海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

アスベスト問題で職務怠慢もはなはだしい名護防衛事務所

2014-10-04 11:48:19 | 米軍・自衛隊・基地問題

 3日はキャンプ・シュワブ・ゲート前での抗議行動のあと、ティダの会と名護防衛事務所との話し合いに参加した。アスベストが使用されている隊舎などで除去作業に着手する、という県内紙の報道があり、急きょティダの会で申し入れをして、午後4時から名護防衛事務所を訪ね、杉山真人所長から説明を受けた。

 杉山所長の説明は、資料と口答によるものをまとめると、概ね以下の通り。

・石綿除去工事が実施される建物は庁舎、工場、診療所、隊舎3棟の計6施設。

・そのうち、隊舎の真ん中の1棟で、ボイラー保温剤、コンプレッサー保温剤として、除去作業の工法上飛散の可能性の高いアスベスト(レベル2)が使用されている。

・残りの施設では、床、幅木、壁、天井、屋根、建物設備などに、飛散の可能性の低いアスベストが使用されている。

・除去作業の工法上飛散の可能性の高い隊舎(3棟のうち1棟)のボイラー保温剤及びコンプレッサー保温剤は切断して除去することが難しいことから、建材を掻き落として除去する。除去後は対象である石綿含有健在を湿潤し、2重に袋に詰めて密封する。その他の石綿含有建材については略。

・当該除去工事に係る手続き状況として、

 5月22日~建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(リサイクル法)に基づく通知書を北部土木事務所に提出。

 8月22日~建物解体等作業届を労働基準監督署に提出。

 8月22日~特定粉塵等作業実施届書を北部保健事務所に提出。

 9月22日~アスベスト使用施設への養生シートの貼り付け作業開始。

 10月1日~北部保健事務所、労働基準監督署、名護市の現場立ち入り調査。

 10月2日~アスベスト除去作業開始。

・施設解体作業の元請けは東江建設。アスベスト除去は有限会社・アイジェス沖縄が下請けで行っている。東江建設との契約は来年の1月末まで。

 アスベストの除去、処理の具体的説明は資料が配付されたが、ティダの会から辺野古区での住民説明会の開催を要求した。杉山所長は、住民説明会は開かない、8月29日に区長に説明したのでそれで十分であり、資料を何部か渡しているので、疑問のある住民は区長から説明を受けてほしい、と答えた。

 工事を行っているのは沖縄防衛局であり、どうして区長が説明しないといけないのか。区長は沖縄防衛局の下請けか。そもそも、専門知識がない区長にアスベスト除去についてきちんとした説明ができるはずがない。自分たちがやるべき仕事を区長に押しつけて責任逃れをやるな、などティダの会から杉山所長に疑問や批判が相次いだ。

 それに対し杉山所長は、区長から説明会の要求はない、住民には区長が説明すべき、とくり返し、そういう要求があったことは上に伝える、といつもの逃げで時間切れを待つだけだった。安倍首相は何かといえば「県民にていねいに説明し、理解を得たい」と口にするのだが、実際に住民に接する防衛局職員の対応はこのようなものだ。

 アスベストという危険な物質を処理するのだから、本来は沖縄防衛局の側から積極的に住民に広報し、説明すべきものだ。しかし、実際には住民はメディアの報道で初めて事実を知り、自ら沖縄防衛局に出向いても、最小限の情報しか与えられないのが実態だ。わざわざ名護市・辺野古区に事務所を設置していながら、区長1人に説明してこと足れり、としている沖縄防衛局名護事務所の職務怠慢と、都合の悪い情報を隠そうとする卑怯さに、ティダの会の会員たちは怒りを募らせていた。

 菅義偉官房長官は、辺野古の問題は「過去の問題」と言い放った。名護市民、沖縄県民は現在進行形で新基地建設による危険と暴力にさらされている。アスベスト問題もそうだ。都合の悪い現実から目をそらそうとする日本政府・防衛省、沖縄防衛局の姿勢は、問題への対処をいい加減にし、それこそ大きな事故を招きかねない。軍事基地担当者の職務怠慢は、沖縄県民を危険にさらすのだ。許してはならない。

 


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