海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

辺野古での学習講演会

2009-12-20 23:57:35 | 米軍・自衛隊・基地問題
 この数日、沖縄も冷え込んでいる。この寒さが緋寒桜にはいい刺激になるだろう。
 20日午後から名護市辺野古のコミュニティセンターで、宜野湾市基地政策部長の山内繁雄氏を招いて学習講演会が開かれた。新基地建設問題を考える辺野古有志の会、ティダの会としては今年最後の企画である。久辺三区、名護市、今帰仁村、本部町、宜野座村ほか中南部から来た人も含めて60名ほどの参加があった。
 前半に山内氏が在沖海兵隊のグアム移転計画の内実について話し、後半は参加者の質問や感想を受けて山内氏が答える形で進められた。山内氏によれば、在沖海兵隊が司令部機能だけでなく、ヘリ部隊も含めてグアムに移転する計画であるということは、すでに3年前から言ってきたが、これまでマスコミはほとんど取り上げてこなかったという。最近になってやっとマスコミも注目し始め、全国ネットのテレビ番組に伊波市長が出演したり、取材が相次ぐようになっているとのこと。グアム移転に関する資料を載せた宜野湾市のホームページには、1万数千件のアクセスが集中しているという。
 自ら資料を集め、翻訳・検証し、事実に踏まえて議論を進めているだけに、伊波市長や山内基地政策部長の主張には説得力がある。後半の質疑応答の中で、在沖海兵隊がほとんどグアムに移るなら、どうしてこれまで辺野古新基地計画が進められてきたのか、という質問が出た。誰もが抱く疑問だと思うが、山内氏ははっきりした理由は分からないとしながら、利権の問題があるんでしょうか、と語っていた。
 宜野湾市の主張が事実なら、元より辺野古に新基地を造る必要などないし、県外(ヤマトゥ)に新たな「移設」先を探す議論すら必要ない。さらに言えば、在沖海兵隊のほとんどが移るというのだから、普天間基地の返還だけでなく、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、北部訓練場なども返還の対象として浮かび上がってくるだけの、沖縄基地の大規模な返還、整理・縮小の動きが生み出される可能性もある。
 すでにそのような可能性を指摘する意見は散見するが、それに逆行して沖縄に基地を固定化しようとする動きもまた、宜野湾市の主張への反論を含めて強まっていくことは言うまでもない。抑止力維持を唱えて自衛隊を強化する動きも進んでいる。それらのせめぎ合いの中で沖縄は、来年1月に名護市長選挙が行われ、秋には県知事選挙が行われる。2010年は日米安保条約改定50年の節目の年なのだが、沖縄にとっては、基地が固定化されるのか、大幅な返還、整理・縮小の方向に進むのか、という大きな分かれ目となる重要な年になりそうだ。
 学習講演会が終わった後に、辺野古有志の会、ティダの会のメンバーが集まって、ピザを食べながら今年の労をねぎらった。小さなグループではあるが、辺野古、名護の地で新基地建設反対の運動を取り組んできた。建設推進派の圧力に負けずに辺野古の内部で運動を続けている皆さんの存在は大きい。その労苦に報いるためにも、来年はぜひ”辺野古新基地建設断念”を日米両政府に表明させたい。
 来年の話をしているが、今年もまだ10日ある。これからどのような動きがあるか、あるいは見えないところで何が行われているか、気を抜くことはできない。

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1 コメント

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辺野古基地 (匿名)
2009-12-23 13:33:18
「どうしてこれまで辺野古新基地計画が進められてきたのか」という疑問について。おそらく、海兵隊撤退後は、自衛隊の拠点にするつもりではないでしょうか。
 米国は、アジアでの有事には、自国民の血を流すことなく、日本に代理戦争をさせる考えなんでしょう。
 辺野古は、米軍と自衛隊の共同管理で、有事に米軍が移動していくはずです。
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