その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、映画、本などなどについての個人的覚書。SINCE 2008

滅多に聴けない!: 東京・春・音楽祭 ムーティ指揮、ヴェルディ〈仮面舞踏会〉 @東京文化会館

2023-03-31 07:36:48 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

ムーティさんのオペラを生で聴くのは初めて。仕事を定時にさっさと切り上げ、桜が残る上野へgo。演目のベルディ<仮面舞踏会>は、ロンドン駐在時の2009年にマウリツィオ・ベニーニの指揮でロイヤルオペラで観劇以来の2回目です。

ムーティの緊張感ほとばしる強い統率のもと、歌手陣、オケ、合唱がそれぞれの個性と実力を発揮して、三位一体の素晴らしい公演でした。

外国人を中心とした主要歌手陣は、抜きんでてサプライズという人は居ませんでしたが安定した歌唱で楽しませてくれました。特に、占い師ウルリカを演じたユリア・マトーチュキナと準主役レナート役のセルバン・ヴァシレとが印象的。第1幕でリッカルドにお告げをするウルリカ役のマトーチュキナは雰囲気も妖しさを漂わせながら、表現豊かな歌唱で、第1幕は彼女を中心に回っていると感じさせる存在感。また、レナート役のヴァシレは第3幕1場でのアリア「おまえであったか、この魂を」が圧巻で、気持ちの入った迫力の歌唱で胸に迫るものがありました。

ちょっと残念だったのは、主役のリッカルド役のアゼル・ザダ。主役としては歌唱・存在感ともに華がない。提督として一番地位が高く、仇から狙われるような人物には見えません。物語の中心軸となれず、周りにお株を奪われた印象でした。

ヤング・オールスターチームともいえる春祭オーケストラですが、ムーティの棒に的確に応えて、レベルの高い演奏でした。私の勝手な印象ですが、昨年よりもメンバーが更に若返ったように見えました。弦のアンサンブルの美しさや、コーラングレ、フルートをはじめとした管楽器のソロは耳にしみ込むような音色、そして迫力の打楽器が場面を大いに盛り上げました。ムーティの音楽は、筋肉質で全く贅肉無し。研ぎ澄まされた音楽の中に、感情が籠っているという不思議な感覚です。

東京オペラシンガーズの合唱もいつもながら素晴らしい。やはりここも年齢制限があるでしょうか?若いメンバーさん方が殆どのように見えました。場面場面に応じた強弱や高低の幅大きく、こちらも聴きごたえ満点。

会場はアリア毎、幕ごとに大きな拍手とブラボーの掛け声がかかり、いよいよビフォーコロナに戻った感覚です。私の隣席のご婦人もブラボー連発で多少飛沫が気になりましたが、やっぱりオペラ公演は黙って拍手だけでは物足りないですね。改めて、会場からの声も劇場体験の大切な一ピースであることを認識しました。

これもどれも、やっぱりムーティあってこそと思わせるその圧倒的な存在感が桁違いですね。オーラが凄い。

ムーティの作品解説やリハーサルも見学できる本イタリア・オペラ・アカデミー企画、素晴らしいです。私はオペラ公演しか参加できてませんが、来年は是非、公演以外のプログラムにも参加してみたいです。来年は何の演目になるのか。楽しみです。

 

東京・春・音楽祭
イタリア・オペラ・アカデミー in 東京 vol.3
リッカルド・ムーティ指揮《仮面舞踏会》(演奏会形式/字幕付)

日時・会場
2023年3月30日 [木] 18:30開演(17:30開場)
東京文化会館 大ホール

出演
指揮:リッカルド・ムーティ
リッカルド(テノール):アゼル・ザダ
アメーリア(ソプラノ):ジョイス・エル=コーリー
レナート(バリトン):セルバン・ヴァシレ
ウルリカ(メゾ・ソプラノ):ユリア・マトーチュキナ
オスカル(ソプラノ):ダミアナ・ミッツィ
サムエル(バス・バリトン):山下浩司
トム(バス・バリトン):畠山 茂
シルヴァーノ(バリトン):大西宇宙
判事(テノール):志田雄二
アメーリアの召使い(テノール):塚田堂琉

管弦楽:東京春祭オーケストラ

合唱:東京オペラシンガーズ

曲目
ヴェルディ:歌劇《仮面舞踏会》(全3幕)[試聴]

上演時間:約3時間(休憩1回含む)

 

