その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、映画、本などなどについての個人的覚書。SINCE 2008

ミュージカル 「エビータ」 @東急シアターオーブ

2018-07-30 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


このミュージカル、23年前に米国で地方巡業中の公演を観ている。マドンナが演じた映画「エビータ」とともに、耳に馴染みやすく美しい音楽と、野心家エビータの立身を描きつつも世のポピュリズムを風刺した物語展開も、気に入っている作品だ。

 今回は1978年初演時のオリジナル演出版で初来日でもあるとのこと。23年前のプロダクションは全く忘れているのたので、以前観たものと同じかどうかは分からないが、スタンダードで飽きさせないものだった。物語がテンポよく進んでいく中で、比較的シンプルな舞台セットに当時のリアル映像を効果的に織り交ぜて、リアリティを感じる舞台になっていたと思う。

 相変わらず、音楽が聴きやすい。歌手陣も安定した歌唱で、声量も十分。特に、ラミン・カリムルー(この人はロンドンで「オペラ座の怪人」で聴いているはず)の溌溂とした演技と歌が良い。題名役のエマ・キングストンは前半やや声の迫力がもう一歩かなと思ったけど、尻上がりに熱量を上げていて満足。う~ん、やっぱり本場もんだなあと唸らせるものだった。

 上演時間は20分休憩入れて、2時間ちょっと。比較的コンパクトなミュージカルで、手軽に楽しめた。先週見た「魔弾の射手」が冗長感があっただけに、ミュージカルのテンポの良さと、音楽のポップさが印象に残る。文化・芸術としてのオペラは、遺産感が拭えないと思ってしまった。



スタッフ
作詞:ティム・ライス
作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー
演出:ハロルド・プリンス

出演
エヴァ・ペロン:エマ・キングストン
チェ:ラミン・カリムルー
ホワン・ペロン:ロバート・フィンレイソン
マガルディ:アントン・レイティン
ミストレス:イザベラ・ジェーン
エヴァ・ペロン/アンサンブル:LJ・ニールソン、ダニエル・ビトン

会場
東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)

上演時間
1幕 55分
休憩 20分
2幕 60分
合計 2時間15分 (予定)

EVITA
Wed. July 4~Sun. July 29, 2018

【Creative】
Lyrics by TIM RICE
Music by ANDREW LLOYD WEBBER
Directed by HAROLD PRINCE

【CAST】
EMMA KINGSTON as Eva Perón
RAMIN KARIMLOO as Che
ROBERT FINLAYSON as Juan Perón
ANTON LUITINGH as Magaldi
LJ NEILSON as Eva Perón
DANIELLE BITTON as Eva Perón
and more…
The performer may change due to unavoidable circumstances.

【Running Time】
2 hour and 15 minute, including one 20 minute intermission.
*If you arrive after the performance has commenced, you may be asked to wait before entering in seating area.



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演劇 「BOAT」 作・演出:藤田貴大(マームとジプシー) @東京芸術劇場プレイハウス

2018-07-27 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


池袋に用があった帰路、どんな話かも確認せずに飛び込みで観劇。事前知識ゼロで観るにはちょっとヘビーすぎる内容でしたが、脚本、俳優陣、演出、いずれも強く印象に残る演劇でした。

「名前」、「除け者」、「余所者」、「日常」と言ったキーワードを軸にメッセージ性が強い台詞が役者さん達から発せられます。同じ台詞が複数の場面で繰り返されるのも特徴で、言葉が波動的に強化され、見る者に訴えます。私がどこまでこのメッセージの真意を理解していたかは正直自信がありませんが、日本人や日本社会特有の世界観を凝縮しているかのようです。

俳優陣も熱演で、舞台一杯に熱と緊張感が漂ってました。私の視力では、二階最後列の自席から役者さんの表情まで読み取ることができなかったのは残念でしたが、熱量は十分に伝わってきました。

