１１月４日午後１時から辺野古交流プラザにおいて、在沖米軍基地で枯れ葉剤が使用された問題を追求しているジャーナリストのジョン・ミッチェルさんを招いて報告・交流集会と記者会見が開かれた。急な取り組みにもかかわらず、辺野古住民をはじめ全体で６２名の参加があり、テレビカメラも５台並んで取材記者も多かった。
http://www.qab.co.jp/news/2011110431825.html
「新基地建設問題を考える辺野古有志の会」の當山佐代子さんが開会のあいさつをし、沖縄・生物多様性市民ネットワークの河村雅美さんが「沖縄の枯れ葉剤問題について」説明したあと、ジョン・ミッチェルさんの報告があった。１９７０年１２月から翌年の１１月までキャンプ・シュワブで勤務していたスコット・パートンさんの証言を中心に、枯れ葉剤（エージェント・オレンジ）がどのように使用されていたかを報告した。
ミッチエルさんの報告は「合意していないプロジェクト」のホームページで翻訳・紹介されているジャパン・タイムスの記事と重なる部分が多いので、以下を参照してほしい。
http://www.projectdisagree.org/2011/10/4_20.html
その後、ミッチェルさんへの質問を交えながら参加者との情報交換が行われた。
辺野古の住民からは、キャンプ・シュワブ周辺の環境問題に対する不安の声が相次いだ。辺野古区では旧暦３月３日の浜下りをはじめ、キャンプ・シュワブ周辺の浜やリーフで魚介類を捕って食べる生活が続いてきた。そういう中で、浜で採れたハマグリを煮たら黒い油のようなものが出てきたり、海岸が漂白されたように白くなり生物が消えた場所があったことなどが語られた。また、辺野古で生まれ育ちこれまで暮らしてきたという比嘉盛順さんは、キャンプ・シュワブ内の谷間に大量のアスベストやＰＣＢが埋められるのを見た、と証言した。
沖縄・生物多様性ネットワークの伊波義安さんは、ダイオキシンの毒性の恐ろしさについて説明し、それを含む枯れ葉剤が、県民の水瓶であり、貴重な動植物の宝庫である北部訓練場で使用されたことの問題について語った。
他にも、北谷町にあったハンビー基地内で枯れ葉剤入りのドラム缶が埋められたという証言についてや、政府関係者とも連携して裏付け資料を発掘すること、１９７３年の日米合同委員会合意「環境にかんする協力について」に基づいて県や市町村でも基地内の調査を求めていく必要があることなど、多岐にわたって情報・意見交換がなされた。
新基地建設を考える辺野古有志の会とティダの会は、去る９月２８日に沖縄防衛局名護事務所を訪ね、「キャンプ・シュワブにおける枯れ葉剤使用の実態解明を求める申し入れ」を行った。それに続けてビラを作成し、辺野古区を中心に配布して、枯れ葉剤に含まれるダイオキシンがベトナムの人々に大きな被害をもたらしたことを紹介し、沖縄での使用実態を明らかにすることの重要性を訴えてきた。
キャンプ・シュワブ周辺の海域はジュゴンが生息する貴重な海であると同時に、住民にとっては生活の糧を得る場所でもある。また、基地内で働き、除草作業を行った住民もいる。キャンプ・シュワブで枯れ葉剤がどのように使われ、管理され、処理されたのか。土壌や河川、海洋、地下水などの汚染はないのか。その実態を解明し、市民に情報公開して、汚染があるならそれを除去するのは、基地周辺住民の生命・安全を守るために、日米両政府が果たすべき当たり前の義務だ。
それを怠り、元米兵による証言が相次ぐなか、記録がない、と言い逃れすることは許されない。韓国でも元米兵の証言をもとに、枯れ葉剤の入ったドラム缶が大量に埋められていた事実が明らかになっている。
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1484602.html
１９７８年にいたっても米軍はこんなひどい枯れ葉剤の廃棄処分を行っていたのだ。韓国で起こったことは沖縄でも起こり得る。
ミッチエルさんによれば、枯れ葉剤は那覇軍港を中心にホワイトビーチ、天願桟橋からも陸揚げされ、嘉手納基地や普天間期に移送されてベトナムに空輸された、と元米兵たちは証言しているという。陸揚げや移送、倉庫での保管、輸送機への積み込みなどの作業に、沖縄の軍労働者が従事したことも考えられる。作業の安全管理がちゃんとなされていたのかを含めて、日米両政府は沖縄における枯れ葉剤の持ち込み、使用について実態を明らかにすべきだ。