Spring Festival in Tokyo
Italian Opera Academy in Tokyo vol.3
Riccardo Muti Conducts "Un ballo in maschera"(Concert Style/With Subtitles)

Date / Place
March 30 [Thu.], 2023 at 18:30(Door Open at 17:30)
Tokyo Bunka Kaikan, Main Hall

Cast
Conductor:Riccardo Muti
Riccardo(Tenor):Azer Zada
Amelia(Soprano):Joyce El-Khoury
Renato(Baritone):Serban Vasile
Ulrica(Mezzo-Soprano):Yulia Matochkina
Oscar(Soprano):Damiana Mizzi
Samuel(Bass-Baritone):Koji Yamashita
Tom(Bass-Baritone):Shigeru Hatakeyama
Silvano(Baritone):Takaoki Onishi
Un Giudice(Tenor):Yuji Shida
Un Servo di Amelia(Tenor):Toru Tsukada

Orchestra:Tokyo-HARUSAI Festival Orchestra
Chorus:Tokyo Opera Singers

Program
Verdi:”Un ballo in maschera”(Concert Style/With Subtitles)


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

惜別 2023の桜 @野川公園、武蔵野公園、野川

2023-03-28 21:41:50 | 日記 (2012.8~)

近年稀にみる早い時期に開花した桜でしたが、天気と私の都合との相性が悪く、殆どお花見を楽しむことが出来なかった今年3月となりました。そんな中の25日土曜日の夕方、雨の合間を縫って花見ジョギングに野川公園に出かけました。曇り空がなんとも残念でしたが、雨雲の下さくらは満開。

いくつか、走りながら撮ったスナップを。


<野川公園にこんなに桜あったけと思うほど。空が青空だったらなあ~>


<濃い桃色と薄い桃色の競演>


 


<武蔵野公園奥の野川垂れ桜コリドー>


<息を飲む美しさ>


<垂れ桜鑑賞にはちょっと早いかな>


<これも桜?>

2023年の桜、さようなら~

2023年3月24日

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

美術展<レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才> @東京都美術館

2023-03-27 07:30:48 | 美術展(2012.8~)

もう1月が経ってしまいましたが、2月下旬にエゴンシーレ展を訪れました。エゴンシーレを初め、クリムトなど同時代のウィーン分離派の画家の作品も多く、100点を超す充実の展示です。

28歳で早逝したシーレですが、その作品群は実に個性的で、観る者を引き付ける魅力に溢れています。その題材、表現、タッチ、色彩などなど、絵から才能がほとばしっているのが、私のような素人にも感じられます。狂気を感じるところも多々あります。絵の前に立つと、相当の衝撃に襲われ、普段使わない脳の部位が刺激されます。

個人的には<母と子>、<悲しみの女>などの女性像がお好みでした。夫々の表情に内包される感情に考えを寄せ観ていました。過去に見た記憶にない風景画も多数展示されていて、こんな絵も描いていたのだと学びました。


風景画だけは撮影可。《モルダウ河畔のクルマウ(小さな街IV)》エゴン・シーレ、1914年 油彩、黒チョーク/カンヴァス、レオポルド美術館蔵

分離派展のポスターや同時代の画家たちの作品も興味深かった。画家によって個性、画風が異なるのは当たり前なのでしょうが、時代の転換期の不安定さと新しい時代を切り開こうとする意志の微妙なバランス感など、共通した時代の空気を感じました。

非常に力の入った見所満載の企画展であること間違いないです。既に多数の入場者を記録しているところと思いますが、関心はあるがまだ行ってない方には、4月9日までですので、訪問を強くお勧めいたします。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高橋俊介『キャリアをつくる独学力――プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント』(東洋経済新報社、2022)

2023-03-25 07:30:25 | 

筆者の高橋俊介さんは、20年以上前に私が人事の仕事をしていた時から今に至るまで、その著作や勉強会等で様々な学びを頂いた方である。経営と人事が一体的に動く必要があるという、今でこそ当たり前のことを早くから主張されていた。分析やアドバイスは、実務とアカデミックなアプローチが程よくブレンドされていて、とっても納得感が高く、私が仕事を進めるうえでも大きな影響を受けたHRMのプロの一人である。