舞台はシンプルな作りながら、ボートと畳一畳ほどの大きさの仕切りボードが舞台上で柔軟に組み合わされ、場が構成されます。観る者の想像力を刺激するつくりです。映像も節々で上手く活用され、舞台効果を高めてました。

本劇の作・演出の藤田貴大さんは若手注目株の演劇人のようですが頷けます。全くの計画外の幸せな出会いであり、ハプニングでした。



2018年07月16日 (月・祝) ~2018年07月26日 (木)
会場: プレイハウス
作・演出: 藤田貴大(マームとジプシー)

出演
宮沢氷魚 青柳いづみ 豊田エリー 
川崎ゆり子 佐々木美奈 長谷川洋子 
石井亮介 尾野島慎太朗 辻本達也 
中島広隆 波佐谷聡 船津健太 山本直寛 
中嶋朋子

スタッフ
照明:富山貴之 音響:田鹿充 映像:召田実子 
衣裳:suzuki takayuki ヘアメイク:大宝みゆき 
舞台監督:森山香緒梨
宣伝美術:名久井直子 宣伝写真:井上佐由紀

あらすじ
土地は、
ボートによって発見された。流れ着いた人々は、そこで暮らし、子孫を繁栄させた。
現在も、
海岸にはときどき、ボートが漂着する。しかし、人々はそのことにもう関心がない。
ある日、
上空は、ボートで埋め尽くされた。その意味を知らないまま、人々は慌てふためく。
人々は、
ふたたび、ボートに乗って。ここではない土地を、海より向こうを目指すのだった。

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落合陽一『これからの世界をつくる仲間たちへ』(小学館、2016)

2018-07-25 07:30:00 | 


 研究者でありメディア・アーティストでもあり、「現代の魔法使い」とも呼ばれる筆者が、人間とコンピュータの関係性や、リアルとバーチャルの境目がなくなる「魔法の時代」を生き抜くための人生指南術を説く一冊。技術社会論であり、自己啓発書でもある。

 筆者の言う「映像の世紀」の価値観の中で生きてきた私には、目から鱗が落ちるような一冊だった。時代や技術に対する向き合い方や考え方が、異星人のごとく根っから異なっている。コンピュータは人間が使う道具では無くて、人間がコンピュータの下請けとして生きることが当たり前のように語られる。しかもそれは技術トピア的な未来論を語っているわけではなく、自然でロジカルな現実論だ。

 そのうえで人間が、「魔法」(複数の意味でつかわれているがここではコンピュータ)に使われるのではなく、魔法をかける側にたつためにはどうしたらよいのかを説く。キーワードは、「モチベーション」「専門性」「思考体力」。こうしたものを身に着けた人間が、「クリエイティブ・クラス」として「魔法の時代」の絶滅品種である「ホワイトカラー」にとって代わるのである。

 筆者が言う世界が、2-3年で来るものなのか、5年先なのか、はたまた10年以上かかるのか、時間軸はわからない。これは違うのではと思う箇所もいくつかある。しかし、この世界の到来が時間の問題であることは間違いなさそうだ。若い人とその若い人を育てる親世代に向けて、書かれている本だが、万人にお勧めできる。特に、現在、ホワイトカラーと呼ばれる職に就いている人に。



【目次】
プロローグ:「魔法をかけられている人」になるか、「魔法をかける人」になるか

コンピュータと出会って二〇年、僕は「現代の魔法使い」になった/人間の生き方が根本的に変わる/人工知能が人間を越えるとき/親は子供に見当違いの教育を与えている/「人間だけにできること」は何か/出来の悪いウィキペディアになるな/
コンピュータの弱点

第一章 君は「絶滅危惧種」でいいのか

コンピュータは「総当たり戦」が得意/人件費を激減させる「クラウドソーシング」とは/オリジナル以外の「もどき」はコンピュータに負ける/人間がコンピュータの「下請け」になる/人間はコンピュータの「インターフェイス」になる/タクシードライバーの時給を三倍にした「Uber」/共産主義が失敗したのはコンピュータがなかったから?/もはやホワイトカラーは自立的でもかっこよくもない/コンピュータは資本主義をどう変えたのか/リソースは人間の脳の中にしかない/ほか

