人は模倣し天才は盗む」を始め、スティーブ・ジョブズ(Appleの創業者)、トーマス・エジソン、 サルバドール・ダリ、いずれも似たようなことを言っていることが書かれている。
つまりは「要素の違いと組み合わせで独創も創作もできる」のであり、したがってAI(人工知能)も人間と同様に「創造」できると論じているのだ。
そういえば芥川竜之介の小説は「二次創作」が多いと何かの本で読んだことも思い出した。 科学技術についても「大発見大発明の時代は去り、現代は組み合わせの時代」だという誰かの言葉も思い出した。
▼AI(人工知能)と人間の未来像
AI(人工知能)はあくまでも機械だ、マシーン・システムだと言っているうちに気がつけば創造的だと思っていた自分の仕事を奪われているかもしれない。新技術に一喜一憂するのも考えものだが、既にAIが小説を作ったり絵を描く時代である。新聞の社説やコラムもAI(人工知能)に書かせた方がよい、という時代がすぐ目の前に迫っているようだ。
独創と創造が命の芸術家はどうなるのだろう。オピニオンリーダーを自負している新聞の論説委員はどうするか。余計なことだが気になる。
2023年万博の日本開催が決まったが、万博のコンセプトとAI(人工知能)の進歩はがどう重なるのか、AIは明るい未来志向と調和できるのか。こちらは万博まで生きているのは無理な年齢なのだが、それでも気になる。 (2018/12/15)