その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、映画、本などなどについての個人的覚書。SINCE 2008

古川武士『書く瞑想』(ダイヤモンド社、2022)

2022-12-26 07:24:16 | 

「書く」ことで頭と心を整え、自分らしい人生をシンプルに送るための方法を紹介した本です。その書くためのメソッド体系を筆者は「感情ジャーナル」と呼んでいます(個人的には「感情日記」で良い気もしますが)。

「感情ジャーナル」には3つのステップがあります。Step1は「書く瞑想」として、今感じているマイナス、プラスの感情にフォーカスして書くだけ(1日15分)。Step2は「書く片付け」として日々のログを客観的に振り返り、整理し、深層にある価値観に気づく(月1回1時間)。そして、Step3では内省と行動を循環させて進化させる(3月に1度)。

そして夫々のステップでの書き方の案内やスタイル・枠組みなどが紹介されます。例えば、Step1では「放電/充電ログ」「セルフトーク」、Step2では「インパクト図」「価値観マップ」「理想のビジョン」「行動プラン」「習慣化プラン」、Step3では3カ月を振り返ってのGood/Problem/Solutionを書く「クオータージャーナル」などです。

私自身の本書の最大の収穫は、「感情」に着目して書くという視点が得られたことです。20年以上、簡単なメモ程度の日記をつけていることは以前のエントリーで紹介したことがありますが、私が書いていることは事実が75%、その事実に対する思考が25%と言ったところです。筆者は、「感情」をすくい上げることで、自分への理解が進み、人としての感性が回復されると言います。マイナス感情にこそ問題のサインがあり、人生の大切なメッセージが隠れているというのです。目から鱗が落ちるようなメッセージでした。

人は「思考(頭)」「感情(心)」「身体(腹)」の3つの自分が存在していて、巷の自己分析は思考に寄る傾向がある。感情ジャーナルでスルーさせている感情的自己、身体的自己を取り戻す。自己分析では無くて自己感受。「考えるな、感じろ!」が大事だというのです。スピリチュアルな香りがしなくもないですが、私にはとっても腹落ちする指摘です。

方法論自体もかなりしっかり作り込んである印象ですが、正直、これを実践するには、しっかりと時間と空間を準備する必要があって、多くの人が実行するにはハードルが高い印象です(もちろん、できる人はしっかりやればそれだけリターンも大きいと思います)。私にとっては、この感情に着目して書くということを得ただけで十分なので、まずはさっそくやってみようと思います。


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