第二章 未来を戦うための「武器」

近代の「脱魔術化」とは何か/二一世紀は「再魔術化」の時代/コピーのできない「暗黙知」を自分のなかに貯めていく/「オンリーワン」で「ナンバーワン」になろう/暗黙知は拡大再生産される/「五つの問い」を自らに投げかけよう/日本の一億人ではなく世界の七〇億人を相手にしよう/解決したい「小さな問題」を探そう/みんなが同じ価値を共有しにくい時代に何がウケるか/コンピュータで何が解決できるかを考えよう/「デジタル・ネイティヴ」ではなく「デジタル・ネイチャー」を生きる/コンピュータに支配されない「思考体力」を備えよう/あなたの「市場価値」が最大化するのはいつか/ほか

第三章 「天才」ではない、「変態」だ

「変態」の将来は明るい/大人に否定されなかった好奇心/人生を変えた「鉛筆転がし」/「イメージとマテリアルの中間」に何があるのか/駅の改札をなくす技術/世の中の「継ぎ目」をなくしたい/「WOW!」を生み出すにはどうすればよいか

エピローグ 「魔法の世紀」のパラダイム

自分の価値を自己肯定する/人間とコンピュータが親和した先に生まれる文化/インターネットと人間の区別がつかない時代


【個人的メモ】
映像の世紀から魔法の世紀へ
「映像メディア」の中での表現
リアルとバーチャルは区別される
1対多(N)

映像的な表現が「現実の物理空間」で可能に=「魔法」
リアルとバーチャルの境目がなくなる
N対N

コンピュータはブラックボックス化、API化で中身がわからない、仕組みが分からなくなってしまった
→便利になった、楽になったを超えるインパクト。人間の生き方と考え方に大きな変化を迫る
コンピュータは第二の身体であり、脳であり、そして知的処理を行うもの、たんぱく質の遺伝子を持たない集合型の隣人

人間が持っていてコンピュータが持っていないもの
→ガッツ、気合、根性では無い
→モチベーション「これがやりたい」と言う動機

魔法を使う人になるかつかわれる人になるか


第1章
人間の仕事は人工知能のインターフェイス(AI・コンピュータと人間のインターフェイス?

その人にしかない暗黙知や専門知識に価値がある

ホワイトカラーからクリエイティブクラス(創造的専門性を持った知的労働者)
与えられた問題を解決するのがホワイトカラー
誰も気が付かなかった問題を発見し、解決するのがクリエイティブクラス

メカニカルアーツとリバラルアーツ
→コンピュータがメカニカルアーツの世界を大きく拡大。コンピュータの影響が大きくなるほど抽象思考のリベラるあーつは力を持ちにくい。メカニカルアーツとつながるリベラルアーツは価値を持つが、メカニカルアーツなしのリベラルアーツは経済市場においてほとんど意味がなくなる(P86)
第2章
近代=脱魔術化、21世紀=再魔術化の時代
テーマの価値を考える5つの質問
 ・それによって誰が幸せになるのか
 ・なぜいま、それが問題なのか。なぜ 先人たちはそれができなかったのか
 ・過去の何を受け継いでそのアイディアに到達したのか
 ・どこに行けばそれができるのか
 ・実現のためのスキルはほかの人が到達しにくいものか
何ができるか、自分が解決できる小さな問題を探せ

人間とコンピュータはどちらがミトコンドリアなのか?