本書は氏が、変化の激しい現代にプロフェッショナルな職業人として生きていくために、「独学」の大切さ、その実践方法について述べたもの。

筆者は、「独学力」を「学びの主体性」として定義し、学びのWhy、What、Howを深めていくことの重要性を説く。そして、「仕事」と「キャリア」の自律性に加えて、「学び」の自律性を身に着けることが、「変化」の時代に対応していくために必要なことだと言う。昨今、「リスキリング」がバズワードとして目につくところであるが、受け身のリスキリングは社員の負担になるだけであり、主体的な学びことが大事だというのだ。

字にしてまとめてしまうと、目新しさや面白味なく感じられるかもしれないが、本書では、具体的な「学び」を「仕事」「キャリア」に結び付けているいくつかの事例紹介が詳しく記載されており、単なるノウハウだけでなく、深みを伴って「独学」の大切さが身に染みて理解できる。

個々のアドバイスは既知のところもあるが、私としてのなるほどポイントを列挙すると・・・

・正解のない問題に対する力をつけるための学びには、縦の師弟関係ではなく、ヨコ型の仲間どおしの専門性コミュニティが大切
・中高年にはメタ認知の重要性を説き、自分の認知のゆがみに気づくことが、先入観を取り除き、学びに大切(→どっきり)
・何を学ぶのかという観点から、「時流に乗る」よりも「時流を作る」と言う観点でテーマ選び、同様に「人と似たようなテーマ」よりも「人と違うテーマ」を選ぶ
・顧客の半歩先に行ってガイドするような学びを目指すことで、対等なパートナーとして認められる
・応用力につながる普遍性の高い学びが大切で、そのための材料として「リベラルアーツ」(この「リベラルアーツ」には、定義的にはつっくみどころはあると思うが・・・)を学ぶことが良い

最終章における、独学の実践のための筆者の50のアドバイスは、素晴らしいチェックリストでもある。が、このアドバイスの実践は実際は難易度高い。タイミング、タイミングで見返して、自分の定点チェックに使いたい。

個人的に最も有用だったのは、「独学力を高めるリベラルアーツ」を学ぶための巻末の読書案内39冊(書籍以外もあるが)。既読の書籍も多く含まれていた(今年読んだ『チョンキンマンションのボスは知っている』が入っていたのは驚きだった)が、いずれも古典として扱われるものではなく、新書レベルで取っ組みやすいが中身がしっかりしている本が中心なのが嬉しい。

ブックガイドとしてもお勧めです。

 

目次
【第1章】「仕事」と「学び」を根本から変える5つの大変化──いま起きている変化と問題の本質
【第2章】目指すは「キャリア」「仕事」「学び」
【第3章】独学力を高めるとは、どういうことか
【第4章】一流の独学者の事例に学ぶ独学の作法と意味
【第5章】自分自身の「専門性コンピタンシー」を強化せよ
【第6章】リベラルアーツを学ぶ意味と基本的な作法──リベラルアーツは、独学と世界観の出発点
【第7章】独学を実践するためのヒント──個人は独学をどう進めればいいのか
【特別付録】独学力を高めるリベラルアーツのための読書案内

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高津臣吾『明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと』(アルファポリス、2022)

2023-03-23 07:30:26 | 

ヤクルトを2年連続でリーグ優勝に導いた高津臣吾監督による野球、リーダーシップ、育成についてのエッセイ。就任2年目からしっかり結果を出している高津監督の手腕は感心しているとこであるし、クローサー高津の試合を神宮球場でいくつも観てきた昔のヤクルトファンとしても読みたい本であった。

主に2021年シーズンを振り返りながら、現場ならではの心情や悩みが綴られている。ペナントを懸けて戦うヤクルトの舞台裏の様子が伺えて面白いのと同時に、リーダーシップ論としても日々の仕事の参考になるところが多々あった。

新鮮な驚きは、高津監督が恩師ともいえる故・野村監督の影響を強く受けていることを知ったこと。野村監督を契機にヤクルトファンになった私としては、個人的に嬉しいと思うと同時に、後進の指導者を育てたという観点で野村監督の育成力・影響力に改めて感服する。高津がリップサービスで故野村監督を敬愛していると言っているわけではないことは、本書を通じた彼の野球や指導者としての向き合い方からも十二分に伝わってきて、教育・育成という「仕事」の奥深さ、重要性を見る思いだ。

監督としての高津さんの基本姿勢で特になるほどと思ったのは3点。一つは、決断は(たとえ間違っていたとしても)早く伝えることの大切さ。これにより部下や周囲は、安心して前を向いて仕事に打ち込める。私自身は、正しい判断をしようとして、情報を集め、判断の時間をかける傾向があることを自覚しているので、(他のリーダーも言っている事ではあるが)早い決断の重要性を改めて認識させられた。

