海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

二枚舌政治家の恥ずべき姿

2013-04-20 13:27:32 | 米軍・自衛隊・基地問題

 4月20日付琉球新報電子版に〈西銘氏「辺野古」を容認 「県外」の公約撤回〉という見出しの記事が載っている。西銘恒三郎衆院議員が〈昨年12月の衆院選で自身が掲げた「県外移設を求める」との公約を翻し、政府・党本部に同調して辺野古移設を容認する立場を明確にした〉という内容だ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-205577-storytopic-3.html

 西銘議員の選挙区である沖縄4区は、沖縄島南部や先島地域が範囲であり、普天間や辺野古と距離があるうえに米軍基地が少ない。昨年12月の衆議院選挙で西銘議員は、次点に大差をつけて返り咲いており、公約を翻しても反発は限定され、次の選挙で負けることはない、という計算が働いているのだろう。

 昨年12月の衆院選の際、毎日新聞が行ったアンケート調査に、西銘議員は次のように回答している。

http://senkyo.mainichi.jp/46shu/kouji_area_meikan.html?mid=A47004002002

 憲法改正に賛成。集団的自衛権は見直すべき。原発は再稼働すべき。尖閣諸島の国有化は評価する。中国に対しては強い態度で望むべき…など、いかにも自民党議員らしい回答だ。政権公約(マニフェスト)については、必ず守るべきだ、と答えているが、白々しい限りだ。

 普天間基地の移設先については〈無回答〉とし、アンケートでは自らの本音を隠している。一方で西銘議員は、琉球新報社が開いた立候補予定者の座談会では、自民党県連にあわせて普天間基地の「県外移設」を主張しつつも、条件付きで辺野古「移設」を容認する考えを示していた。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-199502-storytopic-3.html

 「暫定的県内移設」は下地幹郎前衆院議員も唱えていた主張である。しかし、いったん海を埋め立てて滑走路が造られれば自然は破壊される。港湾施設や弾薬搭載場を兼ね備え、望み通りの新基地を手に入れた米軍が、短期間で出ていくはずもない。仮に出ていっても自衛隊が使用するだけのことだ。二枚舌を使って有権者の目先をごまかす手法において、西銘議員と下地議員に違いはない。 

 こういう県選出の二枚舌議員を使い、沖縄を内から切り崩して辺野古「移設」を進めようとするのは、民主党政権でも自民党政権でも変わらない醜悪な手法である。西銘議員も下地前議員の先例にならい、時の政権に媚びを売って、大臣の地位を手に入れるつもりだろうか。しかし、二枚舌を使って沖縄を売る政治家は、県民の信用を失い、愛想を尽かされる。東京でどれだけもてはやされても、沖縄に戻れば石つぶてが飛んでくるだろう。

 〈危険性の除去を原点とすれば、辺野古移設は万やむなし〉という西銘議員の発言は、辺野古「移設」が〈危険性の除去〉にはならず、名護市民に〈危険性〉を押しつけるものであるという現実を無視したものだ。自分の選挙区に影響がなければ何を言ってもいいかのような西銘議員の傲慢さは、名護市民の怒りを呼び起こさずにはおかない。

 西銘議員を使って自民党県連を切り崩し、仲井真知事が「県外移設」という公約を投げ捨てられるようにお膳立てをする。そういう沖縄県民をなめきった日本政府の策謀を許してはならない。

 

 


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