思考体力をつけるには言語化すること
語学的な正しさよりもロジック
専門性を高めれば魔法を使う側になれる

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微妙だった「魔弾の射手」/ 東京二期会 @東京文化会館

2018-07-23 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


「魔弾の射手」、とっても有名なオペラですが、今まで実演に接したことが無く、今回が初めてです。なので比較対象も無いし、連夜の暑さによる睡眠不足のため集中力を欠いた中での鑑賞となったこともありますが、「手放しで感動!」とは言い切れない、違和感の残る感想となりました。

 違和感の一つは、出演者のバランス感。今回、元宝塚スターの大和悠河さんが出演しましたが、彼女の舞台映えが凄すぎ。体躯、動き、オーラが、全くの異業種の方で、それはそれは素晴らしく、良い意味で際立っていました。が、逆に悪く言うと、大和さんに全部持って行かれた感じ。ファンクラブの方も大勢お越しになっていたようですが、熱が上がる理由も分かる気がします。

 もう一つの違和感は、出演者の方々の演技(大和さん除く)。今回は、歌は原語、台詞は日本語という作りでした。セリフを日本語でやるのは鑑賞者が舞台に集中できるのでとても良かったと思ったのですが、きっとこれが出演者には裏目に出た感じ。台詞もドイツ語だったら、台詞の言い回しの巧拙は(私には)分からないので気にならなかったと思います。それが、日本語であるがゆえに、演劇的な動きのぎこちなさとともに、「それって、いわゆる棒読み?」とつぶやかざる得ないような芝居になっていて、かなり寒い感じでした。

 一方で、ピット入った読響は、深みを感じる演奏で良かった。このオケ、やっぱり上手いですね。

 演出は現代風のアレンジ。悪魔ザミエルの意味合いや「隠者」の位置づけなど、いろんな仕掛けが織り込まれていたようです。ただ、初見の私には違和感こそ感じないものの、その意味合いは全く理解できていませんでした。通に受けそうな演出です。

 東京二期会の公演は次回のプッチーニ「三部作」も鑑賞予定です。こちらに期待したいと思います。


スタッフ
指揮:アレホ・ペレス
演出:ペーター・コンヴィチュニー

舞台美術:ガブリエーレ・ケルブル
照明:ハンス・トェルステデ
演出補:ペトラ・ミュラー

合唱指揮:増田宏昭
演出助手:太田麻衣子
木川田直聡

舞台監督:幸泉浩司
公演監督:多田羅迪夫


7月21日(土)
オットカール侯爵:大沼 徹
クーノー:米谷毅彦
アガーテ:嘉目真木子
エンヒェン:冨平安希子
カスパール:清水宏樹
マックス:片寄純也
隠者:金子 宏
キリアン:石崎秀和
ザミエル:大和悠河(全日)

ヴィオラ・ソロ:ナオミ・ザイラー(全日)
合唱:二期会合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団

DER FREISCHÜTZ
Opera in three acts
Libretto by Johann Friedrich Kind
Sing in the original language (German) with
Japanese and English supertitles
Japanese original dialogue
Music by CARL MARIA von

SAT. 21. 14:00 July 2018
at Tokyo Bunka Kaikan (Japan)
Playing time: about 3hours
2018-2019 Season special corporate sponsors
 DAIDO Corporation
 Nikko Asset Management Co., Ltd.
Sponsored by CLASSICA JAPAN
 Mizuho Securities Co., Ltd.
Supported by Embassy of the Republic of Argentina in Japan
Assisted by Goethe Institute Tokyo

STAFF
Conductor:Alejo PEREZ
Stage Director:Peter KONWITSCHNY
Set & Costume Designer:Gabriele KOERBL
Lighting Designer:Hans TOELSTEDE
Associate Stage Director:Petra MÜLLER

Chorus Master:MASUDA, Hiroaki
Assistant Stage Director:ÔTA, Maiko KIKAWADA, Naosato
Stage Manager:KOIZUMI, Hiroshi
Production Director:TATARA, Michio

CAST
WED. 18. & SAT. 21. Jul.
Ottokar:ÔNUMA, Tôru
Kuno:MAIYA, Takehiko
Agathe:YOSHIME, Makiko
Ännchen:TOMIHIRA, Akiko
Kaspar:SHIMIZU, Hiroki
Max:KATAYOSE, Junya
Ein Eremit:KANEKO, Hiroshi
Kilian:ISHIZAKI, Hidekazu
Samiel:YAMATO, Yûga