2つ目は、リーダーの言葉の持つ力、重要性を大切にしているのもさすがと思う。ここも自分自身が至らないところで、余計な一言や浅はかな発言をしがちな自分には良い教訓である。そして、3つ目が選手を信じること。信頼と我慢はリーダーの器量が問われるところである。昨日、WBCを制した栗山監督にも通じるところだと思う。会社では早い結果を優先させがちな自分には耳の痛い警句だ。

これ以外にも、常に「様々の想定とシュミレーション」の必要性、若い選手に「経験」を積ませる(一軍現場で自分の目で「敵」、「仲間」を見て、「空気」を吸うこと)の重要性、「連敗期・停滞期」を打破するのは新しい力、なども腹落ち感高い視点だ。久しぶりに「野村本」を読んでいるようで、嬉し懐かしささえ感じる新刊であった。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

個性溢れる役者陣による和洋折衷「ハムレット」(作:W.シェイクスピア、翻訳:河合祥一郎、構成・演出:野村萬斎)

2023-03-19 07:42:07 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

2月、3月で3本のシェイクピア劇(1つは翻案ものですが)を見るという幸運に恵まれました。夫々個性豊かで質の高い公演でしたが、今回の「ハムレット」は、個性あふれるベテラン・若手役者陣の競演、かつ和洋折衷テイストが楽しめる、特に素晴らしいものでした。個人的にはここ数年のシェイクスピア観劇の中でも有数の公演です。

まず、役者さん達が素晴らしい。題名役の野村裕基さん(萬斎の実子)は初舞台と言うことで、構成・演出・出演する萬斎パパの「コネ」配役ではないかと多少の不安がありました。多少のせりふ回しの硬さは感じられましたが、流石、狂言役者です。佇まいが美しく、動きに無駄がないです。若さ一杯の演技も貴公子ハムレットに相応しい。「コネ」などと私が思ったのもおかしな話で、世襲制の日本の古典芸能の世界ではあって当たり前の世界なのですね。演技に不満があるならまだしも、むしろ初舞台に相応しい気持ちの入った演技が爽快で楽しませてもらいました。

若手で言うと、オフィーリアを演じた藤間爽子さんも印象的でした。NHKの朝ドラにも出演経験があるようなのですが、芸能界に疎い私はお名前からして全くの初めて。蒼井優さんと黒木華さんのイメージを併せ持ったような印象の方で、この方の佇まいもオーラが漂っていました。演技もオフィーリアの可憐さ、純真さがよく表れていて、素晴らしいと感嘆しました。公演後に知ったのですが、なんとこの若さで日本舞踊の家元さんでもあるのですね。ファンになりそうです。

ハムレットの無二の親友ホレイシオ役の釆澤靖起、オーフェリアの兄アーティーズ役の岡本圭人も存在感がしっかり印象に残る演技っぷりでした。

そして、舞台全体を低い重心で安定させるベテラン陣もお見事でした。ハムレットの敵である叔父クロ―ディアスと父の二役を演じた野村萬斎さん、母ガートルードを演じる若村真由美さんの夫婦は貫禄たっぷり。更に、オファーリアの父で宰相ポローニアスと墓堀り役の村田雄浩さんなどは味は流石です。

更に、「地球座」の座長役として河原崎國太郎さんが演じる劇中劇の場面は、歌舞伎と文楽が併せ持ったようなスタイルで目が離せませんでした。オペラの中にバレエが差し込まれるフランスもののグランドオペラのよう。

野村萬斎氏の演出も美しく、効果的でした。宇宙的な広がりや視点を感じさせる舞台装置や、舞台を二段にして空間を最大限に活用するなど、膨らみが出て効果的です。ハムレット父の能面を被った落ち武者のような風体の亡霊、女性陣の東アジア的な衣装、劇中劇やせりふ回しに時折感じる歌舞伎や文楽などの要素などから和テイストも感じます。和洋折衷の舞台は違和感どころか、「ハムレット」のユニバーサル性・グローバル性を感じさせるものです。

