(Rene Magritte/The Arrow of Zenon)
ここにいう空とは、色と対置される空ではない。「色即是空」とは本来、色を空と同一視することではなく、空から色を作るということでもない。空は空以外のなにものでもない。空に岩が一つ浮かぶ(空裏一片石)。
色即是空(色は即ち是れ空なり)は般若心経の一句である。「色」とはサンスクリット語の漢訳で、「いろ・かたちあるもの」つまり物質的存在の意である。
もし「即是」を一致・同一の意味にとれば、色を「強いて」空と「為す」ことになる。あるいはもともと同一のものを色と空とに分離したことになる。
しかし「即是」を同一ではなく、同等と解釈すれば、
差異を維持したまま互いに他を反映し合うような二者関係=双対性となる。
空は空であり、空はけっして色ではないが、色と対をなすことによって相互に他を示しあう。
空間におかれた一個の石が空間を際立たせ、空間が石の存在を強調するのと同様だ。
-切抜/齋藤嘉文「跳訳道元」より-
ここにいう空とは、色と対置される空ではない。「色即是空」とは本来、色を空と同一視することではなく、空から色を作るということでもない。空は空以外のなにものでもない。空に岩が一つ浮かぶ(空裏一片石)。
色即是空(色は即ち是れ空なり)は般若心経の一句である。「色」とはサンスクリット語の漢訳で、「いろ・かたちあるもの」つまり物質的存在の意である。
もし「即是」を一致・同一の意味にとれば、色を「強いて」空と「為す」ことになる。あるいはもともと同一のものを色と空とに分離したことになる。
しかし「即是」を同一ではなく、同等と解釈すれば、
差異を維持したまま互いに他を反映し合うような二者関係=双対性となる。
空は空であり、空はけっして色ではないが、色と対をなすことによって相互に他を示しあう。
空間におかれた一個の石が空間を際立たせ、空間が石の存在を強調するのと同様だ。
-切抜/齋藤嘉文「跳訳道元」より-