Chorus:Nikikai Chorus Group
Orchestra:Yomiuri Nippon Symphony Orchestra





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こんな暑い山中湖は初めて!!! @山中湖

2018-07-21 07:00:00 | 旅行 日本
 先週末の3連休はいつもの山中湖の常宿をベースにしました。ここには、海外赴任期間中の空白はあるものの、夏には足掛け20年以上必ず来ています。でも、今回の暑さは全くの未体験ゾーンでした。朝晩こそ20度ほどまで下がりますが、日中は30度超え。気温が高くとも空気が爽やかであれば30度ぐらいは凌げるはずですが、空気はもわもわ、べとべと。東京の自宅に居るよりはまだましですが、参りました。

 そんな中のいくつかの夏の山中湖のスナップです。

 定例の山中湖一周ラン。初日の夕方、陽は傾いていますが、気温はまだ下がり始めの時間帯(17:00ごろ)です。温まった空気を掻き分けるようにして走りますが、陽が傾くに従って、ヒグラシの鳴き声が聞こえてきます。ヒグラシの鳴き声は聞いているだけで涼しさを感じさせてくれます。

 残念ながら、富士山は雲がかかって拝めず。



 平野天満宮では夏祭りの準備中でした。





 夏の湖です。



 続いて翌朝の一周ラン風景。朝はセミは寝ているようですが、鳥は朝が早いです。合唱が楽しめます。前夜はワインに酔って21:00に寝てしまったので、この日は朝4:30から走り始めてます。さすがに涼しくて快適。

 夜明け前に出現する紅富士。やや時間が遅かった。この時間帯の富士山は秒単位で表情が変わりますので、走りながらの写真撮影には限界あり。



 東から太陽が昇ってきました。



 きっと夜明け前から、湖畔で富士の写真撮影をしていたカメラマンたちが少しづつ解散し始めます。





 湖畔のススキなどの草木を歌いながら移動する水鳥を発見。逆光で何の鳥かはわからず。鳴き声はこれが「ねじまき鳥」に違いないと思わせるようなな鳴き声。



 一応彼らも鳥だね。



 朝日がいよいよ昇ると、空気はクリアに、見通しも良くなります。



標高1000メートルの山中湖がこの暑さだと、涼を求めるには、富士山登るしかなさそうと感じさせる暑さの三連休でした。

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キリン富士御殿場蒸留所を訪れる @御殿場

2018-07-19 07:00:00 | 旅行 日本
 「とらや工房」に続いて、同じく御殿場にあるキリンの「富士御殿場蒸留所」を訪れました。国産のウイスキーと言えば、サントリーやニッカが浮かびますが、キリンもウイスキーを製造しています。この工場では、「キリンウイスキー富士山麓」というモルトとグレーンのブレンドウイスキーを作ってます。


《工場風景》

 参加したのは「富士山麓うまさの秘密探検ツアー」。試飲も含めて70分のコースです。工場内を巡り、ウイスキーの香り、発酵、蒸留といった一連の製造プロセスをお姉さんの説明つきで追いかけます。原酒が0,3,6,20年と経つうちに樽の中のウイスキーが減っていく様が視覚化されていたりする展示も興味深いものでした。何よりも、物を作る生産現場というのは楽しいです。あいにく日曜日でしたのでビン詰め、ラベル貼り、箱入れ等のオペレーションラインはお休みでしたが、ウイスキーが作られている工程がよくわかり、ウイスキーがより身近になります。


《ウイスキーの香りの解説》


《蒸留器》


《パッケージングを行うフロア》

 Webで予約していくのが基本のようですが、当日電話予約で飛び込んだ我々は、臨時ツアーに回して頂き、見学3組の贅沢なツアー。質問し放題。我々の後に続いた定時のツアーには、ざっと見30名近くのお客さんが参加していましたので、臨時で却ってラッキーでした。