18時半に始まって、終演が22時を回る(途中20分休憩あり)でしたが、全く長さを感じない強烈な磁力を持った公演でした。世田谷パブリックシアターの大ホールは初めてでしたが、(うろ覚えですが)シェイクスピアの故郷ストラットフォード・アポン・エイボンのグローブ座につくりが似てる感じがいいですね。最近訪れた埼玉会館や神奈川芸術劇場と比べてもこじんまりとしていて、舞台と観衆の距離が非常に近いのも集中力が途切れなかった一因だったと思います。

 

2023年3月6日~3月19日
世田谷パブリックシアター

スタッフ/キャスト
【作】W.シェイクスピア
【翻訳】河合祥一郎
【構成・演出】野村萬斎

【出演】
野村裕基/岡本圭人/藤間爽子
釆澤靖起 松浦海之介 森永友基 月崎晴夫
神保良介 浦野真介 遠山悠介
村田雄浩/河原崎國太郎/若村麻由美/野村萬斎

【美術】松井るみ
【照明】北澤真
【音楽】藤原道山
【音響】尾崎弘征 
【衣裳】半田悦子 
【ヘアメイク】川口博史
【アクション】渥美博 
【演出助手】日置浩輔
【舞台監督】澁谷壽久
【技術監督】熊谷明人
【プロダクションマネージャー】勝康隆
【制作】若山宏太 
【プロデューサー】浅田聡子 

【世田谷パブリックシアター芸術監督】白井晃

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小野 壮彦『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』 (フォレスト出版 、2022)

2023-03-14 07:49:25 | 

タイトルを含め「刺激的」な一冊です。10年以上前の個人的な話になりますが、著者が所属していたエゴンゼンダー社をはじめ、世界的なエグゼクティブ・サーチの会社とクライアント側としておつきあいがありました。彼らとの協業は、仕事ぶりなど学ぶことも多く、とってもエキサイティングな経験でした。本書は、著者のエゴンゼンダー社での経験をもとに、人材の見方・選び方についてのノウハウを開陳した一冊です。

会社を離れたとはいえ守秘義務やしがらみもあるでしょうし、読者の経験値もいろいろでしょうから、相当、気を遣って、シンプルに分かりやすく書かれています。が、袈裟の下に鎧が垣間見られますので、注意深く読みたい一冊です。

個人的には、人材の4層モデル(上(表面的に見えるもの)から①経験、知識、スキル、②コンピテンシー、③ポテンシャル、④ソースオブエナジー)を夫々の構成要素に分解して説明してくれているのは、フレームワークとして腹落ちするもので、実務にも即使えると思います(似たようなモデルは他にもあるのでしょうし、本当の難しさは、言ううまでもなく、それを使いこなせるかどうかなのです)。

また、人を能力的な優秀・普通の縦軸と、人としての善悪の横軸で、マトリックス化して対策を講じるところなど、いかにもコンサル会社的なリアリズムです。更に人を評価するということは、自分を知ること(自分のバイアスを知る)というのも、強く首肯できるところでした。とある採用候補者のアセスメント報告書が例示されていますが(これも公開用にかなりの編集が施されていると想像しますが)、彼らの世界の入口がチラ見できます。

ビジネスの世界に居る限り、評価するのも、されるのも、避けることはできないので、一度読んでみて損はないと思います。

 

■本書の構成
序章 「人を選ぶ」ということの意義
第1章 「人を見る目」を分解する
第2章 人を「階層」で捉える
第3章 相手の本質を見抜く実践メソッド
第4章 人を見る達人となるために
第5章 地雷を踏まないための知恵
第6章 人を選ぶ現場で今起こっていること
終章 「人を見る力」がもたらす究極の喜び


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松岡訳本面白し! W.シェイクスピア 作、松岡和子 訳『マクベス』(ちくま文庫、1996)

2023-03-11 07:43:22 | 

シェイクスピアの戯曲は小田島雄志 訳の白水社のシリーズを買い揃えています。訳し方の違い等を比較鑑賞するほどの熱意も無いですし、他の翻訳者の方のものに手を出すことは稀でした。

が、先般の「ジョン王」観劇に当たり、松岡版で図書館で借りて読んだところ、訳の自然さとともに、原語に込められた意味合いの解説を付けてくれたり、日本語訳では表しにくい言語のニュアンスを付記してくれるなど、訳注の面白さが抜群。シェイクスピア関連のオペラ、演劇の当たり月となったこの2,3月、立て続けに松岡訳を読み始めています。

