海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

参議院選挙…本音は?

2010-07-08 17:06:50 | 米軍・自衛隊・基地問題
 参議院選挙も11日の投票まで三日となった。選挙の宣伝車は大票田の那覇や中南部を中心に回っていて、ヤンバルはほとんど通らないのでいたって静かで、電柱に貼られている政党や候補者のポスターを除けば、名護の街でさえ選挙らしい雰囲気は乏しい。普天間基地問題が選挙の焦点から消されていることや、政権交代後の民主党の変貌ぶりに政治への期待や政治家の発言への信頼が失われたことも影響しているのだろう、7月6日付琉球新報は、4日までの10日間の期日前投票が2007年の参院選に比べて20%減少していると報じている。
 7月7日付の琉球新報には共同通信と合同で行った県内有権者対象の電話世論調査の結果が載っている。島尻安伊子氏(自民公認、公明県本支持)が先行し、山城博治氏(無所属、社民、社大推薦)が追い上げている、ということだが、目を引いたのが比例代表で投票する政党・候補を決めているとした有権者の答えだ。

 社民党 23.9%
 民主党 23.0%
 自民党 19.2%
 公明党 8.5%
 共産党 4.7%
 以下略

 社民党が民主党、自民党を上回ってトップに立っている。共同通信の全国調査では社民党は1.9%だから、沖縄での突出ぶりが目立つ。言うまでもなくこれは、普天間基地の辺野古移設に反対して福島党首が鳩山政権から罷免されたことを含めて、社民党の基地問題に対する姿勢を評価したものだ。
 琉球新報と共同通信の調査では、普天間飛行場の返還・移設についての対応も問うている。

 沖縄県以外の日本国内に移すべきだ   14.6%
 国外に移すべきだ                36.4%
 無条件で撤去すべきだ             28.1%
 日米合意通り、辺野古付近に移すべきだ 12.0%
 辺野古以外の県内に移すべきだ       4.1%
 分からない                     4.9%

 県外・国外移設、無条件撤去を合わせて79.1%が普天間基地の「県内移設」に反対している。5月28日の日米合意直後の県民世論調査では、84.1%の県民が辺野古「移設」に反対だったが、現在も8割近い県民が反対の意思を示している。普天間基地の辺野古「移設」を県民の頭越しに日米合意したことへの怒りは収まっていないし、菅政権が普天間基地問題を選挙の争点から消したとしても、それは一時しのぎにしかならない。参議院選挙がどのような結果になろうと、「県内移設」反対の県民世論が8割を占める状況を菅政権がひっくり返すことはできない。
 今回の参議院選挙沖縄選挙区では、自民党公認の島尻氏も普天間基地の「県外移設」を主張している。しかし、それでは島尻氏は、政権交代以前に「県内移設」=辺野古新基地建設を推進してきたことは誤りだったと認めて、反省や謝罪の意を示したのだろうか。本音で「県外移設」を主張し、自民党国防部会副部会長という立場にあっても党の方針に逆らい、辺野古「移設」反対のたたかいを取り組むつもりだろうか。私にはそうは見えない。県民世論に逆らえば選挙に勝てないという政治的判断と、民主党連立政権に対抗するという政局がらみの打算から「県外移設」を主張しているとしか思えない。
 それは島尻氏を全面的に支援している仲井真知事に対しても言える。「県内移設」は難しい、厳しい、という言葉をくり返している仲井真知事だが、その本音はどうなのか。〈県議会 「方針変更でない」 又吉公室長 辺野古移設で説明〉という記事が7月8日付琉球新報3面に載っている。

〈軍特委で、又吉進知事公室長は普天間飛行場移設問題について、現時点では名護市辺野古移設の容認は極めて困難との立場を強調した上で、「方針を変更したとは考えていない。前提であった名護市の同意など諸条件が変わった」と述べ、条件付きで辺野古移設を容認するとの仲井真弘多知事の基本的方針には変更がないと説明した。吉田勝広氏(無所属)の質問に答えた〉 

 〈条件付きで辺野古移設を容認する〉という仲井真知事の〈基本姿勢〉=本音は何も変わっていないのだ。今の沖縄の〈状況〉では本音を前面に出すとまずい、との政治的判断から、難しいだの、厳しいだのというその場しのぎの答弁をしているにすぎない。そういう仲井真知事が全面的に支援している島尻氏の「県外移設」という主張がどれだけ信用できるか。推して知るべきだろう。

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