 50分ほどの見学が終わると、「富士山麓」の試飲。少量ですが、2種類の「富士山麓」を飲み比べができます。夏場に飲みやすいウイスキーカクテルの作り方をお姉さんが教えてくれました。有料で追加注文も可能です。試飲の後は、恒例のお土産コーナーへ直行。工場の思惑通り、「富士山麓」を一本購入。



 工場見学はいつでも、どこでも楽しさ一杯です。


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とらや工房を訪れる @御殿場

2018-07-17 07:30:00 | 旅行 日本
 暑い、熱い7月の3連休の一日、御殿場にあるとらや工房を訪れました。有名な和菓子の老舗とらやが運営する和カフェです。工房と名が表す通り、その場で作られた和菓子がいただけます。

 10:00開店とのことでしたが40分前に到着しましたが、30分ほど前に開園してくれました。




《写真が傾いてますが、ここが入り口》

 山門を入り竹林の中を歩いて工房へ向かいます。暑さは変わらないはずですが、竹林の中は歩くだけで涼しさを感じます。
ここの売りの一つは、敷地内の静かな庭園です。岸元首相の別荘が隣接し、落ち着いた緑一杯の空間に身を委ねることができます。



 開店までは暫く待ちますが、連休中ということもあり、次々とお客さんが並んでいきました。



 開店前の敷地内をウロウロ。深い緑とそこから覗く青空が夏。





 お店で注文した菓子をこちらで頂きます。席は自分で確保するシステム。



 10:00になるとお店が開き、受付でお菓子を注文し、受け取ります。煎茶(お代わり自由)もついてきます。



 隣に工房があって、どら焼き作ってました。



 私が頂いたのは土日限定提供の赤飯大福。おいしゅうございました。



 3連休とあって混み合っていたのは当たり前でしょうが、空いているときであれば、相当落ち着いて、ゆっくりした時間が楽しめると思います。並んでいた人によると「マツコの知らない世界」で紹介されて、更に人気が高まったとか。確かに訪れる価値あるカフェでした。

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原田マハ 『サロメ』(文藝春秋、2017)

2018-07-13 07:30:00 | 



 オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』を軸にして、若き天才画家ブラドリー・ピアズリ―とその姉であり女優のメイベル・ビアズリー、そしてオスカー・ワイルドの関係を描くミステリータッチのエンタメ小説。

 『サロメ』好きの私にはとっても楽しめた。ピアズリ―の絵(イラスト)はもちろん知っていたが、そのヒトとなりまでは知らなかった。25歳で早世するなんて、なんとも勿体ない。

 同様に絵を題材にした『楽園のキャンバス』と作風は似通っているところもあるが、姉がサロメ化していくところは何とも妖気的で『サロメ』の怪奇性を再現している。引き込まれるように読んだ一冊だった。

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吉本ばなな 『うたかた/サンクチュアリ』(新潮社、1988)

2018-07-09 07:30:00 | 



 箱根の日帰り温泉を訪ねたら、そこの読書室の本棚にあった一冊。学生時代に読んだ一冊だが、ストーリーは殆ど忘れていた。

 2つの短編小説だが、作者のみずみずしい感性を感じる物語だ。現実世界にもみくちゃにされている私のような親父読者には、展開される世界はちょっと別世界すぎるが、学生時代にナイーブな気持ちで物語の世界に投入した若かった自分が思い起こされる。

 さりげなく描かれる情景や心情の表現がさりげなく心に刺さる。プロットはさらっと流れるし、表現も難しいものではないが、味わいながら読みたい小説だ。自分が、成長したのか、擦れたのか、わからないが、日々、乾いた企業社会での生活に慣れすぎて、人の気持ちへの感度が鈍っている自分にも気づく。歳を重ねているようで、人間理解や思いやりと言った面では、成長どころか退化しているかもしれないと思ってしまった。