マクベスは「蜘蛛巣城」の原作。シェイクスピアの中でも特に好きな作品です。なので、訳注での新しい学びはとっても嬉しい。

例えば、第1幕3場での魔女たちの会話で、3度繰り返される言葉(「むしゃ、むしゃ、むしゃと食ってたから」、「キリ、キリ、キリといじめ抜く」))についた訳注は、「3はマジック・ナンバーと言われ、魔法や呪いは3度繰り返される」。この注が無ければ、読み流してしまうところに、しっかり注意を向けさせてくれる。以降、その他の作品でも魔女、亡霊が出現するところに「3」が無いか注意を払うようになります。

また、超有名な第五幕の第五場のマクベスTomorrow Speechの直前の、マクベスが夫人の死を知らされた時の台詞。
She should have died hereafter./ There would have been a time for such a word
のhereafterをどう解釈するかが訳注で記されます。
「hereafterをlater の意味にとるか、at some timeの意味にとるか、解釈が分かれる微妙な台詞。」
として、訳者は前者を採ったとし、その理由も説明してくれています。更に、親切なことに後者(at some time)を採った場合の和訳までつけてくれているのです。 英文和訳の奥深さ、翻訳者の深謀を感じます。

訳者あとがきも興味をそそられます。マクベスとマクベス夫人を目的も行動も密着している一卵性夫婦とし、それが戯曲の中でどう現れているかと説明してくれます。そして、どのタイミングから2人の間に距離ができてしまったのかも、原文と併せて紹介されます。なるほど、そうなのか~と驚き、漫然と読んでいたところに立体感が生まれ、解像度がぐっと上がってくるのです。

松岡和子訳おススメです。

 

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「蜘蛛巣城」(演出 赤堀雅秋)

2023-03-08 07:30:49 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

元ネタの「マクベス」や黒澤「蜘蛛巣城」をイメージして出かけたら、印象は大きく違うものでした。

マクベスが変を起こしたのは何歳の時だったのだろうか?三船敏郎が演じた鷲津武時は何歳の設定だったのだろうか?早乙女太一さん、倉科カナさんが演じたのは、若くてナイーブな、私には新しい義時(マクベス)、浅茅(マクベス夫人)でした。二人の主人公がより身近に、戦国時代が現代に感じられます。最初は違和感を拭えなかったのですが、違和感は旧来のイメージに囚われているからということに気づきました。新しい見方を教わった感覚です。

芸能界に疎い私は、倉科カナさんはNHKのドラマ「正直不動産」で初めて知ったのですが、熱演でした。

雑兵たちや農民を被支配者層、武士を支配者層として対比し、社会の階層構造や人間の欲・幸せをあぶりだすのも、従来作品にはなかった視点です。戦争が身近なものとなっている昨今の世界情勢で、彼らの台詞は現実味を持って刺さります。

有名なマクベスのTomorrow Speech(第5幕5場で、有名な名言「人生は歩く影法師。哀れな役者だ」に繋がっていく"Tomorrow, and tomorrow, and tomorrow,"で始まる台詞)が妖婆(魔女)によって前半に語られたのも意外。台詞が始まったときは、「ここでお前がこれを言うか!」とかなりの驚き通り越した感じだった(黒澤「蜘蛛巣城」がどうだったかは忘れてます)のですが、これも如何に自分が勝手に「マクベス」像を創っていたかの例となりました。そもそも、これ『マクベス』じゃないし。

シカクイ頭をマルクしなくてはです。


<初めて訪れた神奈川芸術劇場>

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
『蜘蛛巣城』

日時2023/2/25(土)~2023/3/12(日)

【作・演出】
原脚本:黒澤明 小國英雄 橋本忍 菊島隆三
脚本:齋藤雅文 
上演台本:齋藤雅文 赤堀雅秋
演出:赤堀雅秋

【出演】
早乙女太一 倉科カナ
長塚圭史 中島歩 佐藤直子 山本浩司 水澤紳吾
西本竜樹 永岡佑 新名基浩 清水優 川畑和雄 新井郁 井上向日葵 小林諒音
相田真滉 松川大祐 村中龍人 荒井天吾・田中誠人(W キャスト)
久保酎吉 赤堀雅秋 銀粉蝶


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

27年ぶりのアイスホッケー観戦 アジアリーグ 横浜GRITS vs ひがし北海道クレインズ @KOSÉ新横浜スケートセンター

2023-03-06 07:30:00 | 日記 (2012.8~)

27年ぶりにアイスホッケー観戦の機会を得ました。27年前頃の米国滞在時にはカレッジホッケーのシーズン券を購入してかなり入れ込んでいたのですが、それ以来、縁遠くなっていましたので、ワクワクです。

