海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

普天間基地の辺野古「移設」工事計画に伴う漁業制限水域拡大への抗議

2014-06-20 18:20:01 | 米軍・自衛隊・基地問題

 19日は午後4時から、新基地建設問題を考える辺野古有志の会とティダの会が、辺野古海域の漁業制限水域拡大に抗議して、沖縄防衛局名護事務所に申し入れを行ったのに参加させてもらった。以下に抗議文を引用して紹介したい。

 

2014年6月19日
沖縄防衛局名護事務所
所長 杉山 真人 殿
                                               新基地建設問題を考える
                                                辺野古有志の会世話人
                                                                                                        島袋 文子
                                                                                                         當山 佐代子
                                                                                                         渡嘉敷 ヨシ
                                                                                            ティダの会共同代表
                                                                                                       山城 利正

                  普天間基地の辺野古「移設」工事計画に伴う漁業制限水域拡大への抗議

 2014年1月19日に行われた名護市長選挙において、普天間基地の辺野古「移設」反対を公約に掲げた稲嶺進氏が、相手候補に4155票の大差をつけて再選を果たしました。
 同市長選挙では、普天間基地の辺野古「移設」問題が選挙の明確な争点となり、名護市民は「移設」反対の意思をはっきりと示しました。しかし、日本政府は市民の民意を無視して、「移設」工事を強行しようとしています。
 報道によれば日本政府は、「移設」工事に反対する海上行動を抑え込むために、辺野古崎周辺の漁業制限水域を沿岸50メートルから沖合2000メートルの範囲へと大幅に拡大しようとしています。
 この水域では、辺野古・汀間の漁民が漁業を営んでおり、漁業者の生業を妨害するばかりか、将来、全面的な制限となる懸念を抱かせるものとして、名護市は反対の意見書を提出しています。
 同水域はまた、漁民だけでなくダイビングやエコツーリズムの業者をはじめ、広く県民の共有財産としてあり、新基地建設を目的に県民の利用制限を拡大することは許されません。
 仲井真知事の辺野古埋め立て容認には県民の大きな批判があり、世論調査では引き続き7割以上が普天間基地の辺野古「移設」に反対しています。この民意を踏みにじって日本政府が「移設」工事を強行しようとし、それに向けて漁業制限水域を拡大しようとしていることに、私たちは強く反対し、抗議します。

 以上、引用終わり。

 所長の杉山氏は、今年4月に名護事務所に異動してきている。自分の役割は話を受けて上に伝えるだけ、という態度があからさまで、詳しいことは知らない、と質問にまともに答えようとしなかった。私の方から、名護事務所が増員される、という報道についても質問したが、それすら、知らない、と答えていた。ボーリング調査が間近に迫るなか、所長が自分の事務所の人事について、知らない、ということはあり得ない話で、言質を取られない、という役人答弁に終始していた。

 インターネットで調べると、杉山所長は5年ぶり、2度目の沖縄勤務らしく、イラク復興業務支援隊技官として、イラクに派遣されたこともあるようだ。ボーリング調査が始まれば、辺野古現地に設置された事務所の活動も活発化するはずで、それなりの力量を認められての人事なのだろう。

 杉山所長が札幌市の出身だというので、沖縄戦では北海道出身の兵士の戦死者が最も多いことについて話した。約1万800人という数は、他府県に比べて突出して多い。満州国ハルビンで編成された第24師団に北海道出身者が多かったためで、アイヌ民族の兵士たちも犠牲になっている。

 69年前のこの時期、沖縄島南端に追いつめられた沖縄住民や日本兵たちは、米軍の容赦ない攻撃にさらされて死んでいった。壕に入れなかった住民や兵士たちは、海岸の岩陰やわずかな隙間に隠れ、あるいはそれさえもかなわずに身をさらして、銃で撃たれ、砲撃で吹き飛ばされ、火炎放射器で焼き殺されていった。

 壕の中にいた兵士や住民も、馬乗り攻撃や爆破によって殺されていった。二世兵士の投降呼びかけに応じて生き残った人の証言は記録され、くり返し報道されるため印象に残るが、殺された人々は永遠の沈黙によってその陰に隠されていきがちだ。

 大量殺戮によって占領した島を、米軍は69年経っても手放そうとしない。それどころか、日本政府は新たな基地を造って米軍に提供し、その占領をさらに継続させようとしている。沖縄は「本土防衛のための捨て石」という位置づけは、今も変わっていない。米軍に殺された北海道の兵士たちが、そのことを知ったらどう思うだろうか。札幌出身という杉山所長には、そういう想像力を持ってほしいものだ。

 


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