 物語そのものへの思いや感想よりも、本作品の読書を通じて、自分自身の振り返りが先に来た一冊となった。


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調布国際音楽祭 オープンステージ&ミュージックカフェ

2018-07-07 21:32:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)
 毎年ご紹介してますが、調布国際音楽祭の魅力は有料公演もさることながら、市民音楽家による無料のオープンステージや桐朋学園大学学生・卒業生によるミュージックカフェにあります。今年は余り時間が取れませんでしたが、それでも幾つかの演奏を堪能しました。


《オープンステージの様子》


《榎本玲奈さん 6/30》

 ミュージックカフェでは、私の大好きな《コジ・ファン・トゥッテ》のハイライト版があり狂喜。



 学生の室内楽団に山崎伸子さんが入ってブラームスの弦楽六重奏曲第2番もありました。山崎さんの力強いチェロの音色に引き込まれると同時に、山崎さんに食らいつくような学生さんの熱演が印象的でした。

 調布国際音楽祭は来年も6月末に実施されるとのこと。まだの方は、是非、足を運ばれることをお勧めします。 

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バッハ・コレギウム・ジャパン モーツァルト:劇場支配人 @調布国際音楽祭

2018-07-05 21:08:04 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 やっと調布国際音楽祭に、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCH)の演奏に声楽が加わった演目が登場した!ここ数年、せっかくBCHをレジデンス・オーケストラに据えているのだから是非、声楽の入ったプログラムをやってほしいと本ブログで言い続けてきた。それが、聞き入れられたのかどうかはわからないけど、要望が実現したのは何ともうれしいし、ましてやモーツアルトのオペラとあっては狂喜である。しかも、演目はオペラ《バスティアンとバスティエンヌ》と《劇場支配人》という滅多に観られないレアもの。

9割ほどは埋まった(少なくとも1階席は)調布の市民ホールは、終始暖かく、アットホームな雰囲気に包まれた。前半の《バスティアンとバスティエンヌ》はモーツアルトが何と10代前半に作ったという恋愛喜劇。《コジ・ファン・トゥッテ》の原型とも言えるような、若い男女の恋愛の喜怒哀楽が、色彩豊かな音楽に見事に乗っている。天才としか言いようがない。

 バスティエンヌ役のジョアン・ランさんの透明感あるソプラノとバスティアン役の櫻田亮のテノールが綺麗にハモッてうっとりする。櫻田亮さんは4月にマタイ受難曲の壮絶なエヴァンゲリスト役がまだ瞼に焼き付いていて、悩める青年バスティアンとのギャップに戸惑ったが、硬軟を使い分けられる器用さに感心した。BCHの演奏は暖かく長閑な空気感を漂わせていて、舞台の世界に引き込まれるよう。

 後半の《劇場支配人》も楽しいオペラだった。セリフに地元の調布ネタを適度に織り込み、地元ファンの笑いを誘う。不自然さを全く感じない編集だった。楽譜を持ちながらのパフォーマンスではあったものの、森谷真理さん、中江早希さんと櫻田亮さん、加耒 徹さんらのコメディタッチの演技や歌は微笑ましく、BCHの楽団員さんも一部ストーリーに参加するひねりも織り込まれている。さらに、支配人を演じた鈴木優人さんのソフトな名優ぶりもなかなかで、みなさん実に芸達者であった。

 オペラとかクラシックと言うとなんか堅苦しいイメージが常にまとわりつくが、この演奏会は知識もがんちくも要らない、そのままで音楽の楽しさが存分に満ちていた。

 2曲とも、セリフは日本語、歌は原語(日本語字幕付き)だったが、全く違和感なし。簡易なオペラであるので、セットは無くても不満もないし、むしろ照明による軽度の演出が無機質な市民ホールの雰囲気をカバーしていたと思う。

 3年間待ち続けた声楽付のBCH演奏会。待ち続けた末の期待をさらに上回る演奏会であった。



日時
7月1日(日)17:00
場所
グリーンホール 大ホール
出演
鈴木優人(指揮)
ジョアン・ラン(ソプラノ)
森谷真理(ソプラノ)
中江早希(ソプラノ)
櫻田亮(テノール)
加耒 徹(バス)
バッハ・コレギウム・ジャパン(管弦楽)
曲目
モーツァルト:オペラ《バスティアンとバスティエンヌ》KV 50
モーツァルト:音楽付き喜劇《劇場支配人》KV 486
備考
字幕付公演/演奏会形式

Bach Collegium Japan Masato Suzuki, Conductor Mozart: Der Schauspieldirektor
Date
Sunday, July 1 at 17:00
Place
Chofu City Green Hall, Large Hall
出演
Masato Suzuki, Conductor
Joanne Lunn, Soprano
Mari Moriya, Soprano
Saki Nakae, Soprano
Makoto Sakurada, Tenor
Toru Kaku, Bass
Bach Collegium Japan, Orchestra
Programs
Wolfgang Amadeus Mozart: Der Schauspieldirektor, KV 486
Wolfgang Amadeus Mozart: Bastien und Bastienne, KV 50

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「ヴェルサイユの光と影 フランス音楽の今昔」 @調布国際音楽祭

2018-07-02 20:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 今年も調布国際音楽祭に行ってきました。年々、内容がパワーアップして楽しみ度が増してます。

 例年、土曜日午後の有料プログラムは企画物プログラムです。昨年は「ツィマーマンのコーヒーハウス」、一昨年は「生誕 260 年 モーツァルト・ガラ・コンサート 〜再現1783年ウィーン・ブルク劇場公演〜」という企画で楽しませてくれました。今年は「ヴェルサイユの光と影 フランス音楽の今昔」と題して、ラモー、クープランといったフランス・バロックものとドビュッシー、ラヴェルなどフランス20世紀ものを行き来する例年に劣らないユニークなプログラムでした。

 私には、ドビュッシーのベルガマスク組曲以外は全て初モノでしたが、聴き易く100%投入できる音楽でした。森下唯さんのドビュッシーとラヴェルの2曲のピアノ独奏は、地味な感じの外見(失礼)とは真逆の表情豊かな表現が意外。胸に染み入る演奏でした。

 ラモーとクープランの2つのバロック音楽は、チェンバロをはじめとした古楽器から発せられる音色が、落ち着いた素朴ながらも華やか。外の30℃を超す熱暑を忘れさせてくれました。
 
 過去2年に比べると、エンターテイメント感や規模感を抑え、真面目さが増した演奏会になった印象がありましたが、午後のひと時をリラックスして過ごすには最適です。来年も尖ったプログラムを期待したいと思います。


《開演10分前》


ヴェルサイユの光と影 フランス音楽の今昔
日時:6月30日(土)14:00
場所:調布市文化会館たづくり くすのきホール
出演:
鈴木優人(チェンバロ)
森下 唯(ピアノ)
アンサンブル・ジェネシス[コンサートマスター:山口幸恵]
佐藤美晴(演出)

曲目
◦ラモー:クラヴサン合奏曲集 第1番、第3番
◦ドビュッシー:ベルガマスク組曲 ※没後 100 年
◦ラヴェル:クープランの墓
◦クープラン:『諸国の人々』より スペイン人

Time Travel Versaille“La lumière et l’ombre”
Date
◦Saturday, June 30 at 14:00

Place
◦Chofu City Culture Hall Tazukuri, Kusunoki Hall

Artists
◦Masato Suzuki, Conductor, Harpsichord
◦Yui Morishita, Piano
◦Ensemble Genesis[ Yukie Yamaguchi, Concertmaster]
◦Miharu Sato, Director

Programs
◦ Jean-Philippe Rameau: Pièces de clavecin en concerts, Premier concert et Troisième concert
◦Claude Debussy: Suite bergamasque
◦Maurice Ravel: Le tombeau de Couperin
◦F.rançois Couperin: L’espagnole from “Les nations”


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