新横浜アイスセンターは観客席もさほど大きくありませんが、中に入ると満員のサポートターで埋まったアリーナは熱気ぷんぷん。27年前の興奮が蘇ります。


<選手入場。最安席はリンクサイド>

今の日本のアイスホッケーのリーグがどのように構成されていて、どういう選手が活躍しているのかも分からないのですが、試合が始まると、そのスピード感、選手と選手がぶつかり、フェンスと激突するその激しさ、音に、すぐに魅了されました。





<第1ピリオド終了後のチアリーダーのショー>


<最安席はリンクに一番近いので、選手が手に届くような距離。全体のフォーメーションはみにくいですが>

試合は0-3でホームチームの横浜グリッツが快勝。東北海道クレーンズもチャンスは何度もありましたが、決定力不足というか、横浜の固いディフェンスに阻まれました。


<上の通路から>


<乱闘あり>

今日が今シーズンの最終試合のようなので、来シーズンにはもう少し足を運んでみたいと思います。


<ゲーム後>

2023年3月5日


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪マラソン前日模様

2023-03-03 07:35:19 | 旅行 日本

大阪マラソン前日の模様も記録しておきます。今回は、普段、私のレースには殆ど同行しない家人と一緒に大阪入りしました。9時過ぎの新幹線で東京を出て、12時半過ぎに新大阪着。

お昼は簡単に早く済ませようと、新大阪駅の新幹線構内にある「今井」でうどん。いつもはきつねうどんなのですが、カーボローディングもあって、柚入り餅うどん。柚の香りと、揚げたお餅がとろろこぶとうどん汁に絡まって絶品でした。食べ物大事ですからね。これで、この大阪旅は「廻っている!」と確信。

JR福島駅近くに取ったホテルで荷物を降ろし、私はゼッケン貰いに受付会場へ向かいます(家人は大阪散策)。大阪港近くの湾岸エリアにある展示場インデックス大阪が会場です。この辺りは私の未踏の地で、ちょっとした観光気分を味わいました。受付・EXPOそれなりの混雑でしたがお祭りムードたっぷり。EXPOでいろいろ物色して、1時間半があっという間に過ぎてしまいました。せっかくの出走なので、記念に大阪マラソンのロゴ入りキャップ(帽子)を購入。


<ゼッケンをもらう>


<EXPO>

受付会場を出て、すぐ目の前にある海を見学。陽が傾きかけた大阪港の風景が奇麗でした。

東京で言えば「ゆりかもめ」のニュートラムに乗って、高い所から大阪の湾岸エリアを見物するのも楽しいです。今回の大阪旅行では唯一の観光でしょうか。

 

そして、ホテルに戻って、夕食へ。ここでもカーボローディングということでお好み焼き屋に突撃。ホテル近くのかく庄へ。駅、ガード下の昭和の匂いたっぷりの、いかにもお好み焼き屋さん。人気店であるようで、寒い中1時間近く待ちましたが、大きくて、厚く、密度濃くしっかり詰まった、洗練さとは対極にある、これぞ大阪ソールフードと呼びたくなるお好み焼きを頂きました。焼きそばも追加し、炭水化物がおなかにどっしり。私、明日、本当に走れるんだろうかと思うほどお腹一杯。

食後の運動もかねて、福島の街をそぞろ歩き。おいしそうな小料理屋さんとかバルなどいろいろあって、観光ガイドには載って無いローカル色がプンプンする楽しいエリアでした。また、ゆっくりと訪れて見たいところです。

9時には部屋に戻って、翌日に備え10時に就寝。さあ、いよいよと心地よい緊張感とともに、あっという間に眠りに入ってしまいました。

 

(余談)
先日走った大阪マラソンについて、ランナー達のポータルサイトRUNNETの参加者レビューが凄いことになっています。3月3日23:00時点の総合点数が40点台(レビュー者263名)という、過去に私が参加した大会ではおそらく1,2を争う最低ポイント。

私も感じたトイレの少なさもマイナスポイントのようですが、主たる怨嗟は給食。セカンドウエーブで走られた方には、コース途中の給食エリアでは食べるものが殆ど残っていなかった模様です。ここまで点数低くなくても良いとは思うのですが、食い物の恨みは恐ろしいです。ましてや大阪は食い倒れの街のはずですからね・・・。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする